物がないのにセンサが反応して機械が止まる。物はあるのに、たまに入らない。センサを交換したのに、また同じことが起きた。
センサの誤動作・誤検出の原因は、ノイズ・取り付け・検出体・設定の4つにしぼれます。最初にセンサ本体のランプと PLC の入力ランプを見比べ、おかしいのがセンサの側か、配線・入力の側かを分けます。
この記事では、センサを工場の番犬にたとえて説明します。番犬が「いないのに吠える」「来ても吠えない」とき、犬が悪いとは限りません。症状から疑う順番を決める切り分け表もあります。
- パナソニック:動力線との並行配線・サージ・相互干渉・検出面の付着物・外乱光・背景物体で誤動作することがある
- 三菱電機 FX5U:入力の ON・OFF の条件、デジタルフィルタ、入力が ON・OFF しないときの確かめ方
- パナソニック デバイスSUNX「近接センサ テクニカルガイド」(用語解説の応差・使用上の注意・相互干渉)
- パナソニック デバイスSUNX「ビームセンサ(光電センサ)テクニカルガイド」(使用上の注意・外乱光・背景物体・相互干渉)
- 三菱電機 MELSEC iQ-F FX5U User’s Manual (Hardware)(JY997D55301U。入力の仕様・デジタルフィルタ・入力が ON/OFF しないときの確かめ方)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。
- 誤検出とは?番犬の2つの失敗
- まず記録:いつ・どんなふうにおかしいか
- 原因は4つにしぼれる:雑音・犬小屋・相手・しつけ
- 最初の分かれ道:センサのランプと入力ランプを見比べる
- センサの誤動作の切り分け表
- ノイズ:まわりの雑音で吠える
- 取り付け:犬小屋の場所がずれている
- 計算してみよう:振動でばたつくか?
- 検出体:相手が見えにくくなった
- 設定:しつけで吠え方を変える(入力フィルタの窓)
- 決まった時だけおかしい:光・温度・汚れ
- 確かめる順番:止める → 見る → 動かして試す → 測る
- 直したつもりで再発する、よくある思い込み
- 仕事で使うとき:誤動作を起こしにくくする設計のチェックリスト
- よくある質問
- まとめ:センサの誤動作は「番犬のまわり」を順に疑う
誤検出とは?番犬の2つの失敗
センサは、物が「ある・ない」「来た・まだ」を電気の ON・OFF で PLC(機械の脳にあたる制御装置)に知らせる部品です。この知らせが、本当の様子と食い違うことを、誤検出や誤動作と呼びます。
番犬の失敗には2つあります。1つは、だれもいないのに吠えること。もう1つは、泥棒が来たのに眠っていて吠えないことです。センサも同じで、ないのに ONになる失敗と、あるのに ON にならない失敗があります。
どの失敗かで、疑う原因の順番が変わります(④)
| 失敗の種類 | センサでは | 機械で起きること |
|---|---|---|
| いないのに吠える | 物がないのに ON(反応しっぱなし・ときどき ON) | 部品がないのに次の動きに進む、異常で止まる |
| 来ても吠えない | 物があるのに OFF(たまに入らない) | 待ち続けて止まる、数え落とす |
| 吠えたりやめたり | ON・OFF が細かくばたつく(チャタリング) | 数が多く数えられる、動きがぎくしゃくする |
ここで大事なのは、どちらの失敗もセンサの故障とは限らないことです。センサそのものが壊れていることは、実はそれほど多くありません。まわりの条件を先に疑います。

まず記録:いつ・どんなふうにおかしいか
誤動作は、起きたり起きなかったりすることが多く、あとから思い出そうとしても条件がわかりません。番犬が吠えたとき、「何時に・何の音がしたか」をメモしておけば、原因が見えてきます。
上から順に、わかる範囲で書きます
| 記録すること | なぜ要るか |
|---|---|
| 症状の形(ないのに ON・あるのに OFF・ばたつく) | 疑う原因の順番が決まる(④) |
| センサ本体のランプと、PLC の入力ランプの様子 | センサの側か、配線・入力の側かが分かれる(⑤) |
| そのとき動いていた機械(モーター・溶接・電磁弁) | ノイズを疑うかが決まる(⑦) |
| 品種・ロット・材料の変更 | 検出体の変化を疑うかが決まる(⑩) |
| 時刻・天気・季節、清掃や段取りの直後か | 外の光・温度・汚れ・取り付けのずれ(⑧⑫) |
| 直前に変えたこと(設定・配線・部品の交換) | 変えた所が原因のことが多い |
自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。

原因は4つにしぼれる:雑音・犬小屋・相手・しつけ
番犬がおかしなときに疑うことは、だいたい4つです。まわりの雑音(工事の音で吠える)、犬小屋の場所と向き(門が見えない所にある)、相手の見えにくさ(黒い服で夜に来る)、しつけ(小さな音でも吠えるように覚えた)。センサでは、それぞれノイズ・取り付け・検出体・設定に当たります。
左の列で覚えておくと、現場で思い出しやすくなります
| 番犬のたとえ | センサの原因 | 具体的には |
|---|---|---|
| まわりの雑音 | ノイズ | モーターやインバータ・電磁弁の電気の揺れが、信号の線に入る |
| 犬小屋の場所と向き | 取り付け | ゆるみ・振動・すきまが限界ぎりぎり・となりのセンサ・周りの金属 |
| 相手の見えにくさ | 検出体 | 材質・色・光沢・透明・大きさが変わった、汚れや付着物 |
| しつけ | 設定 | 感度・入力フィルタ・タイマ・プログラムの条件 |
どれから確かめるかは、症状で変わります。動く図で、症状を選んで「次を確かめる」を押してみてください。
動かして確かめる
いま起きている症状を選んで「次を確かめる」を押すと、どこから順に確かめるかの道筋が1つずつ進みます。番号が、確かめる順番です。
いまの様子:症状を選んで「次を確かめる」を押してください。
動きは説明のための作り物です(順番は、この記事の切り分け表にもとづく目安です。記録から原因の見当がついていれば、そこから確かめてかまいません)。
見てほしいのは、どの症状でも最初の1歩は同じ「ランプの見比べ」で、その次から順番が変わることです。たとえば、決まった機械が動いたときだけおかしいならノイズから、品種が変わってからおかしいなら検出体から確かめます。

最初の分かれ道:センサのランプと入力ランプを見比べる
多くのセンサには、出力が ON になると光るランプがついています。PLC の入力にも、入力が ON になると光るランプがあります。この2つを見比べるだけで、調べる場所が半分になります。
センサが PLC から離れているときは、2人で無線や電話で同時に見ると確かです
| センサのランプ | PLC の入力ランプ | おかしいのは | 次に見る所 |
|---|---|---|---|
| おかしい(物がないのに点く・あるのに消える) | センサと同じ | センサの側(取り付け・検出体・設定・ノイズ) | ⑥の表の上から |
| 正しい | 違う(点かない・点きっぱなし) | 配線・電源・PLC の入力の側 | 配線、入力の条件(PLC の切り分けの記事) |
| 正しい | 正しい | PLC の中(プログラム・フィルタ・タイミング) | ⑪の計算、プログラムの条件 |
番犬が吠えているのに家の人が気づかないなら、犬ではなく、声を届ける道(配線)や家の人の耳(入力)の問題です。犬がそもそも吠えていないなら、犬のまわりを調べます。
センサがおかしいと言われたら、交換する前に、センサのランプと入力ランプを同時に見て、どちらの側かを先に決めます。側を決めずにセンサを交換すると、配線や入力の問題なら直らず、たまたま症状が止まっただけでも「直った」と思い込んでしまうからです。交換するのは、側を決めてから最後にします。
入力ランプが点かない・消えないときの配線と入力の確かめ方は、PLCのエラーで止まったときの切り分けで、測る順番まで説明しています。
- 三菱電機 FX5U:入力が ON しないときは、外部配線を外して入力端子を短絡し、入力のランプで確かめる。入力が OFF しないときは、入力機器の漏れ電流(1.5 mA 以上ならブリーダ抵抗)
- 三菱電機 MELSEC iQ-F FX5U User’s Manual (Hardware)(JY997D55301U。入力の仕様・デジタルフィルタ・入力が ON/OFF しないときの確かめ方)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

センサの誤動作の切り分け表
上の行から順に確かめます。センサの取り付けや配線に触るときは、機械を止め、動かないようにしてから行います
| 症状・いつ出るか | まず疑う原因 | 確かめる場所・測るもの | 直し方 |
|---|---|---|---|
| 決まった機械(モーター・溶接・電磁弁)が動いた時だけ ON・OFF する | ノイズ | 信号の線と動力線の並び、サージキラーの有無、接地 | 線を離す・別の配管にする・サージキラー・接地(⑦) |
| 機械の振動に合わせてばたつく | 取り付けのゆるみ、すきまが限界ぎりぎり | 金具のゆるみ、すきまと検出距離 | 締め直す、すきまを7割の内側に(⑧⑨) |
| となりのセンサを付けてからおかしい | 相互干渉 | センサどうしの間隔 | 間隔をとる・異周波タイプ・干渉防止の機能 |
| 品種・材料が変わってからおかしい | 検出体(材質・色・光沢・透明・大きさ) | 新しい品物で検出距離・反応を確かめる | センサの位置・方式・感度を見直す(⑩) |
| 物がないのに ON のまま | 検出面の付着物(切り粉・汚れ)、うしろの壁や台 | 検出面、センサのうしろにある物 | 清掃・カバー・背景を遠ざける(⑩) |
| 朝だけ・晴れた日だけ・季節で変わる | 外の光、温度、結露 | その時刻に光が当たるか、温度 | 向き・フード・遮光(⑫) |
| センサは正しいのに PLC の入力が違う | 配線・電源・入力の条件・フィルタ | 入力ランプ、電圧、フィルタの設定 | 配線を直す、フィルタを見直す(⑪) |
- パナソニック:並行配線・サージ・接地・相互干渉・付着物・外乱光・背景物体の注意
- パナソニック デバイスSUNX「近接センサ テクニカルガイド」(用語解説の応差・使用上の注意・相互干渉)
- パナソニック デバイスSUNX「ビームセンサ(光電センサ)テクニカルガイド」(使用上の注意・外乱光・背景物体・相互干渉)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。
ノイズ:まわりの雑音で吠える
ノイズは、モーターやインバータ、電磁弁などが出す、よけいな電気の揺れです。センサの信号はとても小さな電気なので、近くにある大きな電気の線から揺れがうつると、物がないのに ON になったり、ばたついたりします。
番犬の小屋のすぐ横で工事をしていたら、犬は工事の音のたびに吠えます。犬を替えても、工事の音がある限り吠えます。ノイズもこれと同じで、センサを替えても、雑音の元と通り道が残る限り再発します。
対策は、雑音の元に近い所から行うほど効きます
| ノイズの入り方 | よくある場面 | パナソニックの資料にある対策 |
|---|---|---|
| 線どうしで移る | センサの線を、モーターの動力線と同じダクトや配管に通している | 高圧線や動力線との並行配線・同じ配線管を避ける |
| 電源・コイルから出る | 電磁弁やマグネットスイッチが切れる瞬間 | サージキラーでサージを抑える |
| 機械の金属を伝わる | インバータやスイッチング電源の近く | ノイズを出す機器の F.G.(フレームグラウンド)端子を接地 |
「この機械が動いた時だけ」がわかったら、その機械の動力線や電磁弁の線と、センサの線がどこで並んで走っているかを、図面ではなく実物でたどります。図面では別のダクトでも、あとから足した線が同じダクトに入っていることがあるからです。入力フィルタを長くするのは、通り道を断ったあとの最後の手段にします(⑪)。
インバータが出すノイズの通り道と対策の順番はインバータのノイズ対策で、ノイズそのもののしくみは同じ筆者の shirasusolo.net のノイズとはで説明しています。
- パナソニック:電磁弁・マグネットスイッチ・モータ等にはサージキラー(チャタリング等の誤動作の原因)。ノイズ発生源の F.G. を接地。高圧線・動力線との並行配線・同一配線管を避ける(誘導による誤動作)
- パナソニック デバイスSUNX「近接センサ テクニカルガイド」(用語解説の応差・使用上の注意・相互干渉)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

取り付け:犬小屋の場所がずれている
取り付けの問題でいちばん多いのは、すきまが検出距離の限界ぎりぎりになっていることです。カタログの検出距離は「ここまでなら初めて反応する」最大の値なので、そこで使うと、温度の変化や機械の振動で、届いたり届かなかったりします。
近接センサには、ばたつきを防ぐしかけがあります。近づくときに ON になる距離と、離れるときに OFF に戻る距離を、わざと少しずらしてあるのです。このずれを応差(ヒステリシス)と呼びます。パナソニックの資料では、通常は最大動作距離の10〜20%の応差を持たせ、検出物体の振動などによるチャタリングを防いでいると書かれています。
番犬が「門から 4 m に入ったら吠える、4.4 m より離れたら吠えやめる」と覚えているとします。門の前を行ったり来たりする人が 4 m と 4.4 m の両方をまたげば、犬は吠えたりやめたりをくり返します。またがなければ落ち着いています。
動く図で確かめましょう。すきまと振れ幅を変えて「スタート」を押し、出力が何回ばたつくかを見てください。
動かして確かめる
定格 4 mm(例)の近接センサの前で、金属の板が機械の振動で小さく揺れています。すきまと振れ幅を決めて「スタート」を押し、出力が何回ばたつくかを見てください。
いまの様子:すきまと振れ幅を決めて「スタート」を押すと、ここに説明が出ます。
動きは説明のための作り物です(ON の距離 4.0 mm・応差 10% は例。応差はパナソニックの資料の目安 10〜20% の厳しい側です。実際の機種の値は取扱説明書で確かめてください)。
見てほしいのは、振れ幅が応差より小さければ、すきまが限界の近くでもばたつかないことと、すきまを内側(7割)に寄せると、振れ幅が大きくてもばたつかないことです。次の節で、これを計算で確かめます。
ほかにも、取り付けで起きることがあります。となりにセンサを近づけて並べると、おたがいに影響して不安定になります(相互干渉)。近接センサは周りの金属にも反応することがあります。選ぶときの注意は近接センサの選び方で説明しています。
- パナソニック 近接センサ:応差は通常、最大動作距離の10〜20%。検出物体の振動などによるチャタリングを防ぐ。隣接すると相互干渉で不安定
- パナソニック デバイスSUNX「近接センサ テクニカルガイド」(用語解説の応差・使用上の注意・相互干渉)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

計算してみよう:振動でばたつくか?
ここで計算するのは、「いまの取り付けで、振動によるばたつきが起きるか」と「どこまで近づければ止まるか」を、現物をいじる前に知るためです。
式の出どころ:「ON になる線」と「OFF に戻る線」を両方またぐか
ばたつきは、物が揺れて、ON になる距離より近くと、OFF に戻る距離より遠くの両方に、行ったり来たりするときに起きます。片方だけなら、ON か OFF のどちらかに落ち着きます。OFF に戻る距離は、ON になる距離に応差の分を足した所です。
OFF に戻る距離 = ON になる距離 × (1 + 応差の割合)
ばたつく条件:いちばん近い所 ≦ ON の距離 かつ いちばん遠い所 > OFF の距離
割合には単位がないので、答えは mm のままです
| 記号・言葉 | 意味 | 単位 | 例の値 |
|---|---|---|---|
| ON の距離 | 近づいて ON になる距離(鉄の場合) | mm | 4.0(定格 4 mm のセンサの例) |
| 応差の割合 | パナソニックの資料の目安 10〜20% の厳しい側 | なし | 0.10 |
| すきま | 物が止まったときの、センサの面との距離 | mm | 4.2 と 2.8 |
| 振れ幅 | 振動で物が近づいたり離れたりする幅 | mm | ±0.3 |
4.0 mm × (1 + 0.10) = 4.4 mm
4.2 mm − 0.3 mm = 3.9 mm
4.2 mm + 0.3 mm = 4.5 mm
3.9 mm ≦ 4.0 mm → またぐ(ON になる)
4.5 mm > 4.4 mm → またぐ(OFF に戻る)
両方またぐ → 揺れるたびに ON・OFF をくり返す
4.0 mm × 0.7 = 2.8 mm
2.8 mm − 0.3 mm = 2.5 mm
2.8 mm + 0.3 mm = 3.1 mm
2.5 mm ≦ 4.0 mm → ON
3.1 mm > 4.4 mm ではない → またがない
ON のまま落ち着く
つまり、ばたつきを止めるいちばん確かな方法は、設定やタイマでごまかすことではなく、すきまを内側に寄せて、両方の線をまたがないようにすることです。答えが「すきま 28 mm」のように桁違いなら、割合と mm を取り違えていないかを見直します。

検出体:相手が見えにくくなった
センサのカタログの検出距離は、決められた標準の物(近接センサなら鉄の板、光電センサなら通常は白い無光沢の紙)で測った値です。パナソニックの資料にあるとおり、実際の検出距離は、物の大きさ・色・表面の凹凸で変わります。
番犬は、明るい服の人はすぐ見つけますが、黒い服で夜に来る人は見落とします。ガラスのように透けて見える相手や、鏡のように光を返す相手も苦手です。
パナソニックの資料の注意をまとめました
| 検出体の変化 | 起きやすいこと | 確かめること |
|---|---|---|
| 材質が鉄からアルミ・ステンレスに(近接センサ) | 近づかないと反応しない → たまに入らない | 材質の補正係数で検出距離を見直す |
| 色が白から黒に(光電センサの反射形) | 光が返らない → 入らない | 新しい品物で反応を確かめる |
| 光沢のある物・鏡のような物 | 光の返り方が向きで変わる → ばたつく・ないのに ON | 向きを変える、鏡面体用の方式 |
| 透明な物 | 光が通り抜ける → 入らない | 透明体用の方式 |
| うしろに壁や台がある | うしろの物を見てしまう → ないのに ON | 背景を取り除く・黒くする・遠ざける |
近接センサで材質が変わったときは、材質の補正係数を掛けて検出距離を見積もり直します(計算のしかたは⑧でリンクした近接センサの選び方の記事にあります)。光電センサの方式ごとの得意・不得意は、光電センサの選び方の記事で説明します(公開しだい、ここにリンクします)。
- パナソニック 光電センサ:検出距離は標準検出物体(通常は白色無光沢紙)の値。大きさ・色・凹凸で変わる。背景物体は取り除く・黒くする・遠ざける。鏡面体・透明体用の方式がある
- パナソニック デバイスSUNX「ビームセンサ(光電センサ)テクニカルガイド」(使用上の注意・外乱光・背景物体・相互干渉)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

設定:しつけで吠え方を変える(入力フィルタの窓)
PLC の入力には、短すぎる信号を無視するしかけ(入力フィルタ)があります。三菱電機 FX5U の取扱説明書では、デジタルフィルタの初期値は 10 ms で、なしや 10 µs〜70 ms から選べ、ノイズの多い所ではフィルタを設定するよう書かれています。
「一瞬の物音では吠えない。1秒以上続いたら吠える」としつけるようなものです。小さな物音(ノイズ)は無視できますが、すばやく通り抜ける泥棒(短い本物の信号)まで見逃すおそれがあります。
ここで計算するのは、「フィルタで雑音を消しても、本物の信号を見落とさないか」を知るためです。
式の出どころ:時間 = 距離 ÷ 速さ
センサの前を品物が通り過ぎる時間は、品物の長さを速さで割ると出ます(速さ=距離÷時間 を並べかえた式)。この時間が、本物の信号の長さです。フィルタの時間は、ノイズの長さより長く、本物の信号の長さより十分短くなければなりません。PLC は決まった間隔(スキャン)で入力を読むので、本物の信号は「フィルタ+1スキャン」より長いことを、安全側の目安にします。
本物の信号の長さ = 品物の長さ ÷ 速さ
使える条件:ノイズの長さ < フィルタ かつ フィルタ + 1スキャン < 本物の信号の長さ
30 mm = 0.030 m
0.030 m ÷ 0.5 m/s = 0.060 s = 60 ms
フィルタ 10 ms > ノイズ 2 ms → ノイズは消える
10 ms + 15 ms = 25 ms
60 ms > 25 ms → 本物は見える
フィルタ 10 ms で、雑音を消して本物を通せる
0.030 m ÷ 2.0 m/s = 0.015 s = 15 ms
10 ms + 15 ms = 25 ms
15 ms は 25 ms より短い → 見落とすおそれ
1 ms + 15 ms = 16 ms → まだ 15 ms より長い
フィルタ 1 ms はノイズ 2 ms より短い → ノイズも通る
フィルタでは雑音と本物を分けられない
つまり、フィルタはノイズ対策の万能薬ではない、ということです。答えが 60 s のように大きすぎたら、mm を m に直し忘れていないかを見直します。
ばたつきや一瞬の誤動作を、フィルタやタイマを長くして消すのは、原因(ノイズの通り道・取り付け・検出体)を確かめて直したあとにします。先に設定で隠すと、原因が残ったまま見えなくなり、速さを上げたときや品種を変えたときに、見落としとして再発するからです。止める・安全にかかわる信号は、設定で遅らせない前提で考えます。
- 三菱電機 FX5U:デジタルフィルタ 初期値 10 ms(なし・10 µs〜70 ms から選べる)。ノイズの多い所ではフィルタを設定
- 三菱電機 MELSEC iQ-F FX5U User’s Manual (Hardware)(JY997D55301U。入力の仕様・デジタルフィルタ・入力が ON/OFF しないときの確かめ方)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

決まった時だけおかしい:光・温度・汚れ
パナソニックの資料では、太陽光は季節や時間帯で入る角度が変わるので、実機で確かめるよう書かれています
| いつ起きるか | 疑うこと | 対策の例 |
|---|---|---|
| 朝や夕方の決まった時刻・晴れた日 | 窓からの日ざしがセンサに入る | 向きを変える、フード、遮光 |
| 照明を替えてから | 強い光やインバータ式の蛍光灯の光 | 光が直接入らない向きにする |
| 暑い日・寒い日、機械が温まってから | 温度で検出距離が変わる | すきまを7割の内側に(⑨) |
| しばらく清掃していないとき | レンズや検出面の汚れ・切り粉 | 清掃の周期を決める、カバー |
| 湯気・水がかかる所 | 水滴・結露 | 向き・カバー・方式の見直し |
番犬が毎朝7時にだけ吠えるなら、犬の気まぐれではなく、その時刻に何かが起きています。朝日が小屋に差しこむのかもしれません。時刻がそろうこと自体が、大きな手がかりです。
- パナソニック 光電センサ:強力な光やインバータ式蛍光灯で誤動作することがある(角度をつける・フード)。太陽光は季節や時間帯で変わるので実機で確認。ゴミ・ホコリの環境では余裕を持った設定
- パナソニック 近接センサ:使用周囲温度で検出距離が変動する
- パナソニック デバイスSUNX「ビームセンサ(光電センサ)テクニカルガイド」(使用上の注意・外乱光・背景物体・相互干渉)
- パナソニック デバイスSUNX「近接センサ テクニカルガイド」(用語解説の応差・使用上の注意・相互干渉)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

確かめる順番:止める → 見る → 動かして試す → 測る
機械を止めて、動かないようにする。センサの近くには、動く部分や挟まれる所があります。止め方と、勝手に動かないようにする手順は、社内のルールと機械の取扱説明書に従います。
見る。センサのランプと入力ランプ(⑤)、ゆるみ、検出面の汚れ、線の傷、となりのセンサ、うしろの物。
記録と照らし合わせる。症状と、そのとき動いていた機械・品種・時刻(③)から、4つの原因のどれを疑うか決める。
安全を確かめてから、手で試す。検出体を手でゆっくり近づけて、ON・OFF の距離を確かめる。疑う機械だけを動かして、再現するかを見る。
測る。必要なら、センサの電源電圧、すきま、信号の長さ(⑪)を測る。電気の測定は、測定器の使い方と社内のルールに従う。
1つずつ直して、効いたかを確かめる。一度に何か所も直すと、どれが原因だったかわからなくなる。

直したつもりで再発する、よくある思い込み
左の列に心当たりがあれば、右の列を先にやります
| 思い込み | 残る原因と、どうするか |
|---|---|
| センサを交換したら直った | 取り付けを触ったついでに、すきまやゆるみが変わっただけかもしれない。すきまを測って記録する |
| フィルタやタイマを長くしたら直った | ノイズや振動は残っている。速さや品種が変わると見落としになる(⑪) |
| 感度を上げたら入るようになった | うしろの物や汚れにも反応しやすくなる。物がないときに OFF かを必ず確かめる |
| しばらく起きないから大丈夫 | 条件(時刻・品種・動いている機械)がそろっていないだけかもしれない。記録を続ける |
仕事で使うとき:誤動作を起こしにくくする設計のチェックリスト
- □ センサの線を、動力線(モーター・インバータ・ヒーター)と別のダクト・配管にした
- □ 電磁弁やマグネットスイッチなどのコイルにサージキラーを付けた
- □ ノイズを出す機器の F.G. 端子を接地した
- □ すきまは検出距離の7割の内側で、振れ幅を見込んでも応差をまたがない
- □ 取り付け金具はゆるみ止めをし、すきまを図面に書いた
- □ となりのセンサとの間隔を取扱説明書で確かめた(足りなければ干渉しない機種)
- □ 検出体の材質・色・光沢・透明・大きさの変更を、品種ごとに確かめた
- □ センサのうしろに、反応しやすい壁や台を置いていない
- □ 日ざし・照明・湯気・切り粉が当たらない向きにした
- □ 入力フィルタは、ノイズの長さと本物の信号の長さの間に収まる値にした
このうち、線のルートは設備を作るときに決めるのがいちばん楽です。誤動作が出てからダクトを入れ替えるのは大がかりになりやすいからです。
よくある質問
まとめ:センサの誤動作は「番犬のまわり」を順に疑う
- 誤検出には「ないのに ON」と「あるのに OFF」とばたつきがある。センサの故障とは限らない
- 直す前に、症状の形・ランプ・そのとき動いていた機械・品種・時刻を記録する
- 最初にセンサのランプと入力ランプを見比べて、センサの側か配線・入力の側かを分ける
- 原因はノイズ・取り付け・検出体・設定の4つ。症状と、いつ起きるかで順番を決める
- ばたつきは、揺れが ON の線と OFF の線(応差)の両方をまたぐと起きる。すきまを7割の内側に
- フィルタは「ノイズの長さ < フィルタ、フィルタ+1スキャン < 本物の長さ」のときだけ使える
センサの誤動作が直ったら、センサの信号を受ける PLC や、ノイズを出す側の機器の見方も確かめておきましょう。
PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。
次に読むべき記事
センサの切り分けができたら、信号を受ける PLC のしくみや、止まったときの切り分けの考え方も読んでおきましょう(記事は公開しだい、ここに並べます)。


