セーフティリレーとは?選び方とセーフティコントローラとの違い|判断表つき

セーフティリレーは2人1組の門番。レールのセーフティリレーと門番のイラスト 安全制御と協働ロボット

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セーフティリレー(安全リレー)とセーフティコントローラ、どちらを選べばいいのか?

止めたい場面(安全機能)が1〜2個で止め方が同じならセーフティリレー、3個以上や区域ごとに止め方を変えるならセーフティコントローラを考えます。セーフティリレーは、非常停止ボタンや扉のスイッチの信号を2本の線で受け、2つがそろって「安全」のときだけ出力を入れる、安全専用のリレーです。

この記事では、セーフティリレーを門を見張る門番にたとえて、最後までその話で説明します。選び分けの判断表と、入力点数・遅れて切る時間・接点の電流の計算もあります。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

セーフティリレーとは?1つの門を見張る2人1組の門番

ひとことで言うと非常停止や扉のスイッチの信号を2本で受け、2つがそろって「安全」のときだけ出力を入れ、自分の故障にも気づける安全専用のリレーです。

ふつうのリレーは、電気で動くスイッチです。コイルに電気が来ると接点がつながり、来なくなると離れます。便利ですが、接点がくっついて離れなくなっても、自分では気づけません。

たとえると

大事な門を、門番1人で見張っているとします。門番が居眠りしても、だれも気づきません。そこで2人1組にして、2人が「異常なし」とそろって言ったときだけ門を開けることにします。さらに、交代のたびに「2人とも起きているか」を確かめ、片方が寝ていたら門を開けません。これがセーフティリレーです。たくさんの門のカメラを1か所でまとめて見るのが警備室で、これがセーフティコントローラにあたります。

左の項目ごとの違い。右の列の働きが、そろって入っているのがセーフティリレーです

ふつうのリレーセーフティリレー
入力1本の信号2本の信号(2チャンネル)を比べる
中のリレー1つ2つ(強制ガイドの作り)を直列に
接点がくっついたら気づかず、切れないまま次のリセットを受け付けない
線が切れたら作り方しだい止まる側に倒れる
動き出し信号が戻れば戻るリセットの操作をしてから

ここで「ふつうのリレーを2つ使えば同じでは?」と思った方へ。2つ並べるだけでは、片方がくっついたことに気づく回路まで自分で作る必要があり、その回路の正しさも確かめなければなりません。セーフティリレーは、その見張りまで含めて1つの箱にまとめ、安全の性能を確かめた部品です。

セーフティリレーは、安全の回路の「検出→判断→遮断」の3段のうち、判断を受け持ちます。全体の地図は、安全制御の全体像の記事で説明します(公開しだいリンクします)。

セーフティリレーは2人1組の門番、セーフティコントローラはたくさんの門を見る警備室にたとえたイラスト

中身のしくみ:2つのリレーと見張りの回路

ひとことで言うと出力は2つのリレーを直列にした道を通り、リセットのたびに見張りの回路で「くっついていないか」を確かめます。

セーフティリレーの中では、2つのリレー(ここでは K1・K2 と呼びます)が、それぞれ入力1・入力2の信号で動きます。出力の道は K1 の接点と K2 の接点を直列につないだものなので、どちらか片方が切れれば出力は切れます。

K1・K2 には強制ガイドという作りのリレーが使われます。ふだん閉じている接点と、ふだん開いている接点が、機械的につながっていて同時に閉じない作りです。メーカーの資料では、この作りのおかげで、ふだん閉じている接点を見張る回路に入れておけば、開いている側の接点が本当に開いたことを確かめられると説明しています。

たとえると

門番2人が門のかんぬきを片方ずつ持っていて、2本とも外れないと門が開かない、と考えてください。交代のときには、2人の手がかんぬきから離れているか(くっついて固まっていないか)を見てから、次の当番を始めます。

次の動く図で、ふだんの止まり方と、接点がくっついたときの動きを比べてみましょう。

動かして確かめる

セーフティリレーの中には、2人の門番のように2つのリレー(K1・K2)が入っていて、出力は2つを直列にした道を通ります。「リセット」で動かせる状態にしてから、非常停止を押したり、「故障」を選んでから同じ操作をしたりしてみてください。

非常停止 (接点が2つ) 入力1 入力2 セーフティリレーの中 K1 切れている K2 切れている 出力の道(K1 と K2 の直列) K1 の接点 K2 の接点 見張りの回路(リセットの前に確かめる) K1 OK? K2 OK? 外 OK? くっつきなし 接触器の補助接点から戻す線 電磁 接触器 切れている 止まっている K1・K2 は、ふだん閉じている接点と開いている接点が同時に閉じない「強制ガイド」の作り。くっつくと見張りの回路の接点が閉じなくなる

いまの様子:K1・K2 とも切れています。「リセット」を押すと、見張りの回路を確かめてから2つを入れます。

動きは説明のための作り物です。本物の端子の名前・配線・リセットの方式は機種ごとに違うので、取扱説明書の配線例に従います。

見てほしいのは、K1 がくっついてもK2 が切れるので、非常停止では止まること、そしてそのあとのリセットを受け付けないことです。外の電磁接触器がくっついた場合も、接触器の補助の接点から戻す線(見張りの線)で見つけられます。ある取扱説明書では、外のコンタクタのふだん閉じている接点を直列にして見張りの入力につなぎ、待っている状態では閉じていなければならない、と書かれています。

つまり、セーフティリレーの安全は、箱の中の2つのリレーと、外の接触器のくっつきの見張りの両方でできています。接触器を1つだけにしたり、見張りの線をつながなかったりすると、箱の性能を生かせません。

出典

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セーフティリレーの中で、2つのリレーと見張りの回路がどうつながるかの図

セーフティリレーとセーフティコントローラ、どちらを選ぶ?

ひとことで言うと止めたい場面が1〜2個で止め方も同じならセーフティリレー、3個以上か区域ごとに止め方を変えるならセーフティコントローラを考えます。

門番(セーフティリレー)は、1つの門を見張るのが得意です。門が増えたら門番も増やせますが、ある門が開いたらこの区域だけ止める、別の門なら全部止める、と組み合わせが増えると、門番どうしの連絡(配線)がこみ入ってきます。そうなったら警備室(セーフティコントローラ)の出番です。

上の行から当てはめます。3個という目安は、メーカーの製品の区分(2台分・3台分)から読んだもので、規格の決まりではありません

条件向いているもの理由
安全機能が1〜2個で、止め方が同じ(全部止める)セーフティリレー配線だけで決まり、設定のパソコンが要らない
止めたい場面が3個以上セーフティコントローラを検討メーカーの資料でも、ふつう3台のセーフティリレーを使う機械向けの製品がある
区域ごとに止める範囲を変えたい・運転の方式で働きを切りかえたいセーフティコントローラ組み合わせを画面で設定でき、配線が増えない
遅れて切る出力が要る(停止カテゴリ1)遅延の出力を持つセーフティリレーか、コントローラ遅延の時間を設定できるものを選ぶ
ライン全体・ロボットや多くの軸とまとめたい安全 PLC安全専用のプログラムと通信で、大きな設備をまとめられる
迷ったらあとで増える見込みがあればセーフティコントローラセーフティリレーの台数は、増えるたびに配線もやり直しになる

Banner Engineering の選定ページでは、セーフティリレー2台の代わりになる小さなコントローラ、ふつう3台のセーフティリレーを使う機械向けの安全入力26点のコントローラ、3台以上を使う複雑な用途向けで安全入力を最大154点まで増やせるコントローラ、と並べて紹介しています。セーフティリレーの台数が、選び分けのものさしになっているのがわかります。

実務の判断のコツ

どちらにするか迷ったときは、安全機能の数そのものより、「止める範囲が区域ごとに分かれているか」と「あとから扉やライトカーテンが増えそうか」を先に見ます。止める範囲が機械全体の1つだけなら、扉が増えてもセーフティリレーの入力を直列にして足せることが多く、配線も読みやすいままです。区域ごとに止め方が違う機械や、試運転のあとで安全機能が増えがちな機械は、最初からセーフティコントローラにしておくと、変更が配線の引き直しではなく設定の変更で済みます。

出典

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セーフティリレー・セーフティコントローラ・安全PLCを選ぶ判定フロー

選ぶ前に決めておく5つの条件

ひとことで言うとつなぐ入力の機器・止め方・リセットの方式・出力の数と電流・電源の5つを、カタログを開く前に紙に書き出します。

門番を雇う前に、「どんな門か」「異常のときにどう閉めるか」「交代の合図はだれが出すか」を決めておくのと同じです。

調べてまとめたこの節の、メーカーごとの仕様の例(入力の種類・リセット・接点の値)は、メーカーの取扱説明書を調べてまとめました。決める順番と見方は、筆者の実務の考え方です。

上から順に決めます。ある取扱説明書では、つまみで入力の組み合わせ・リセットの方式・線どうしの短絡の見張りを選べるようになっていて、1台で何通りにも使えます

決めること選ぶものカタログ・取扱説明書で見る欄
1 入力の機器非常停止・扉のスイッチ(機械式)・磁気式・ライトカーテン(半導体の出力)・両手操作「使える入力機器」「入力の組み合わせ(NC/NC・NC/NO)」「半導体出力の機器の接続」
2 止め方すぐ切る(停止カテゴリ0)か、減速して止めてから切る(停止カテゴリ1)か「即時接点」「遅延接点」「遅延時間の範囲」
3 リセットの方式ボタンを押して離したときに受け付ける(手動)か、自動か「起動条件」「リセットの監視(立ち下がり検出)」
4 出力の数と電流切る接触器の数・そのコイルの電流・PLC に知らせる信号「安全接点の数」「使用カテゴリー DC-13 の電流」「最小の開閉電流」「補助出力」
5 電源DC24V か AC か「定格動作電圧」「消費電力」

ここで間違えやすいのが、ライトカーテンのような半導体の出力を持つ機器です。機械式のスイッチと違い、自分で出力の検査の信号を出すものがあり、セーフティリレーの入力がそれに対応しているかを確かめます。取扱説明書の「使える入力機器」の欄に、ライトカーテンの規格(IEC 61496 など)が書かれているかを見ます。

止め方(停止カテゴリ)とリセットの考え方は、どれも規格に元があります。規格の解説では、インターロック付きの扉などを閉めてリセットしただけで危ない動きが始まってはならない、とされています。

出典

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制御盤の中のセーフティリレーと、つながる機器のイラスト

セーフティリレーの選び方:5つの順番

ひとことで言うと安全機能を1行ずつ書く → 種類を決める → 入力と止め方 → リセットと出力 → 取扱説明書の配線例で確かめる、の順です。

門番で言えば、「門をいくつ見張るか」を決めてから、「門番を何組雇うか、警備室にするか」を決め、最後に「合図の決まり」を確かめる順番です。

STEP 1

安全機能を1行ずつ書き出す。「扉Aが開いたら機械全体を止める」「非常停止で全部止める」のように、何が起きたら何を止めるかを1行ずつ。止める範囲と止め方(すぐ/遅れて)も書きます。

STEP 2

セーフティリレーか、コントローラかを決める。④の表で、行の数と止める範囲の違いから決めます。セーフティリレーなら、行ごとに1台が目安です。

STEP 3

入力の機器と止め方から、機種の候補を絞る。⑤の1と2。ライトカーテンをつなぐか、遅れて切る出力が要るかで、候補のシリーズが分かれます。

STEP 4

リセットの方式と、出力の数・電流を確かめる。人が中に入れる機械は手動リセット。切る接触器の数だけ安全接点があるか、コイルの電流が接点の定格に入るか(⑨)。

STEP 5

取扱説明書の配線例で、全体を確かめる。メーカーの配線例に、自分の機器の組み合わせ(2チャンネル・見張りの線・リセット)が載っているかを見ます。載っていない組み方は、まずメーカーに確かめます。

5番目が大事な理由は、セーフティリレーの安全の性能が、取扱説明書どおりにつないだときに初めて出るからです。ある取扱説明書には、説明書どおりに正しく行われている場合に限り安全機能が保たれる、と書かれています。

また、カタログの「カテゴリー4・PL e」は、その部品が使える上限です。機械の安全機能全体の性能は、つなぐ検出の部品・接触器・配線を合わせて評価します。

出典

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セーフティリレーを選ぶ5つの順番

計算してみよう①:安全の入力は何点要る?

ひとことで言うと2チャンネルの機器は1台で2点。機器の数×2に、リセットと見張りの線を足すと、コントローラに要る安全入力の点数が出ます。

セーフティコントローラを選ぶときは、安全の入力の点数が足りるかを数えます。数えずに選ぶと、あとで扉を1枚足したときに入力が足りず、機種ごと替えることになります。

たとえると

警備室のモニターの数を決めるのと同じです。カメラが1つの門に2台ずつ付いていれば、門の数の2倍のモニターが要ります。ほかに、交代の合図の線や、かんぬきの見張りの線のぶんも要ります。

式の出どころ:2チャンネルの機器は、2本の信号をそれぞれ別の入力で受けて比べます。だから1台で2点です。そこに、リセットのボタン(1点)と、電磁接触器のくっつきの見張りの線(接触器の組ごとに1点など、機種で違う)を足します。

安全入力の点数 = 2チャンネルの機器の数 × 2 + リセット + 見張りの線

  • 2チャンネルの機器:非常停止ボタン・扉のスイッチ・ライトカーテンなど。1台ずつ別に入れると、どれが押されたかが画面でわかる
  • リセット:手動リセットのボタン。区域ごとにリセットを分けるなら区域の数だけ
  • 見張りの線:接触器の補助接点から戻す線。止める区域の数だけ要ることが多い(つなぎ方は機種で違う)
計算例
計算例1:非常停止3個・扉2枚・ライトカーテン1組の機械(値は例)
非常停止ボタン(2チャンネル × 3個)
2 × 3 = 6 点
扉のスイッチ(2チャンネル × 2枚)
2 × 2 = 4 点
ライトカーテン(2本の出力 × 1組)
2 × 1 = 2 点
リセットのボタン(1か所)
1 点
見張りの線(止める区域2つ × 1本)
2 点
合計して、安全入力26点のコントローラと比べる
6 + 4 + 2 + 1 + 2 = 15 点 → 26 − 15 = 11 点あまる
15点。26点のコントローラなら11点の余り(扉を数枚足しても入る)

同じ機械をセーフティリレーで組むと、非常停止・扉A・扉B・ライトカーテンで、少なくとも4つの安全機能があります。区域ごとに止め方が違えば、セーフティリレーは4台前後になり、それぞれの出力を組み合わせる配線も要ります。④の表の「3個以上」に当たるので、この例ではコントローラが候補になります。

ここで間違えやすいのですが、非常停止ボタンを3つ直列にして1つの入力にまとめることもできます。点数は減りますが、どのボタンが押されたかが入力からはわからなくなり、2つ以上のボタンの故障が重なると見つけにくくなることがあります。まとめてよいかは、取扱説明書と、安全機能全体の評価で決めます。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

安全入力の点数を数えて、コントローラの入力点数と比べる図

計算してみよう②:遅れて切る時間(停止カテゴリ1)

ひとことで言うと遅れて切る時間は「減速して止まるまでの時間+余裕」。止まりきる前に切れると、惰性で回る止め方に変わってしまいます。

インバータやサーボで動く機械を、非常停止で「減速して止めてから電気を切る」(停止カテゴリ1)ようにするには、セーフティリレーの遅れて切る出力を使います。すぐ切る出力でインバータに「止まれ」を伝え、遅れて切る出力で、止まったころに動力を切ります。何秒遅らせるかを決めないと、遅延の設定ができません。

たとえると

門番が「閉門」を告げてから、実際にかんぬきを下ろすまでに少し待つのと同じです。中の人が出きる前に閉めると、門に人がはさまります。待ちすぎると、閉めたいときに閉まりません。

パナソニックの資料(受注終了品)では、すぐ切る接点(停止カテゴリ0)が3つ、遅れて切る接点(停止カテゴリ1)が2つあり、遅れの時間は 0.1〜30 秒の範囲で設定できる、と書かれています。

式の出どころ:遅れて切る出力は、機械が止まりきったあとに切れてほしいので、止まるまでの時間より長くします。止まるまでの時間は、インバータに設定した減速時間(最高の速さから0まで落とす時間)が目安です。重さや回生の具合で少しのびることがあるので、余裕を足します。

遅れて切る時間[s] = 減速して止まるまでの時間[s] + 余裕[s]

計算例
計算例2:減速時間 1.5 秒のコンベアを、停止カテゴリ1で止める(値は例)
インバータの減速時間の設定(例)
1.5 s
余裕(例。実際に止まるまでの時間を測って決める)
0.5 s
遅れて切る時間(足し算)
1.5 s + 0.5 s = 2.0 s
設定できる範囲に入るか(受注終了品の資料の例:0.1〜30 s)
0.1 ≦ 2.0 ≦ 30 → 入る
減速時間を 3.0 s に変えたら、遅れて切る時間はいくつか
3.0 s + 0.5 s = 3.5 s
見直さずに 2.0 s のままだと
3.0 s > 2.0 s → 止まる前に切れ、惰性で止まる(カテゴリ0と同じ)
遅れて切る時間は 2.0 秒。減速時間を変えたら、遅延も必ず見直す

答えの意味を言葉にすると、遅れて切る時間は、インバータの減速時間とセットの値だということです。片方だけ変えると、狙った止まり方になりません。回生で減速中にトリップすると、インバータの出力が止まって惰性で回ることがあり、その場合も遅延の時間が過ぎれば動力は切れます。

実務の判断のコツ

遅れて切る時間は、インバータの減速時間の設定値から決め、「減速時間を変えたら遅延の時間も見直す」と、図面とパラメータの一覧の両方に書いておきます。試運転で減速時間をのばすことはよくありますが、盤の中の遅延の設定は目に入りにくく、忘れられやすいからです。決めたあとは、実際に非常停止を押して、止まりきってから動力が切れるかを確かめます。

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情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

非常停止のあと、減速して止まってから遅れて出力を切るタイミングチャート

計算してみよう③:出力の接点に流す電流

ひとことで言うと安全接点に流す電流は、最大(DC-13 の定格)より小さく、最小の開閉電流より大きくします。PLC の入力は小さすぎることがあります。

セーフティリレーの安全接点には、流してよい電流の上限と下限があります。電磁接触器のコイルのように大きめの電流は上限を、PLC の入力のような小さな電流は下限を確かめます。

たとえると

門番のかんぬきには、重すぎる門は支えられない(上限)、軽すぎる門は風でがたついて閉まったかわからない(下限)、という向き不向きがあります。電気の接点も同じで、小さすぎる電流では接点の表面の薄い膜を破れず、つながりが不安定になります。

ある取扱説明書では、安全接点の値が「最大 250 V・6 A、最小 10 VDC・10 mA」で、コイルのように切るときに逆向きの電圧が出る直流の負荷の使い方(使用カテゴリー DC-13)では 24 V・4 A と書かれています。

式の出どころ:流れる電流と定格を比べるだけです。PLC の入力のほうは、入力を1本の抵抗と見なして、オームの法則(電流 = 電圧 ÷ 抵抗)で電流を出します。

最小の電流 ≦ 流れる電流 ≦ DC-13 の定格電流 、 PLC の入力の電流 = 24 V ÷ 入力の抵抗

計算例
計算例3:電磁接触器のコイルと、PLC の入力をつないだ場合
接触器のコイルの電流(例。カタログの値を見る)
0.3 A
DC-13 の定格(ある取扱説明書の値)と比べる
0.3 A ≦ 4 A → 入る(4 ÷ 0.3 = 約13倍の余裕)
PLC の入力の抵抗(三菱電機 FX5U の取扱説明書)
4.3 kΩ = 4300 Ω
PLC の入力の電流(24 V ÷ 4300 Ω × 1000)
24 ÷ 4300 × 1000 = 5.58 mA
最小の開閉電流(ある取扱説明書の値)と比べる
10 mA > 5.58 mA → 足りない
PLC には何でつなぐか
補助の出力や、知らせ用の出力を使う
接触器のコイルは安全接点で切ってよい。PLC への知らせには安全接点を使わない

答えの意味を言葉にすると、安全接点は大きめの負荷を確実に切るための接点で、PLC の入力のような小さな電流は苦手なことがある、ということです。この取扱説明書の機種には、PLC に状態を知らせるための補助接点や、半導体の信号出力が別に用意されています。

実務の判断のコツ

セーフティリレーの状態を PLC に知らせたいときは、安全接点を1つ使ってしまわずに、補助の出力や信号出力を使います。安全接点は機械を止めるためだけに使い、数が足りなければ強制ガイドのリレーや接触器で増やします。安全接点を PLC の入力に回すと、小さな電流で接触が不安定になるうえ、止めるための接点の数も減ってしまうからです。

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情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

安全接点に流す電流が、最大と最小のあいだに入るかを比べる図

メーカー・機種で違う点を、公開資料で比べる

ひとことで言うと同じセーフティリレーでも、設定のしかた・遅延の有無・リセットの方式・入力の種類が機種で違います。カタログの欄の名前で見比べます。
調べてまとめたこの節の表は、各社が公開している取扱説明書と製品ページを調べてまとめました。社の優劣ではなく、機種ごとの違いの例です。

門番にも、「1つの門専用」「閉門を待てる」「警備室にまとめられる」といった違いがあります。確かめられた公開資料から、違いの出る欄を並べます。

左の資料ごとの違い。どの機種も、正式な値と配線は最新の取扱説明書で確かめます

資料何ができるか設定のしかた見どころ
Schmersal SRB-E-301ST(取扱説明書)2チャンネル入力・安全接点3つ・補助接点1つロータリーノブでリセットの方式・短絡の見張り・入力の組み合わせを選ぶ非常停止時の応答 10 ms 未満、安全接点 DC-13 24 V/4 A
パナソニック SRB324ST(受注終了品)すぐ切る接点3つ+遅れて切る接点2つディップスイッチで遅れの時間 0.1〜30 s停止カテゴリ1を1台で
Banner SC10(選定ページ)セーフティリレー2台の代わり画面で入力と論理を設定リレーとコントローラの中間
Banner SC26(選定ページ)安全入力26点画面で設定ふつう3台のセーフティリレーを使う機械向け
Banner XS26(選定ページ)安全入力を最大154点まで増やせる画面で設定・増設3台以上を使う複雑な機械向け
メーカーで違う

リセットの受け付け方(ボタンを押して離したときに受け付けるか)、短絡の見張りの有無、ライトカーテンをつなげるか、は機種や設定で違います。お使いの機種の取扱説明書の「端子の説明」「動作原理と設定」の章で確かめてください。

ここで出したメーカー名は、公開資料で中身を確かめられたものだけです。国内外のほかのメーカーにも、同じ考え方のセーフティリレー・セーフティコントローラがあります。

配線で決めるセーフティリレーと、画面で設定するセーフティコントローラの違いのイラスト

選んだあとに:配線の確かめと、リセットできないとき

ひとことで言うと配線のあとは、取扱説明書の機能テストで「止まる・くっつきを見つける」を確かめます。リセットできないときは、入力 → 見張りの線 → リセットのボタンの順に見ます。

門番を雇ったら、本当に門を閉めるか、居眠りに気づくかを、一度試します。セーフティリレーも、つないだあとにわざと止めてみる確かめが要ります。

注意|ここで間違えやすい

盤の中の配線を確かめるときは、電源を切って検電してから行います。安全の回路の入力を線でつないで(短絡させて)動かすことは、安全のしくみを無効にすることになるので、試験のためでも行いません。

取扱説明書には、立ち上げのときの機能テストの手順が書かれています。非常停止を押す・扉を開ける、で出力が切れるか、片方の入力だけを切ったときにリセットできないか、を順に確かめます。

上の行から順に確かめます。左の列が今の症状に近い行を探してください。

症状・いつ出るかまず疑う原因確かめる場所・測るもの直し方
リセットしても出力が入らない(どの入力も戻したのに)見張りの線が開いている(接触器のくっつき・補助接点の配線外れ)接触器の補助接点の状態と、戻す線の端子接触器のくっつきなら接触器を交換。配線を図面どおりに
リセットしても入らない(ランプが片方の入力だけ点く)2本の入力の片方が来ていない(スイッチの片方の接点・断線)入力1・入力2のランプ、スイッチの2つの接点スイッチか線を直す。片方だけの故障は放置しない
リセットのボタンを押しても反応しないボタンを押して離したときに受け付ける方式なのに押しっぱなし・ボタンの接点リセットの方式の設定と、ボタンの配線設定と操作のしかたを取扱説明書で確かめる
ときどき勝手に出力が切れる2本の入力の切りかわりのずれ・線どうしの短絡の見張りが働いたエラーのランプの点滅のしかた(取扱説明書の表)スイッチの取り付けのがたつき・配線の傷を直す

多くのセーフティリレーは、エラーの種類をランプの点滅で知らせます。点滅の回数や速さの意味は機種ごとの表にあるので、交換する前に取扱説明書の表と照らし合わせます。

扉を開けたら止めるしくみ(インターロック)を、無効にすることの危険と法令の決まりは、同じ筆者が運営する職場の安全衛生のブログ anzen-zukan.jp のインターロックとは(機械安全のしくみ)で解説しています。

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おすすめの道具

注意の箱のとおり、盤の中の配線を確かめる前に、主電源が切れたことを検電で確かめます。その交流の電源を確かめる道具の例です。日置電機の検電器 3480 は、販売ページの表示では、交流 40〜600V の電圧を被覆の上から赤い光とブザーで知らせる検電器で、感度の調整(40〜80V)と電池の消耗表示があり、測定カテゴリは CAT IV 600V です。ただし交流専用。セーフティリレーの DC24V の回路の電圧はわからないので、直流はテスターで確かめてください。

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よくある質問

Q. セーフティリレーとは何ですか?

A. 非常停止や扉のスイッチの信号を2本で受け、2つがそろって安全なときだけ出力を入れ、自分の故障にも気づける安全専用のリレーです。

Q. セーフティリレーとふつうのリレーの違いは何ですか?

A. 中の2つのリレーが強制ガイドの作りで、接点がくっつくと次のリセットを受け付けません。ふつうのリレーは自分で気づけません。

Q. セーフティリレーとセーフティコントローラはどう選びますか?

A. 安全機能が1〜2個で止め方が同じならセーフティリレー、3個以上や区域ごとに止め方を変えるならセーフティコントローラを考えます。

Q. 安全リレーの遅延時間はどう決めますか?

A. 停止カテゴリ1なら、インバータなどで減速して止まるまでの時間に余裕を足して決めます。減速時間を変えたら見直します。

Q. セーフティリレーの接点でPLCに信号を送ってもいいですか?

A. 安全接点は最小の電流がPLC入力より大きいことがあるため、補助の出力や信号出力を使うのが基本です。

Q. セーフティリレーがリセットできないのはなぜですか?

A. 入力の片方が来ていないか、接触器のくっつきを見張る線が開いていることが多いです。ランプとエラーの表示から確かめます。

まとめ:セーフティリレーは、2人1組の門番

POINT
  • セーフティリレーは、2本の信号がそろって安全なときだけ出力を入れる、安全専用のリレー
  • 中の2つのリレーは強制ガイドで直列。接点がくっつくと、次のリセットを受け付けない
  • 外の接触器のくっつきも、補助接点から戻す見張りの線で見つける
  • 安全機能が1〜2個で止め方が同じならセーフティリレー、3個以上や区域ごとならセーフティコントローラ
  • 入力点数は「機器の数 × 2+リセット+見張りの線」。例では15点
  • 遅れて切る時間は減速時間+余裕(例 2.0 秒)。減速時間を変えたら見直す
  • 安全接点は接触器を切るために使い、PLC への知らせは補助の出力で

判断の部品が決まったら、安全の回路全体の地図と、それを入れる制御盤、動かす電源へ進みましょう。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。

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セーフティリレーは、制御盤の中で電源・電磁接触器・PLC とつながって働きます。盤の中身と、まわりの機器の選び方を読むと、配線の全体が見えてきます。

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