圧力換算の早見表|MPa・kPa・bar・psi・kgf/cm²の換算と計算

圧力換算の早見表。工場の配管についた圧力計の写真風の画像 空圧と油圧
1 MPa ≒ 10 bar ≒ 145 psi ≒ 10.2 kgf/cm²1 MPa = 1000 kPa。1 kgf/cm² = 0.0980665 MPa、1 psi = 約6.895 kPa(この記事の換算係数の出どころは本文)

圧力換算は、まず MPa(メガパスカル)にそろえるのが近道です。bar は MPa の数字を10倍するだけ。kgf/cm² は bar より約2%小さい単位です(1 kgf/cm² = 0.980665 bar)。工場の圧力計がふつう示すのはゲージ圧で、絶対圧はそれに大気圧(約0.1013 MPa)を足します。

この記事では、圧力の単位をお金の通貨にたとえて、最後までその話で説明します。円・ドル・ユーロが同じお金を違う数字で表すように、MPa・bar・psi も同じ圧力を違う数字で表しているだけです。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

調べてまとめたこの記事は、筆者の本職(電気・制御)の外の内容を、法令・海外の公的機関の資料・メーカーの技術資料で調べてまとめました。⑪の圧力センサの計算だけは、電気・制御の側から見た注意点です。

圧力とは?面積あたりにかかる力の強さ

ひとことで言うと圧力は、力を、その力を受ける面積で割ったものです。同じ力でも、狭い面にかかるほど圧力は大きくなります。
たとえると

雪の上を歩くところを想像してください。スキー板をはくと、ほとんど沈みません。同じ人がハイヒールで立つと、ずぶずぶ沈みます。体の重さ(力)は同じなのに、雪を押す面積が違うからです。雪が感じているのは「力」ではなく、「面積あたりの力」=圧力です。

式で書くと、次のとおりです。ここでの力は、重さによる力や、空気や油が押す力のことです。

圧力 P = 力 F ÷ 面積 A

  • P:圧力。単位は Pa(パスカル)
  • F:力。単位は N(ニュートン)。地球の上では、1 kg のものは約 9.8 N の力で下に引かれます
  • A:力を受ける面積。単位は m²(平方メートル)

つまり、1 Pa は「1 m² の面に 1 N の力がかかったときの圧力」です。計量単位令でも、パスカルは「一平方メートルにつき一ニュートンの圧力」と決められています。

工場の空気(圧縮空気)や油の圧力も同じ考え方です。タンクや配管の中の空気が、内側の壁の1 m² あたりをどれだけの力で押しているか、を表しています。

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パスカル(Pa)と kPa・MPa:千円札と百万円の束

ひとことで言うと1 Pa はとても小さい圧力です。そこで、千倍の kPa(キロパスカル)、百万倍の MPa(メガパスカル)を使います。

1 Pa がどれくらい小さいかを確かめます。A4 の紙1枚(重さを 4 g とします)を机に置くと、紙の重さによる力は 0.004 kg × 9.8 = 約0.039 N、紙の面積は 0.21 m × 0.297 m = 約0.062 m² です。割ると約0.63 Pa。紙1枚が机を押す圧力より少し大きい程度が 1 Pa です。

たとえると

お金で、1円玉を何十万枚も数えるのは大変です。だから千円札や、百万円の束を使います。圧力も同じで、1 Pa を千個まとめたものが 1 kPa(千円札)、百万個まとめたものが 1 MPa(百万円の束)です。

上から順に1000倍ずつ大きくなります。工場の空気の圧力は MPa、大気圧は kPa で書くことが多いです

単位読み方Pa にするとよく出てくる場面
Paパスカル1 Paごく小さい圧力の差(クリーンルームの室内と外の差など)
kPaキロパスカル1000 Pa大気圧(約101.3 kPa)、タイヤの空気圧、真空の度合い
MPaメガパスカル1,000,000 Pa工場の空気(0.5〜0.7 MPa くらい)、油圧、配管の耐える圧力

1 MPa = 1000 kPa = 1,000,000 Pa です。ここが1000倍ずれると、10倍どころではない大きな間違いになるので、桁は毎回確かめます(⑫)。

パスカル・キロパスカル・メガパスカルの大きさの違いと身近な圧力の目安の図

圧力の単位は「お金の通貨」:MPa・bar・psi・kgf/cm²

ひとことで言うと単位が違っても、表している圧力は同じです。違うのは「1 の大きさ」だけで、換算は為替レートを掛けるのと同じ計算です。
たとえると

100ドルを円に直すときは、為替レートを掛けます。ドルも円も、同じお金を違う数字で表しているだけです。圧力の単位も同じで、「1 bar は 0.1 MPa」というレートを覚えておけば、どの単位でも行き来できます。圧力のレートは、為替と違って毎日変わりません。定義で決まっています。

工場でよく見る単位を、生まれた考え方ごとに並べます。

右の列は「1 MPa はその単位でいくつか」。数字が大きいほど、その単位の1つ分が小さいということです

単位読み方どんな考え方の単位か1 MPa にすると
MPa・kPaメガ/キロパスカル国際単位系(SI)。N ÷ m²1 MPa
barバールちょうど 100,000 Pa。大気圧に近い大きさの区切りのよい単位10 bar
kgf/cm²キログラム重毎平方センチメートル1 kg の重さの力 ÷ 1 cm²。昔の日本の図面や圧力計に多い約10.2 kgf/cm²
psiピーエスアイ1 ポンドの重さの力 ÷ 1 平方インチ。アメリカで使われる約145 psi
atm気圧海面の平均の大気圧をもとにした単位(101,325 Pa)約9.87 atm
mmHg水銀柱ミリメートル水銀の柱を何 mm 押し上げるか。血圧で使う約7501 mmHg

kgf/cm² は「キロ」とつくので、キログラム(重さ)と混ざりやすい単位です。正しくは「1 kg の物の重さが生む力(約9.8 N)が、1 cm² にかかった圧力」です。

圧力の単位はお金の通貨のように、同じ量を違う単位で表しているだけであることを示すイラスト

圧力換算の早見表:MPa・kPa・bar・psi・kgf/cm²

ひとことで言うと迷ったら、まず MPa に直してから目的の単位へ。下の2つの表で、ほとんどの場面に足ります。

1つ目は、左の単位の「1」が、右の単位でいくつになるかの表です。計量単位令と NIST(アメリカ国立標準技術研究所)の定義から計算し、メーカーの換算表と6けたまで一致することを確かめました。

左の列の単位の「1」を、右の各単位で表した値です。たとえば 1 kgf/cm² の行を右へ読むと、0.0980665 MPa・98.0665 kPa…となります

1 の単位MPakPabarpsikgf/cm²
1 MPa1100010145.03810.1972
1 kPa0.00110.010.1450380.0101972
1 bar0.1100114.50381.01972
1 psi0.006894766.894760.068947610.0703070
1 kgf/cm²0.098066598.06650.98066514.22331
1 atm0.101325101.3251.0132514.69591.03323

2つ目は、工場の空気でよく使う 0.1〜1.0 MPa を、ほかの単位で表した早見表です。

左の MPa の値を、右の単位に直した値です(psi は小数第1位、kgf/cm² は小数第2位で四捨五入)。0.9 MPa は 9 bar・130.5 psi・9.18 kgf/cm² です

MPakPabarpsikgf/cm²
0.1100114.51.02
0.2200229.02.04
0.3300343.53.06
0.4400458.04.08
0.5500572.55.10
0.6600687.06.12
0.77007101.57.14
0.88008116.08.16
1.0100010145.010.20
注意|ここで間違えやすい

この表の値はすべて「ゲージ圧どうし」「絶対圧どうし」の換算です。ゲージ圧を絶対圧に直すときは、単位を変えるのとは別に、大気圧を足す計算が要ります(⑧)。

出典

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1 MPa を kPa・bar・psi・kgf/cm²・atm で表した値の比較図

計算してみよう①:kgf/cm² と psi の換算係数はどこから来た?

ひとことで言うとどちらも「ある重さの物が生む力 ÷ ある面積」。重さを N に、面積を m² に直して割ると、Pa にいくつかが出ます。

換算係数を丸暗記していると、桁を1つ間違えても気づけません。係数がどこから来たかを1回たどっておくと、「だいたい合っているか」を自分で確かめられます。そのための計算です。

たとえると

為替レートの裏に「1ドルで買えるものの量」があるように、kgf/cm² の裏には「1 kg のおもりを、1 cm² の上に置いた」という具体的な場面があります。場面を思い浮かべると、レートが腑に落ちます。

式の出どころ:②の「圧力 = 力 ÷ 面積」そのものです。力は「質量 × 重力の加速度」で出します。重力の加速度は、計量の世界で 9.80665 m/s² と決められた値(標準の重力加速度)を使います。

1 kgf/cm² = (1 kg × 9.80665 m/s²) ÷ 1 cm²

計算例
計算例1:1 kgf/cm² は何 Pa か
1 kg の物が生む力を N に(質量 × 重力の加速度)
1 kg × 9.80665 m/s² = 9.80665 N
1 cm² を m² に直す(1 cm = 0.01 m なので、0.01 × 0.01)
1 cm² = 0.0001 m²
力を面積で割る(圧力 = 力 ÷ 面積)
9.80665 N ÷ 0.0001 m² = 98,066.5 Pa
kPa・MPa に直す(1000 と 1,000,000 で割る)
98.0665 kPa = 0.0980665 MPa
1 kgf/cm² = 0.0980665 MPa(およそ 0.1 MPa。bar より約2%小さい)

同じやり方で psi も出せます。ポンド(lb)とインチ(in)は、どちらもメートル法の値で定義されています(1 lb = 0.45359237 kg、1 in = 25.4 mm)。

  • lbf(重量ポンド):1 ポンドの物が生む力
  • in²(平方インチ):1 インチ × 1 インチの面積。1 in = 0.0254 m
計算例
計算例2:1 psi(1 lbf/in²)は何 Pa か
1 ポンドを kg に直す
1 lb = 0.45359237 kg
その物が生む力を N に
0.45359237 kg × 9.80665 m/s² = 4.448222 N
1 平方インチを m² に
0.0254 m × 0.0254 m = 0.00064516 m²
力を面積で割る
4.448222 N ÷ 0.00064516 m² = 6894.757 Pa
kPa に直す
6894.757 Pa = 6.894757 kPa
逆に、1 MPa は何 psi か(1,000,000 を 6894.757 で割る)
1,000,000 Pa ÷ 6894.757 Pa = 145.04 psi
1 psi = 約6.895 kPa、1 MPa = 約145 psi(NIST の表の値と一致)

桁の感覚も確かめます。1 kgf/cm² は「1 kg を小指の先ほどの面積に載せた」圧力で、約0.1 MPa。1 psi はそれより1けたほど小さい約0.007 MPa。工場の空気の 0.7 MPa が「約7 kgf/cm²」「約100 psi」になるのも、この大きさの関係から納得できます。

出典

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kgf/cm² と psi を パスカルに直す換算係数の出どころを示す流れ図

計算してみよう②:よく出る換算3題と、暗算の近道

ひとことで言うとMPa を真ん中に置き、bar は ×10、kPa は ×1000、psi は ×145、kgf/cm² は ×10.2。逆向きは割り算です。

ここでは、図面やカタログを読むときに実際に出てくる3つの場面を、⑤の表の値で解きます。

たとえると

旅行先で「ドルを円にするには、だいたい×◯」と覚えておくと、値札をすぐ読めます。圧力も「MPa から行くときに掛ける数」を4つ覚えておけば、図面を見た瞬間に大きさがつかめます。

計算例
計算例3:古い図面の「使用圧力 7 kgf/cm²」は何 MPa か
1 kgf/cm² = 0.0980665 MPa(⑤の表)
7 × 0.0980665 MPa
掛け算する
= 0.6865 MPa
まるめる
≒ 0.69 MPa
7 kgf/cm² は約0.69 MPa(「0.7 MPa」と読むと約2%大きく見積もることになる)
計算例
計算例4:海外の機械の「100 psi」は何 MPa か
1 psi = 6.89476 kPa(⑤の表)
100 × 6.89476 kPa = 689.476 kPa
kPa を MPa に(1000 で割る)
689.476 kPa ÷ 1000 = 0.6895 MPa
100 psi は約0.69 MPa。7 kgf/cm² とほぼ同じ大きさ
計算例
計算例5:0.7 MPa の空気を、psi と kgf/cm² で言うと
psi へ(1 MPa = 145.038 psi を掛ける)
0.7 × 145.038 = 101.5 psi
kgf/cm² へ(1 MPa = 10.1972 kgf/cm² を掛ける)
0.7 × 10.1972 = 7.138 kgf/cm²
0.7 MPa = 約101.5 psi = 約7.14 kgf/cm²

暗算でよく使う近道に「1 MPa ≒ 10 kgf/cm²」があります。計算すると、本当の値(10.1972)との差は約1.9%です。圧力計の読みの目安には十分ですが、部品が耐える圧力の上限の近くで比べるときは、近道を使わず表の値で計算します。「1 MPa ≒ 145 psi」の差は約0.03%なので、ほぼそのまま使えます。

左の近道を使ったとき、本当の値とどれだけずれるか。右の列が、その近道を使ってよい場面です

近道本当の値差使ってよい場面
1 MPa ≒ 10 bar10 bar(ぴったり)0%いつでも
1 MPa ≒ 145 psi145.038 psi約0.03%ほぼいつでも
1 MPa ≒ 10 kgf/cm²10.1972 kgf/cm²約1.9%目安。上限の近くの比較では使わない
1 bar ≒ 1 kgf/cm²1.01972 kgf/cm²約1.9%目安。同じ単位とみなさない
MPa を中心に、ほかの単位へ換算するときに掛ける数を示した図

ゲージ圧と絶対圧の違い:床から測るか、海面から測るか

ひとことで言うとゲージ圧は大気圧をゼロにした圧力、絶対圧は真空をゼロにした圧力。絶対圧 = ゲージ圧 + 大気圧です。
たとえると

高台の展望台に立つ人の「高さ」は、足もとの床から測れば身長の 1.7 m ですが、海面から測れば 101.7 m かもしれません。同じ頭の位置でも、どこをゼロにするかで数字が変わります。ゲージ圧は「床(まわりの大気)から測った高さ」、絶対圧は「海面(真空)から測った高さ」です。

私たちのまわりには、いつも空気の重さによる圧力(大気圧)がかかっています。海面の平均でおよそ 101.3 kPa(= 0.1013 MPa)です。ふつうの圧力計は、この大気圧をゼロとして目盛りを付けています。長野計器の絶対圧力計のカタログでも、「大気圧をゼロの基準とするゲージ圧を計測する通常の圧力計に対し、絶対圧力計は、完全真空状態をゼロの基準とする」と説明しています。

絶対圧 = ゲージ圧 + 大気圧(約0.1013 MPa)

同じ圧力を2通りで表しています。工場で何も書いていない「◯ MPa」は、ふつうゲージ圧です

呼び方ゼロの基準書き方の例よく使う場面
ゲージ圧まわりの大気圧0.7 MPa、0.7 MPa(G)、psig工場の空気・油圧の圧力計、機器の使用圧力、法令の圧力容器の区分
絶対圧真空0.8013 MPa abs.、psia真空の度合い、空気が何倍に縮むかの計算、気体の計算

たとえば、空気タンクの圧力計が 0.7 MPa を指しているとき、タンクの中の空気の絶対圧は 0.7 + 0.1013 = 0.8013 MPa です。法令もゲージ圧で書かれていて、労働安全衛生法施行令では、第二種圧力容器を「ゲージ圧力0.2メガパスカル以上の気体をその内部に保有する容器」のうち内容積などの条件に当てはまるもの、としています。

注意|ここで間違えやすい

大気圧は天気や標高で少し変わります。ここでは計算をわかりやすくするため、海面の平均の 0.1013 MPa を使っています。真空や気体の量をくわしく計算するときは、その場所の大気圧を使ってください。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

ゲージ圧は床から測った高さ、絶対圧は海面から測った高さにたとえたイラスト

計算してみよう③:0.7 MPa の空気は、何倍に押し縮められている?

ひとことで言うと温度が同じなら、空気の体積は絶対圧に反比例します。0.7 MPa(ゲージ)の空気は、大気の約7.9倍に押し縮められています。

コンプレッサーやエアシリンダが使う空気の量を考えるとき、「タンクの空気は、外の空気の何倍に縮められているか」を知りたくなります。ここで絶対圧を使わないと、答えが大きくずれます。

たとえると

ふとん圧縮袋を思い浮かべてください。ぎゅっと押すほど、ふとんは小さくなります。空気も、押す力(圧力)が2倍になると、体積は半分になります。ただし、ここで言う「押す力」は真空から測った絶対圧です。床から測ったゲージ圧では、この比例が成り立ちません。

式の出どころ:温度が変わらないとき、気体の「圧力 × 体積」は一定です(ボイルの法則)。大気(絶対圧 0.1013 MPa)の空気を、絶対圧 p まで縮めると、体積は 0.1013 ÷ p 倍、つまり p ÷ 0.1013 分の1になります。

縮む倍率 = 絶対圧 ÷ 大気圧 = (ゲージ圧 + 0.1013) ÷ 0.1013

計算例
計算例6:ゲージ圧 0.7 MPa の空気は、大気の何倍に縮んでいるか
ゲージ圧を絶対圧に直す(大気圧を足す)
0.7 MPa + 0.1013 MPa = 0.8013 MPa
大気圧で割る
0.8013 MPa ÷ 0.1013 MPa = 7.91
もしゲージ圧のまま割ってしまうと(まちがい)
0.7 ÷ 0.1013 = 6.91
0.7 MPa(ゲージ)の空気は、大気の約7.9倍の密度。ゲージ圧のまま計算すると約1割少なく見積もる

つまり、0.7 MPa のタンクに 100 L 分の空気が入っているなら、外に出すと約 790 L の空気になります(温度が同じとき)。カタログの「吐き出し空気量」や「空気消費量」が、大気圧の状態に直した量で書かれているのは、この倍率で比べるためです。

水の柱の高さで圧力を表す「水柱(すいちゅう)メートル」や、水力発電の「圧力水頭」の考え方は、同じ筆者が運営する電気と品質管理のブログ shirasusolo.net のベルヌーイの定理の記事で解説しています。

ゲージ圧と、空気が大気の何倍に押し縮められているかの関係のグラフ

計量法で決まっている圧力の単位:kgf/cm² はなぜ消えた?

ひとことで言うと日本の取引や証明に使える圧力の単位は、パスカル・バール・気圧などです。kgf/cm² は1999年9月30日までの猶予で、法定の単位から外れました。

古い図面や圧力計に kgf/cm² が多いのは、昔はそれがふつうの単位だったからです。いまの日本では、計量法という法律が「取引や証明に使ってよい単位(法定計量単位)」を決めています。

たとえると

国が「お店の値札は円で書く」と決めているようなものです。外国の通貨が使えなくなったわけではありませんが、値札(取引や証明)では決められた通貨を使います。

上の3つは、いまも取引や証明に使える単位です。下の2つは、使える場面が限られるか、猶予の期間が終わった単位です

単位計量法での扱いどこに書かれているか
パスカル(Pa)・kPa・MPa法定計量単位計量法 別表第一
バール(bar)法定計量単位(パスカルの十万倍)計量法 別表第一・計量単位令
気圧(atm)法定計量単位(パスカルの101,325倍)計量法 別表第三・計量単位令
水銀柱ミリメートル(mmHg)血圧・生体内の圧力の計量に限って使える計量単位令 別表第六
重量キログラム毎平方メートル(kgf/m²。kgf/cm² はその1万倍)平成11年(1999年)9月30日までの猶予で法定計量単位とみなされた。いまは非法定計量法 附則第3条第3項・附則別表第三

このため、国内向けの新しい機器は MPa・kPa で表示するのが基本です。たとえば、ある流量スイッチのカタログでは、表示の単位を切り替えられる品番に「新計量法上(日本国内は SI 単位)、海外向けのみの販売」と注記しています。

一方で、海外から入ってくる機械の銘板や取扱説明書には、psi や bar がそのまま残っていることがよくあります。だから、換算の力が今も必要なのです。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

計量法での圧力の単位の移り変わりを示す年表

電気・制御の設計者から見た注意点:圧力センサの値を PLC で直す

ひとことで言うと圧力センサは圧力を電流(4〜20 mA など)に変えて PLC に送ります。PLC の中では、電流を比例の式で MPa に直します。

工場の機械では、圧力を人が読むだけでなく、PLC(機械の動きを決める小さなコンピューター)が読んで「圧力が下がったら止める」といった判断をします。そのとき、圧力センサは圧力の大きさを電流の大きさに置きかえて送ります。

たとえると

体温計が熱さを数字に置きかえるように、圧力センサは圧力を電流の強さに置きかえる「通訳」です。0 MPa なら 4 mA、1 MPa なら 20 mA、のように、決まった比例で話します。

式の出どころ:センサの出力は、圧力に比例する直線です。4 mA が測れる範囲の下限、20 mA が上限なので、電流のうち 4 mA を引いた分(0〜16 mA)が、圧力の範囲全体にあたります。

圧力 = 範囲の下限 + (電流 − 4 mA) ÷ 16 mA × (範囲の上限 − 下限)

計算例
計算例7:0〜1 MPa・4〜20 mA の圧力センサが 10.4 mA を出している
4 mA を引く(下限からどれだけ上か)
10.4 mA − 4 mA = 6.4 mA
全体の 16 mA に対する割合
6.4 mA ÷ 16 mA = 0.4
範囲の幅(1 MPa)を掛け、下限(0)を足す
0 + 0.4 × 1 MPa = 0.4 MPa
ほかの単位でも言うと(⑤の表)
0.4 MPa = 4 bar = 58.0 psi = 4.08 kgf/cm²
10.4 mA は 0.4 MPa(ゲージ圧)

次の動く図で、圧力を動かすと、7つの単位の数字とセンサの電流が同時に変わる様子を確かめてみましょう。

動かして確かめる

スライダーでタンクの圧力(ゲージ圧)を変えると、同じ圧力を7通りの書き方で表した数字と、0〜1 MPa・4〜20 mA の圧力センサの電流が同時に変わります。

本当の圧力は1つ(棒の長さ)。数字の書き方だけが違う 真空 大気圧(ゲージ圧の 0) ゲージ圧 絶対圧 0.70 MPa(G) 0.8013 MPa abs.

いまの様子:スライダーを動かすと、ここに説明が出ます。

動きは説明のための作り物です。換算係数は本文⑤の表(NIST SP 811 と計量単位令の定義)、大気圧は海面の平均の 0.1013 MPa、センサは 0〜1 MPa・4〜20 mA の例です。

見てほしいのは、単位の数字はばらばらに変わっても、棒の長さ(本当の圧力)は1つという点です。そして、絶対圧だけはゼロの位置が違うので、ゲージ圧が 0 でも約0.1 MPa を指します。

POINT
  • センサの銘板やデータシートで、測れる範囲と単位(0〜1 MPa か、0〜150 psi か)と、ゲージ圧用か絶対圧用かを先に確かめます。海外の機器は psig(ゲージ)・psia(絶対)と書き分けていることがあります
  • PLC の中で換算するときは、計算に使った範囲・単位・ゲージか絶対かを、プログラムのコメントや図面に書いておくのがおすすめです。センサを別の範囲の品に替えたとき、直す場所がすぐわかります
  • 4 mA を下回る電流は、線が切れた・センサが壊れたサインとして扱える範囲です。0 MPa と区別できるのが 4〜20 mA の利点です
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よくある間違い:桁・2%の差・ゲージと絶対

ひとことで言うと間違いのほとんどは、kPa と MPa の1000倍、bar と kgf/cm² の約2%、ゲージ圧と絶対圧の約0.1 MPa の3つです。
たとえると

両替で多いのは、レートの小数点の位置の見まちがいと、「だいたい同じ」と思った通貨の取りちがえです。圧力換算も同じところでつまずきます。

上から、よく起きる順の目安に並べました。右の列の防ぎ方をチェックリストとして使えます

よくある間違い起きること防ぎ方
kPa と MPa を取りちがえる1000倍ずれる。500 kPa を 500 MPa と書くなど単位を毎回書く。工場の空気は 0.5〜0.7 MPa くらい、と桁の感覚で確かめる
bar と kgf/cm² を同じとみなす約2%ずれる。上限の近くで部品を選ぶと余裕が減る1 kgf/cm² = 0.0980665 MPa、1 bar = 0.1 MPa と分けて計算する
ゲージ圧と絶対圧を混ぜる約0.1 MPa ずれる。空気の倍率の計算は約1割ずれる「G」「abs.」「psig」「psia」の表記を確かめる。気体の計算は絶対圧で
psi の表示を MPa と読む145倍ずれる。100 psi を 100 MPa と読むなど海外の銘板は単位の文字を必ず見る。0.7 MPa ≒ 100 psi を覚えておく
近道(1 MPa ≒ 10 kgf/cm²)で上限を比べる約1.9%甘く見積もる上限の近くの比較は表の値で計算する(⑦)
圧力換算のチェックリスト
  • □ 数字の後ろに単位(MPa・kPa・bar・psi・kgf/cm²)が書いてあるか
  • □ ゲージ圧か絶対圧か(G・abs.・psig・psia)を確かめたか
  • □ MPa に直してから目的の単位へ換算したか
  • □ 答えの桁が、工場の空気(0.5〜0.7 MPa くらい)と比べて不自然でないか
  • □ 部品が耐える圧力の上限と比べるときは、近道でなく表の値を使ったか
圧力換算でよくある4つの間違いを並べた図

よくある質問

Q. 1 MPa は何 kgf/cm² ですか?

A. 1 MPa は約10.2 kgf/cm² です。逆に 1 kgf/cm² は 0.0980665 MPa で、およそ 0.1 MPa です。

Q. 1 MPa は何 bar ですか?

A. 1 MPa はちょうど 10 bar です。1 bar は 100 kPa で、計量法でも法定の単位として認められています。

Q. psi を MPa に換算するには?

A. psi の数字に 0.00689476 を掛けると MPa です。100 psi は約0.69 MPa になります。

Q. bar と kgf/cm² は同じですか?

A. 近いですが同じではありません。1 kgf/cm² は 0.980665 bar で、約2%違います。上限の近くでは分けて計算します。

Q. ゲージ圧と絶対圧の違いは何ですか?

A. ゲージ圧は大気圧を、絶対圧は真空をゼロにした圧力です。絶対圧はゲージ圧に大気圧(約0.1013 MPa)を足して求めます。

Q. kPa と MPa の違いは何ですか?

A. 1 MPa は 1000 kPa です。大気圧は約101.3 kPa、工場の空気は 0.5〜0.7 MPa くらいです。

まとめ:圧力の単位は通貨。MPa にそろえて、レートを掛ける

POINT
  • 圧力は「力 ÷ 面積」。1 Pa は 1 m² に 1 N の力がかかった圧力で、とても小さい
  • 1 MPa = 1000 kPa = 10 bar = 約145 psi = 約10.2 kgf/cm²。迷ったらまず MPa にそろえる
  • kgf/cm² は「1 kg の重さの力 ÷ 1 cm²」で 0.0980665 MPa。bar より約2%小さい
  • 絶対圧 = ゲージ圧 + 大気圧(約0.1013 MPa)。空気が何倍に縮むかは絶対圧で計算する
  • 日本の取引や証明の単位はパスカル・バール・気圧など。kgf/cm² は1999年9月30日までの猶予で外れた
  • 圧力センサの 4〜20 mA は、4 mA を引いて 16 mA で割り、範囲を掛けると圧力になる

単位がそろったら、その圧力の空気を作る機械(コンプレッサー)や、圧力を測るセンサの選び方へ進みましょう。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。

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圧力の数字が読めるようになったら、その数字を PLC やセンサがどう扱うかを知ると、機械の動きがもっとよく見えてきます。

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