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エネルギー管理士とは、たくさんのエネルギーを使う工場で、むだを見張って設備の使い方を改善する人のための国家資格です。省エネ法で、原油に直して年3,000kl以上使う製造業などの工場は、免状を持つ人からエネルギー管理者を選ばなければなりません。
試験は熱分野と電気分野から1つを選び、4課目すべてで6割以上を取れば合格です(受験資格の制限なし)。電験三種が電気の「安全」を守る資格なのに対し、エネルギー管理士はエネルギーの「むだ」を減らす資格です。
この記事では、エネルギー管理士を工場の「エネルギーの家計簿係」にたとえて、最後までその話で説明します。合格率は令和8年度の公式の数字から計算しています。
- 省エネ法・施行令・施行規則(e-Gov 法令検索。2026年10月に本文を確認)
- 受験の手引・合格者発表・年間予定:一般財団法人省エネルギーセンター(経済産業大臣の指定試験機関)
- 省エネルギーセンター「令和8年度エネルギー管理士試験 受験の手引 1 試験制度の概要」(免状の取り方・実務1年・課目合格)
- 省エネルギーセンター「同 2 第48回エネルギー管理士試験の内容」(試験日・手数料・課目と時限・合格基準)
- 省エネルギーセンター「令和8年度第48回エネルギー管理士試験 合格者発表」(申込者・受験者・合格者の数)
- e-Gov 法令検索「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(第7条・第10条〜第14条・第55条)
- e-Gov 法令検索「同 施行令」(第2条 1,500kl・第3条 3,000kl・第4条 選任の人数・第5条 5業種)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。
エネルギー管理士とは?工場の「エネルギーの家計簿係」
家計簿を思い浮かべてください。毎月の電気代・ガス代を書き出すと、「去年より多い」「この月だけ高い」と気づけます。そこから「エアコンの温度を1度見直そう」「使っていない家電のコンセントを抜こう」と、使い方を変えられます。工場でも同じことをするのが、エネルギー管理士の仕事です。
違うのは、量のけたです。後の計算で出てくるように、大きな工場は1年じゅう 1,000kW をこえる電気を使い続けることもあります。そのため国は、とくにたくさんのエネルギーを使う工場に「家計簿係を必ず置きなさい」と法律で決めています。その法律が省エネ法(正式にはエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)です。
左の言葉が出てきたら、右の本物に読みかえてください
| 家計簿のたとえ | 工場では |
|---|---|
| 電気・ガスの検針票 | 電力量計・燃料の使用量の記録(毎月・毎年) |
| 家計簿に書き出す | 設備ごと・月ごとにエネルギーの量をまとめる |
| むだづかいに気づく | 動かしっぱなしの設備・効率の悪い使い方を見つける |
| 使い方を変える | 運転の方法を改善し、設備の手入れをする |
| 家族に報告する | 国に毎年、使用量と取り組みを報告する(定期報告) |
試験を行うのは、経済産業大臣が指定した一般財団法人省エネルギーセンターです。免状(資格の証明書)は経済産業大臣が交付します。

どんな工場にエネルギー管理士が必要なの?
工場によって使うエネルギーは、電気・都市ガス・重油などばらばらです。そのままでは量を足し算できません。そこで省エネ法では、すべてを原油に直したら何キロリットル(kl)になるかという1つのものさしで比べます。これを原油換算と呼びます。1klは1,000リットルで、ドラム缶(200リットル)5本分です。
家計簿でたとえると、ドル・ユーロ・円のお金が混ざっていたら、全部を円に直してから合計しますよね。原油換算は、電気・ガス・重油を「原油という1つの通貨」に直して合計するようなものです。
その合計で、工場は次の3つの段に分かれます。
上から工場が大きくなる順です。エネルギー管理士の免状が「必ず」要るのは、3行目の工場だけです
| 年間の原油換算 | 工場の区分(省エネ法) | 選ぶ人 | その人の資格 |
|---|---|---|---|
| 会社全体で1,500kl以上 | 特定事業者(会社として届け出る) | エネルギー管理統括者・企画推進者 | 企画推進者は講習の修了者か免状を持つ人 |
| 1つの工場で1,500kl以上3,000kl未満 | 第二種エネルギー管理指定工場等 | エネルギー管理員 | 講習の修了者か免状を持つ人 |
| 1つの工場で3,000kl以上(製造業など5業種) | 第一種エネルギー管理指定工場等 | エネルギー管理者(1〜4人) | エネルギー管理士の免状を持つ人だけ |
| 1つの工場で3,000kl以上(事務所・ほかの業種) | 第一種エネルギー管理指定工場等 | エネルギー管理員 | 講習の修了者か免状を持つ人 |
3行目の「製造業など5業種」は、施行令で製造業(物品の加工修理業を含む)・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業と決まっています。ただし、その中でも事務所として使う建物は外れます。つまり、ものを作る大きな工場が、エネルギー管理士の主な出番です。
1,500kl は「会社全体」の合計、3,000kl と第二種の 1,500kl は「1つの工場」の量です。同じ 1,500kl でも数える範囲が違うので、ここで混乱しやすいです。

原油換算の式はどこから来たの?電気を2段で直す
なぜこの計算が要るのでしょうか。自分の工場が 1,500kl や 3,000kl の線を超えるかどうかで、国への届け出や、誰を選ぶかが変わるからです。線を超えたのに気づかないと、選任や届け出が遅れてしまいます。
電気は kWh(キロワット時)で数えます。原油は kl で数えます。単位がまったく違う2つをつなぐのが、熱量です。熱量の単位は J(ジュール)で、大きな量は GJ(ギガジュール。10億ジュール)を使います。
外国のお金を両替するとき、円 → ドル → ユーロのように、間に1つ通貨をはさむことがありますよね。原油換算も、電気 → 熱量 → 原油と、間に「熱量」という共通の通貨をはさみます。
1段目:電気 → 熱量
施行規則では、電力会社などから買った電気は1,000kWh(千kWh)を 8.64GJ とみなすと決まっています。
「あれ、1kWh は 3.6MJ だから、1,000kWh は 3.6GJ では?」と思った方へ。3.6GJ は電気そのもののエネルギーです。でも発電所では、燃料を燃やして電気を作るときに多くの熱が逃げます。8.64GJ は「その電気を作るのに使った燃料の熱」を数える係数です。だから 3.6 より大きいのです(自分の工場で燃料から作った電気などは、規則で別の数え方が決まっています)。
熱量 [GJ] = 電気の量 [千kWh] × 8.64
2段目:熱量 → 原油
同じ施行規則で、熱量 1GJ を原油 0.0258kl とみなすと決まっています。原油1klを燃やすと約 38.8GJ(1÷0.0258)の熱が出る、という意味です。
原油換算 [kl] = 熱量 [GJ] × 0.0258
単位を左から順にかけると、千kWh × GJ/千kWh = GJ、GJ × kl/GJ = kl と、単位がきれいに消えていきます
| 記号・言葉 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| 電気の量 | 1年に買った電気(電力量計・請求書の値) | 千kWh(=MWh) |
| 8.64 | 買った電気 1,000kWh を熱量に直す係数(施行規則第4条) | GJ/千kWh |
| 0.0258 | 熱量 1GJ を原油に直す係数(同) | kl/GJ |
| 原油換算 | 工場の区分を決めるものさし | kl |

計算してみよう:年1,000万kWhの工場は、どの区分?
ここからは架空の例です。燃料は使わず、電気だけを買っている製造業の工場が、1つの会社に1つだけある、とします。
10,000,000 kWh ÷ 1,000 = 10,000 千kWh
10,000 千kWh × 8.64 GJ/千kWh = 86,400 GJ
86,400 GJ × 0.0258 kl/GJ = 2,229.12 kl
1,500 kl ≦ 2,229 kl < 3,000 kl
20,000,000 kWh ÷ 1,000 = 20,000 千kWh
20,000 千kWh × 8.64 GJ/千kWh = 172,800 GJ
172,800 GJ × 0.0258 kl/GJ = 4,458.24 kl
4,458 kl ≧ 3,000 kl
施行令第4条の表 → 1人
つまり、電気の使用量が2倍になっただけで、「免状を持つ人が必ず要る工場」に変わります。
逆算:電気だけなら、何kWhで線を超える?
同じ式を逆にたどると、電気だけの工場で線を超える量がわかります。3,000kl ÷ 0.0258 ÷ 8.64 = 約13,458千kWh、つまり年 約1,346万kWhです。1,500kl なら年 約673万kWhです。
桁の感覚で確かめましょう。1年は 8,760 時間なので、1,346万kWh を1年じゅう同じ量で使うと、およそ 1,500kW を一日中使い続ける量です。大きなモーターや空調がたくさん動く工場の規模だとわかります。
実際の工場は、ガスや重油も使います。燃料は種類ごとに発熱量の表(施行規則の別表)で熱量に直してから、電気と合計します。区分を決めるのは毎年の届け出の数字なので、計算は「自分の工場がどの辺りか」の見当づけに使ってください。

エネルギー管理者は、工場で何を任されるの?
省エネ法の第11条には、エネルギー管理者の仕事が「エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視」などと書かれています。法律の言葉は硬いので、工場で何をするかに読みかえてみます。
左が法律の言葉、真ん中がそれを工場の仕事に直したもの。右は家計簿のたとえです
| 法律の言葉 | 工場での仕事の例 | 家計簿のたとえ |
|---|---|---|
| エネルギーを消費する設備の維持 | モーター・ポンプ・コンプレッサー・ボイラーの点検と手入れ。効率が落ちた設備を見つける | 古くなって電気をくう家電を見つける |
| エネルギーの使用の方法の改善 | 運転の時間・温度・圧力の設定を見直す。動かしっぱなしを止める | エアコンの設定温度を見直す |
| エネルギーの使用の方法の監視 | 設備ごとの使用量を記録し、いつもと違う増え方に気づく | 毎月の検針票を前の月と比べる |
| 報告の書類の作成(施行規則) | 毎年の定期報告書・中長期計画の書類のもとになる数字をまとめる | 家族に家計の報告をする |
選ぶ時期にも決まりがあります。選ぶ必要が生じた日から6か月以内に選び、選んだあとは国に届け出ます。「免状を持っている人が退職した」なども、選び直しが必要になる場面です。
エネルギー管理者は、1人で全部の省エネをする人ではありません。工場のエネルギーの「見張り番」として数字を集め、設備の担当者や設計者と一緒に改善を進める、まとめ役です。

エネルギー管理士試験の電気分野:4つの課目と1日の流れ
試験には熱分野と電気分野があり、申し込むときにどちらか1つを選びます。どちらも、1つ目の課目「エネルギー総合管理及び法規」は共通です。電気・制御の仕事をしている人に関係が深い、電気分野の中身を見てみましょう(令和8年度の受験の手引による)。
1日の時間割は、課目I → III → IV → II の順です(課目の番号と受ける順番が違うので注意)
| 課目 | 名前 | 主な中身(問題数) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 課目I(共通) | エネルギー総合管理及び法規 | 省エネ法とその命令(1)、エネルギー情勢・政策と概論(1)、エネルギー管理技術の基礎(1) | 80分 |
| 課目II | 電気の基礎 | 電気及び電子理論(1)、自動制御及び情報処理(1)、電気計測(1) | 80分 |
| 課目III | 電気設備及び機器 | 工場配電(2)、変圧器・モーターなどの機器(2) | 110分 |
| 課目IV | 電力応用 | 電動力応用(2)、電気加熱・電気化学・照明・空気調和の4問から2問を選ぶ | 110分 |
4課目は、家計簿係の「4つの科目テスト」です。課目Iは家計のルール(法律)、課目IIは計算の基礎、課目IIIは家の配線と家電のしくみ、課目IVは家電の上手な使い方、と考えるとイメージしやすいです。
毎年の数字は、その年の受験の手引で必ず確かめてください。令和9年度の日程は、発表されたら省エネルギーセンターのサイトに出ます
| 項目 | 令和8年度(第48回)の内容 |
|---|---|
| 試験日 | 令和8年8月2日(日)。9:00 から 17:40 まで4時限 |
| 申込み | 4月6日〜6月22日、インターネットで |
| 受験手数料 | 17,000円(非課税) |
| 受験資格 | 制限なし(学歴・年齢・国籍は問わない) |
| 方式 | 筆記・マークシート。関数電卓は使えない(使ってよい電卓の決まりがある) |
| 合格の基準 | 選んだ分野の4課目すべてで、配点の60%以上 |
| 課目合格 | 一部の課目だけ合格した人は、その年の初めから3年以内の同じ分野の受験で、その課目が免除 |
課目合格の決まりがあるので、1年目に2課目、2年目に残りの2課目、のように分けて受かる道もあります。ただし3年を過ぎると、合格した課目も無効になります。

4課目の問題の形と、6割に届くかを確かめるには、過去の試験を課目ごとに解いてみるのが近道です。その答え合わせに使う本の例です。電気書院の『エネルギー管理士電気分野模範解答集』は、書名のとおり電気分野の過去の試験の模範解答をまとめた本で、毎年新しい版が出ます(楽天ブックスの書誌)。買うときは、受ける年度に合う最新の版を選んでください。課目の範囲や時間割は、その年の受験の手引で確かめてください。
合格率はどのくらい?令和8年度の数字
省エネルギーセンターが令和8年9月に出した合格者発表の数字を、そのまま並べます。
「申込者」と「受験者」の差は、申し込んだが当日受けなかった人です
| 区分 | 申込者 | 受験者 | 合格者 |
|---|---|---|---|
| 新規受験者(課目免除の人を含む) | 10,456人 | 8,783人 | 3,019人 |
| 旧資格者(移行措置) | 19人 | 17人 | 14人 |
3,019 ÷ 8,783 × 100
= 0.3437… × 100
≒ 34.4 %
ここで注意したいのは、受験者の中に「課目免除の人」も入っていることです。前の年までに一部の課目を合格していた人は、残りの課目だけで判定されます。1年目に全部の課目で受かる人の割合は、この数字とは違う可能性があります。

免状をもらうまでの2つの道:試験と研修
エネルギー管理士として選ばれるには、試験の合格証だけでは足りません。経済産業大臣から免状をもらって、はじめて「免状を持つ人」になります。
試験の道:だれでも受けられる。受験資格はありません。8月の試験で4課目すべてに合格すると、合格証が届きます。
試験の道:実務1年の証明を用意する。免状の申請には、エネルギーの使用の合理化に関する実務に1年以上ついたことの証明書が要ります。実務の時期は、合格の前でも後でもかまいません。
研修の道:実務3年以上の人。エネルギー管理の実務3年以上の証明ができる人は、「エネルギー管理研修」を受けられます。令和8年度は、講義をオンラインで受け(合計33時間25分)、12月の修了試験に合格する形です。
どちらの道も:免状の交付を申請する。令和元年度以降の試験合格者の申請書は、省エネルギーセンターが受け付けています。
家計簿係にたとえると、試験の道は「筆記テストに受かったうえで、1年間の家計簿づけの経験を見せる」道、研修の道は「3年間家計簿をつけてきた人が、講習と確認テストを受ける」道です。
免状には、熱分野・電気分野の区別がありません。電気分野で受かった人も、熱を多く使う工場のエネルギー管理者になれます。

電験三種とエネルギー管理士の違い:安全の見張りと、むだの見張り
電気の資格で名前がよく並ぶのが、電験三種(第三種電気主任技術者)です。どちらも工場の電気に関係しますが、守る対象が違います。
家でたとえると、電験三種は「ブレーカーや配線が安全か」を見張る係、エネルギー管理士は「電気代のむだがないか」を見張る係です。同じ電気を見ていても、見ている所が違います。
左の列の観点ごとに、2つの資格を比べます。電験三種の細かな決まりは下のリンク先で
| 比べる所 | 電験三種 | エネルギー管理士 |
|---|---|---|
| もとになる法律 | 電気事業法 | 省エネ法 |
| 守るもの | 電気設備の安全(感電・火災・停電を防ぐ) | エネルギーのむだを減らす |
| 選ぶのが必要な場面 | 高圧で電気を受ける工場・ビルなどの電気設備(外部への委託で済ませる道もある) | 原油換算で年3,000kl以上の製造業などの工場 |
| 見るもの | 電気設備だけ | 電気と燃料(ガス・重油・蒸気など) |
| 試験 | 理論・電力・機械・法規の4科目 | 電気分野:法規と総合管理・電気の基礎・電気設備及び機器・電力応用の4課目 |
| 受験資格 | なし | なし(免状には実務1年の証明が要る) |
試験の中身は、電気の理論・変圧器・モーター・配電など、重なる所がかなりあります。一方で、エネルギー管理士には省エネ法と、照明・空調・電気加熱などの「使い方」の問題が入ります。受験の手引に書かれた免除は、課目合格と旧制度の資格(熱管理士・電気管理士)の人だけで、電験三種を持っていても課目は免除されません。
電験三種の試験の科目・合格率・勉強の順番は、同じ筆者が運営する電気と品質管理のブログ shirasusolo.net の電験三種とはの記事でくわしく解説しています。

電気・制御の設計の仕事と、試験の課目のつながり
工場の電気の大部分は、モーターで機械を動かすことに使われます。そのモーターの回し方を決めるのが、インバーターやサーボの設計です。課目IVの名前が「電動力応用」(電気でモーターを動かす力の使い方)なのは、そのためです。
左が設計・保全で扱うもの、真ん中が試験のどの課目に近いか、右がこのサイトで先に読める記事です
| 設計・保全で扱うもの | つながる課目 | このサイトで読める記事 |
|---|---|---|
| モーターの容量・トルク | 課目IV 電動力応用 | モーターのトルク計算 |
| インバーターの速度制御・省エネ | 課目IV 電動力応用、課目II 自動制御 | インバーター制御とは(省エネの条件) |
| 変圧器・配電・ブレーカー | 課目III 電気設備及び機器(工場配電) | 制御盤とは |
| 電力の計測・センサ | 課目II 電気計測 | (計測の記事は順に公開) |
| PLC・フィードバック制御 | 課目II 自動制御及び情報処理 | PLCとは?しくみとスキャン |
つまり、電気・制御の仕事で毎日扱っているものが、そのまま試験の題材になっています。逆に言えば、試験の勉強は「設計した機械が、どれだけのエネルギーを使うか」を考える練習にもなります。
設計の段階で決めたモーターの大きさや運転のしかたは、何年もその工場の電気代を決めます。エネルギー管理者が見張る「むだ」の多くは、設計のときに生まれます。資格を取るかどうかにかかわらず、この見方を知っておくと、設計の判断の材料が1つ増えます。
モーターに要る力を、式の出どころから計算できる

表の課目II〜IVを、モーター・インバーター・配電の順に読み直したいときの、テキストと問題集が1冊になった本の例です。TAC出版の『エネルギー管理士 電気分野 超速マスター』第6版(2026年4月発行)は、電気の基礎(電気および電子理論・自動制御・情報処理・電気計測)、電気設備および機器(工場配電・電気機器)、電力応用(電動機応用・電気加熱・電気化学・照明・空気調和)、エネルギー総合管理および法規の4章で、テキストと問題演習が1冊になった本です(楽天ブックスの目次と内容紹介)。
よくある勘違い:合格すればすぐ選べる?
エネルギー管理士について、つまずきやすい所を表にまとめます。
左の勘違いを、真ん中の「本当は」で直します。右はどこに書いてあるか
| よくある勘違い | 本当は | 根拠 |
|---|---|---|
| 試験に受かれば、すぐエネルギー管理者になれる | 免状の申請には実務1年以上の証明が要る。免状をもらってから選ばれる | 受験の手引 第1章 |
| エネルギーをたくさん使う工場は、全部エネルギー管理士が要る | 免状が必ず要るのは、3,000kl以上の製造業など5業種の工場。ほかはエネルギー管理員(講習の修了者でもよい) | 省エネ法第11条・第12条・第14条、施行令第5条 |
| 電気分野で受かったら、電気の工場でしか働けない | 免状に分野の区別はない | 受験の手引 第1章 |
| 電験三種があれば一部の課目が免除になる | 手引にある免除は、課目合格と旧制度の熱管理士・電気管理士だけ | 受験の手引 第1章 |
| 一度課目に受かれば、ずっと有効 | 課目合格の免除は3年以内。過ぎると受け直し | 受験の手引 第1章 |
選任の人数や区分の線は、法令が変わると変わります。自分の工場の区分は、毎年の届け出の数字と、資源エネルギー庁・経済産業局の最新の資料で確かめてください。
よくある質問
まとめ:エネルギー管理士は、工場のエネルギーの家計簿係
- エネルギー管理士は、省エネ法にもとづく、工場のエネルギーのむだを見張って減らすための国家資格
- 原油換算で年3,000kl以上の製造業などの工場は、免状を持つ人から1〜4人のエネルギー管理者を6か月以内に選ぶ
- 電気の原油換算は「千kWh × 8.64 = GJ」「GJ × 0.0258 = kl」の2段。電気だけなら年 約1,346万kWh で 3,000kl
- 電気分野は4課目(法規と総合管理・電気の基礎・電気設備及び機器・電力応用)。各課目6割以上で合格、課目合格は3年
- 令和8年度は受験者8,783人・合格者3,019人(約34%)。免状には実務1年の証明が要る
- 電験三種は電気の安全、エネルギー管理士はエネルギーのむだ。中身は重なるが、免除はない
工場のエネルギーのむだの多くは、モーターの回し方から生まれます。次は、インバーターでどれだけ電気が減るのかを計算で確かめてみましょう。
PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。


