近接センサ(近接スイッチ)の種類と選び方|誘導形・静電容量形・2線と3線

近接センサは磁石の感覚。金属のブロックに磁気の波を出す近接センサのイラスト センサと駆動

※この記事にはプロモーションが含まれています。

近接センサ(近接スイッチ)は、物にさわらずに「近づいた」ことを知らせるスイッチです。金属を見るなら誘導形、樹脂や水も見たいなら静電容量形を選びます。

すきまは定格の検出距離に材質の補正係数を掛け、さらに7〜8割の余裕を見ます。配線は、3線式なら NPN か PNP を PLC の入力に合わせ、2線式なら漏れ電流と残留電圧が入力の条件に入るかを計算します。

この記事では、近接センサを金属が近づくと気づく「磁石の感覚」にたとえて説明します。選定のチェックリストと、すきま・2線式の計算もあります。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

近接センサとは?さわらずに「来た」と気づくスイッチ

ひとことで言うと物にさわらずに、近づいたことを電気の ON・OFF で知らせる部品です。

機械の「ここまで来た」を知らせるいちばん素朴な方法は、物が当たると押される小さなスイッチ(リミットスイッチ)です。わかりやすい反面、何度も当たるうちにすり減ったり、当たった衝撃で物が傷ついたりします。

そこで、さわらずに気づくスイッチが考えられました。それが近接センサです。物が数ミリまで近づくと、出力が ON になり、PLC(機械の脳にあたる制御装置)の入力に「来た」と知らせます。

たとえると

暗い部屋で、壁に手が触れる前に「あ、壁が近い」と気づくことがありますね。近接センサは、そんな「さわる前に気づく感覚」を持った指先です。ただし感じられるものが決まっていて、いちばんよく使われる誘導形は金属にだけ反応します。磁石が鉄にだけ反応するのに似ているので、この記事では「磁石の感覚」と呼びます。

近接センサの弱点は「届く距離が短い」ことと「感じられる物が決まっている」ことです

比べることさわって知らせるスイッチ(リミットスイッチ)さわらずに気づく近接センサ
検出のしかた物が当たってレバーが押される数ミリまで近づくと反応する
すり減り当たるたびに機械の部分がすり減る機械の接触がないので、すり減らない
反応の速さレバーが動く分だけ時間がかかる速い(パナソニックの資料では、最高で1秒に3,300回の機種)
届く距離当たれば反応する数ミリ〜十数ミリ。遠くは苦手

パナソニックの資料でも、近接センサは非接触で傷つけない・水がかかる所でも使える・長寿命という長所の一方で、金属以外は検出できない・光電センサより検出距離が短いという短所が挙げられています。

当たって押すリミットスイッチと、さわらずに気づく近接センサを並べたイラスト

どこで使われている?工場で見かける4つの場面

ひとことで言うと金属の部品が「そこにあるか」「そこまで来たか」を知りたい所なら、どこでも使われます。

どれも「検出する物が金属で、すきまが数ミリにできる」ことが共通点です

場面知りたいことなぜ近接センサか
空気で動くシリンダの先の金具押し出しきったか・戻ったか毎回当たるとすり減るので、さわらずに見たい
回る歯車やカムのそば何回まわったか・どの位置か速く何度も通るので、反応の速さが要る
コンベアの上の金属の部品部品が来たか・あるか油や水がかかっても、金属だけを見分けたい
機械の可動部の端(原点)ここが出発点かさわらずに、毎回同じ位置で知らせたい

逆に、検出したい物が樹脂や段ボールだったり、10cm 以上離れた所から見たかったりするときは、光で見る光電センサのほうが向いています。光電センサの選び方は別の記事で説明します(公開しだい、ここにリンクします)。

シリンダ・歯車・コンベアの部品・動く台の端で近接センサが使われる4つの場面のイラスト

磁石の感覚のしくみ:誘導形は金属に「エネルギーを吸われる」と気づく

ひとことで言うとセンサの先から見えない磁気の波を出し、金属が近づいて波が弱まったら ON にします。

誘導形の近接センサの先には、小さなコイル(電線を巻いたもの)が入っています。このコイルに、1秒に何万回も向きが変わる電流を流すと、センサの先に見えない磁気の波(高周波の磁界)が広がります。

そこへ金属が近づくと、金属の中に、磁気の波に引っぱられてぐるぐる回る電流(渦電流・誘導電流)が流れます。この電流は金属の中で熱に変わるので、センサから見ると波のエネルギーが吸い取られたことになり、波が弱まります。センサは、この「弱まった」を見つけて出力を ON にします。

たとえると

ブランコを一定のリズムで押し続けているところを想像してください。だれかがブランコの鎖を軽くつかむと、押しても揺れが小さくなり、「あ、だれか触っている」と気づきます。誘導形のセンサは、磁気の波を押し続けて、金属に揺れを吸われたら気づく、という感覚を持っています。

このしくみなので、電流が流れない樹脂・木・紙・水には反応しません。パナソニックの資料では、金属でもフェライトのように電流が流れにくい物は検出できないと書かれています。キーエンスの解説にあるとおり、樹脂のカバーの向こうにある金属だけを見分ける、という使い方もできます。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

金属が近づくとうず電流で磁気の波が弱まり、出力がONになる誘導形のしくみの図

同じ金属でも気づく距離が違う:鉄は遠くから、アルミは近くまで

ひとことで言うとカタログの検出距離は鉄の板での値です。アルミや黄銅は、その6割くらいまで近づかないと気づかないことがあります。

カタログに書かれた「検出距離」は、決められた大きさの鉄の板(標準検出物体)を近づけたときの値です。パナソニックの資料では、検出距離や応差などの仕様は、すべてこの標準検出物体に対して決められていると書かれています。

鉄以外の金属は、磁気の波の吸い方が違うので、もっと近づかないと気づきません。どれくらい近づけばいいかは、メーカーが補正係数(修正係数)として出しています。

右の列は、係数を掛けた「気づく距離」の目安(筆者が計算)。係数は機種で違うので、使う機種の特性図で確かめます

検出する物の材質補正係数(パナソニック GXL-8 の例)定格 4 mm のセンサなら
鉄14 mm
ステンレス(SUS304)約0.82約3.3 mm
黄銅(真ちゅう)約0.59約2.4 mm
アルミ約0.57約2.3 mm
たとえると

磁石の感覚は、鉄には強く、アルミや真ちゅうには弱く働きます。においの強い物は遠くからでもわかり、弱い物は鼻を近づけないとわからないのと同じです。

では、動く図で確かめましょう。材質を選んで「スタート」を押すと、金属の板がセンサへ近づき、また離れていきます。どの距離で ON になり、どの距離で OFF に戻るかを見てください。

動かして確かめる

定格の検出距離 4 mm(例)の誘導形センサに、金属の板が近づいてから離れていきます。材質を選んで「スタート」を押し、どの距離で出力が ON になり、どの距離で OFF に戻るかを見てください。センサの後ろのランプが出力の ON・OFF です。

出力ランプ 近接センサ(定格 4 mm・例) 0 1 2 3 4 5 6 mm センサの面から板までのすきま 安定して使える範囲(7割) ON になる距離 OFF に戻る距離 鉄 いまのすきま:– 出力:OFF ON になった距離:– OFF に戻った距離:–

いまの様子:材質を選んで「スタート」を押すと、ここに説明が出ます。

動きは説明のための作り物です(定格 4 mm は例。材質の係数はパナソニックの資料の GXL-8 の値で、機種で違います。応差は資料の目安 10〜20% の中から 15% とした例です)。

見てほしいのは2つです。1つは、材質を鉄からアルミに替えると、ON になる距離がぐっと近くなること。もう1つは、近づくときに ON になる距離より、離れるときに OFF に戻る距離のほうが少し遠いことです。この差を応差(ヒステリシス)と呼び、⑧で説明します。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

鉄・ステンレス・黄銅・アルミで、定格4mmのセンサがONになる距離の違いを示した棒グラフ

金属以外も見たいときは静電容量形:「静電気の感覚」

ひとことで言うと静電容量形は、樹脂・紙・水などにも反応します。そのかわり水や湿気にも敏感です。

樹脂のタンクの中の水の量や、ホッパー(粉や粒をためる漏斗)の中の粉を見たいとき、金属にしか反応しない誘導形では見えません。そこで使うのが静電容量形の近接センサです。

たとえると

下じきをこすって髪の毛に近づけると、さわらなくても髪が引き寄せられます。静電容量形は、この静電気のような「電気をためる力」の変化を感じるセンサです。金属だけでなく、水・樹脂・紙・木なども、近づくとその力が変わるので気づけます。

どれくらい反応するかは、物の「電気のためやすさ」(誘電率)で決まります。ifm の解説では、目安として誘電率が2より大きい物なら検出できるとしています。水はとても大きいので強く反応し、乾いた紙や樹脂は弱めです。

「金属なら誘導形」が基本。金属以外を見たいときだけ静電容量形を考えます

比べること誘導形静電容量形
反応する物金属だけ金属・水・樹脂・紙・木・粉など
得意な使い方金属の部品の位置・回転樹脂の容器ごしの液面・粉の有無
気をつけること材質で距離が変わる、周りの金属水滴・湿気・汚れで反応が変わる、感度の調整が要る

静電容量形は、敏感なぶん、ほかの物にも反応しやすいのが弱点です。ジェイテクトエレクトロニクスの CS シリーズのカタログでは、検出面に水滴が 0.2 ml(2〜3滴)付くと動作距離が約20%増え、流れ出すほどだと300%以上に増えると示されています。そのため、湿気の多い所や水がかかる所は避けるよう書かれています。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

樹脂のタンクごしの水と、ホッパーの粉を見る静電容量形センサのイラスト

方式の選び方:検出する物とすきまで決める

ひとことで言うと最初に「何を・どれくらいのすきまで」見たいかを決めると、方式は自然に決まります。

上から順に当てはまる行を探します

検出したい物・条件向いている方式理由
鉄・ステンレスの部品を数ミリで誘導形金属だけに反応し、油や水に強い
アルミ・黄銅・銅の部品誘導形(係数で距離を見直す)。距離が足りなければ非鉄用の機種鉄より近づかないと気づかない
樹脂の容器ごしの液面・粉静電容量形金属以外にも反応する
樹脂・段ボールの品物を離れた所から光電センサ近接センサは届く距離が短い
迷ったら検出物を持って、候補の機種で実際に試す大きさ・厚さ・メッキで距離が変わる
実務の判断のコツ

近接センサを選ぶとき、最初に決めるのは方式ではなく「何を、どのくらいのすきまで見るか」です。検出する物の材質と、機械のすきまが最大でどこまで開くか(がたや、ばらつきも含めて)を機械の設計者に聞いてから方式と大きさを決めます。すきまの最大値を聞かずに選ぶと、組み立ててから「ときどき反応しない」に悩まされるからです。

検出する物とすきまから近接センサの方式を選び、すきま・取り付け・配線・環境の順に決めるフロー
おすすめの本

近接センサのほかに、光電センサなどほかのセンサもまとめて学びたいときの本の例です。日刊工業新聞社の『メカトロ・センサ The ビギニング』(西田麻美 著・2019年9月発行)は、副題のとおり制御に用いるセンサの選定と使い方の本で、データシートの読み方や、シーケンス制御で使われるセンサの章があります(楽天ブックスの目次)。

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カタログの距離の言葉:検出距離・安定して使える範囲・応差

ひとことで言うとカタログの検出距離ぎりぎりではなく、その7〜8割の内側で使います。

カタログには距離に関する言葉がいくつも出てきます。パナソニックの用語解説をもとに、やさしい言葉にするとこうなります。

数字は機種で違います。使う機種のカタログで確かめてください

言葉意味数字の目安(パナソニックの資料)
検出距離(最大動作距離)鉄の標準の板を近づけて、初めて ON になる距離カタログの値
安定検出範囲温度や電源の変化があっても、安定して ON にできる距離最大動作距離の70〜80%
応差(ヒステリシス)ON になる距離と、離れて OFF に戻る距離の差最大動作距離の10〜20%
標準検出物体検出距離を決めるときに使う鉄の板シールド形は検出面とほぼ同じ大きさ、非シールド形は約1.5倍
たとえると

ぎりぎり手が届く棚に物を置くと、背伸びの具合で届いたり届かなかったりします。センサも同じで、検出距離ぎりぎりで使うと、暑い日や電源の電圧が少し下がった日に届かなくなります。だから7〜8割の「楽に届く所」で使います。

応差は、わざと付けられています。もし ON と OFF が同じ距離だと、金属がちょうどその距離で小さく揺れたとき、ON・OFF が細かくくり返されてしまいます(チャタリング)。パナソニックの資料でも、応差はそれを防ぐためと書かれています。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

最大動作距離・安定して使える範囲・応差の関係を示した図

すきまはいくつまで?検出距離を見積もる式の出どころ

ひとことで言うとカタログの距離に「材質の係数」と「安定の割合」を掛けると、設定してよいすきまが出ます。

ここで計算するのは、「機械のすきまで、このセンサは確実に反応するか」を、付ける前に知るためです。計算しないと、組み立ててから反応しないことがわかり、センサや取り付け金具を作り直すことになります。

式の出どころ:「割合を掛ける」を2回

この式は物理の法則ではなく、メーカーの資料で決められた考え方です。①鉄の板での距離を、材質の係数で「その材質ならどこまで届くか」に直す。②そのうちの7割(安定検出範囲の下の側)までを使う。どちらも「全体の何割」を掛けるだけです。

たとえると

家から駅まで、元気な日なら 4 km 歩けるとします。荷物が重い日は6割しか歩けないなら 2.4 km。さらに「疲れていても確実に歩ける距離」はその7割で約 1.7 km。こうして割合を順に掛けていくのと同じです。

S_set ≦ S_n × k_材質 × 0.7

割合には単位がないので、答えは S_n と同じ mm になります

記号意味単位どこから取るか
S_n定格の検出距離(鉄の標準検出物体)mmカタログ
k_材質材質の補正係数(鉄は1)なし(割合)メーカーの特性図・修正係数
0.7安定して使える割合(安定検出範囲 70〜80% の厳しい側)なし(割合)メーカーの用語解説
S_set設定してよいすきまmm計算で出す

ここはざっくり言うと、の話です。検出する物が標準より小さい・薄い場合は、さらに距離が短くなります。そのときは機種の「大きさ・厚さと検出距離」の特性図も掛け合わせます。

定格の検出距離に材質の係数と0.7を掛けて設定してよいすきまを出す組み立て図

計算してみよう:部品を鉄からアルミに替えたら?

ひとことで言うと例では、鉄なら 2.8 mm まで使えるのに、アルミにすると 1.6 mm までになり、すきま 2.0 mm では足りません。

機械のすきまが最大 2.0 mm(例)の所に、定格 4 mm のセンサ(例)を付けるとします。検出する部品を鉄からアルミに替える設計変更が入りました。

計算例
計算例1:鉄とアルミで、設定してよいすきまを比べる(数値は例。係数はパナソニック GXL-8 の値)
① 鉄の場合(k = 1)
S_set = 4 mm × 1 × 0.7 = 2.8 mm
② 機械のすきまと比べる
2.0 mm ≦ 2.8 mm → 使える
③ アルミの場合(k = 0.57)。先に材質で直す
4 mm × 0.57 = 2.28 mm
④ 安定の割合を掛ける
2.28 mm × 0.7 = 1.596 ≒ 1.6 mm
⑤ 機械のすきまと比べる
2.0 mm > 1.6 mm → 足りない
鉄なら合格、アルミに替えると不合格。すきまを 1.6 mm 以下にするか、距離の長いセンサにする

つまり「設計変更のあと、ときどき反応しない」原因は、センサの故障ではなく材質かもしれない、ということです。答えが 20 mm のように大きすぎたら、係数を掛け忘れていないかを見直します。

計算例
計算例2:定格 8 mm のセンサに替えた場合(数値は例)
① 材質で直す(アルミ k = 0.57)
8 mm × 0.57 = 4.56 mm
② 安定の割合を掛ける
4.56 mm × 0.7 = 3.19 ≒ 3.2 mm
③ 機械のすきまと比べる
2.0 mm ≦ 3.2 mm → 使える
定格 8 mm なら余裕をもって使える。ただし距離の長い機種は非シールド形が多く、周りの金属に注意する(⑪)
実務の判断のコツ

材質が鉄以外のときは、カタログの検出距離をそのまま使わず、係数と7割を掛けた値を図面のすきまの横に書いておきます。あとで部品の材質やメッキが変わったとき、どのセンサを見直せばよいかが一目でわかるからです。係数がわからない材質は、検出する物の実物を候補の機種に近づけて、ON になる距離を測ってから決めます。

鉄とアルミと定格8mmのセンサで、設定してよいすきまを機械のすきま2.0mmと比べた棒グラフ

取り付けの注意:シールド形と非シールド形、となりのセンサ

ひとことで言うと金属に埋め込むならシールド形。距離が欲しいなら非シールド形、ただし周りを空けます。

磁気の波は、センサの正面だけでなく横にも少し広がります。そのため、センサの周りにある金属(取り付け台など)にも反応してしまうことがあります。そこで2つの形があります。

シールド形

  • コイルの横を金属で囲み、波を正面に集める
  • 金属の台に埋め込んで付けられる
  • 検出距離は短め

非シールド形

  • コイルの横を囲まず、波が横にも広がる
  • 同じ大きさなら検出距離が長い
  • 周りの金属から離して付ける必要がある
たとえると

懐中電灯にたとえると、シールド形は筒で光を前に絞ったライト、非シールド形は横にも光が漏れるランタンです。ランタンは広く遠くまで照らせますが、そばの壁も照らしてしまいます。

もう1つの注意が、となりどうしのセンサです。近くに並べると、おたがいの磁気の波がぶつかって動作が不安定になります(相互干渉)。パナソニックの資料では、間隔を十分にとるか、発振の周波数が違う「異周波タイプ」を組み合わせる対策が示されています。必要な間隔は機種の取扱説明書に書かれています。

実務の判断のコツ

取り付けはシールド形を基本に考え、非シールド形は「周りに金属がないと確かめられるとき」だけにします。機械は後から金具やカバーが足されることが多く、あとで付いた金属に非シールド形が反応して誤動作すると、原因に気づきにくいからです。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

シールド形は金属に埋め込め、非シールド形は周りを空けること、となりのセンサとの相互干渉の図

配線の選び方1:3線式は「電源の行き帰り+知らせの道」

ひとことで言うと3線式は、電源の2本と知らせの1本が別々。NPN か PNP かを PLC の入力に合わせます。

近接センサは、自分の感覚(発振の回路)を動かすための電気が要ります。その電気の通り道と、「来た」と知らせる道の数で、配線の種類が分かれます。

たとえると

電気の通り道を、家への道路にたとえます。3線式は、電気を運ぶ行きの道・帰りの道と、知らせを届ける専用の道の3本がある家です。知らせ専用の道があるので、電気を運ぶ道とおたがいに邪魔をしません。

3線式の知らせの線には、2つのつなぎ方があります。センサの中のスイッチ(トランジスタ)が、知らせの線を0V の側につなぐのが NPN、+の側につなぐのが PNP です。電流の向きが逆なので、受け取る PLC の入力も向きを合わせる必要があります。

シンク・ソースの呼び方はメーカーで逆に見えることがあります。言葉ではなく、電流の向き(どちらから流れ込むか)で合わせます

センサの出力ON のときセンサがすることPLC の入力(三菱電機 FX5U の呼び方)主に使われている地域(パナソニックの資料)
NPN知らせの線を 0V につなぐ(電流を吸い込む)シンク入力日本・北米
PNP知らせの線を +24V につなぐ(電流を押し出す)ソース入力欧州

向きが合わないと、配線は正しく見えても電流が流れず、入力ランプがつきません。線の色の意味や端子の名前は、センサと PLC の配線図で必ず確かめます。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

3線式のNPNとPNPで電流の向きが逆になることを示した配線の図

配線の選び方2:2線式は「電源と知らせが同じ道に相乗り」

ひとことで言うと2線式は配線が少ないかわりに、OFF でも少し電流が流れ、ON でも少し電圧が残ります。

2線式は、センサから出る線が2本だけです。キーエンスの解説にあるとおり、配線が少なくて済み、NPN・PNP どちらの回路にも使えるのが長所です。

たとえると

2線式は、電気を運ぶ道と、知らせを届ける道が同じ2本に相乗りしている家です。道が少なくて便利ですが、相乗りなので、センサが自分の感覚を動かすための電気も、知らせと同じ道を通ってくるしかありません。

この相乗りから、2つのことが生まれます。

値は機種で違います。使う機種のカタログの値で計算します

生まれることなぜ生まれるかパナソニックの資料の値の例
漏れ電流(OFF でも少し流れる)OFF の間も、センサは感覚を動かすための小さな電流を、PLC の入力を通して受け取り続けるOFF 時 0.8 mA
残留電圧(ON でも少し電圧が残る)ON の間も、センサは自分が動くための電圧を手元に少し残しておくON 時、負荷にかかるのは(電源電圧 − 3V)
最小の電流ON のとき流れる電流が少なすぎると、センサが自分を動かせないON 時 3〜70 mA(3 mA 未満ならブリーダ抵抗)

つまり2線式は、PLC から見ると「OFF なのにかすかに流れている」「ON なのに少し電圧が足りない」センサです。PLC の入力がそれをちゃんと OFF・ON と見分けられるかを、次の段で計算します。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

2線式センサのOFFの漏れ電流とONの残留電圧の電気の通り道の図

計算してみよう:この2線式を PLC の入力につないでいい?

ひとことで言うと例では、ON のとき 4.9 mA(電源が低めでも 4.0 mA)で 3.5 mA 以上、OFF のとき 0.8 mA で 1.5 mA 以下なので、つないでよいと判断できます。

ここで計算するのは、「PLC がこのセンサの ON と OFF を見分けられるか」を知るためです。見分けられないと、物がないのに入力ランプがうっすら点く、物があるのに入らない、といった誤動作になります。

式の出どころ:オームの法則

電流は、電圧を抵抗で割ると出ます(オームの法則 I = V ÷ R)。PLC の入力を、ざっくり1本の抵抗と見なします。三菱電機 FX5U の取扱説明書では、入力インピーダンス(入力の抵抗にあたる値)が 4.3 kΩ(X0〜X17)です。ON のとき入力にかかる電圧は、電源電圧からセンサの残留電圧を引いた分です。

I_on = (V − V_残留) ÷ R_入力

V ÷ kΩ の答えは mA(ミリアンペア)になります。1 V ÷ 1 kΩ = 1 mA

記号意味単位例の値
V電源電圧(下限は −15%)V24(下限 20.4)
V_残留センサの残留電圧(パナソニックの例)V3
R_入力PLC の入力インピーダンス(FX5U X0〜X17)kΩ4.3
I_漏れセンサの漏れ電流(パナソニックの例)mA0.8
計算例
計算例3:2線式を FX5U の入力につなげるか(数値は例)
① ON のとき入力にかかる電圧(V − V_残留)
24 V − 3 V = 21 V
② ON のときの電流(I = V ÷ R)
21 V ÷ 4.3 kΩ = 4.88 ≒ 4.9 mA
③ PLC の ON の条件(3.5 mA 以上)と、センサの最小(3 mA 以上)と比べる
4.9 mA ≧ 3.5 mA、4.9 mA ≧ 3 mA → ON と見分けられる
④ 電源が下限(24 V × 0.85)のときも確かめる
24 V × 0.85 = 20.4 V → 20.4 − 3 = 17.4 V
⑤ そのときの電流
17.4 V ÷ 4.3 kΩ = 4.05 ≒ 4.0 mA ≧ 3.5 mA → まだ見分けられる
⑥ OFF のとき(漏れ電流と PLC の OFF の条件 1.5 mA 以下を比べる)
0.8 mA ≦ 1.5 mA → OFF と見分けられる
ON も OFF も条件に入るので、つないでよい。ただし電源が下限のときの余裕は 0.5 mA ほどと小さい

この計算は、入力を1本の抵抗と見なした目安です。実際の入力の回路は抵抗だけではないので、少しずれます。それでも「余裕がどれくらいあるか」の見当をつけるには十分です。答えが 4,900 mA のように桁外れなら、kΩ を Ω のまま割っていないかを見直します。

漏れ電流が PLC の OFF の条件を超える場合は、入力と並べて抵抗(ブリーダ抵抗)をつなぎ、漏れ電流を逃がします。その計算と、入力が切れない・入らないときの切り分けは、2線式の漏れ電流の記事で説明します(公開しだい、ここにリンクします)。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

2線式センサのONとOFFの電流を、PLCの入力のONとOFFの条件と比べた棒グラフ

苦手な環境と、反応しないときの入口

ひとことで言うと金属の粉・切り粉、強いノイズ、静電容量形なら水や湿気が苦手です。

パナソニック・ジェイテクトエレクトロニクスの資料の注意をまとめました

苦手なこと何が起きるか対策の例
検出面に金属の粉・切り粉・溶接のスパッタ金属がずっとそこにあると思い、ON のまま付きにくい向きに付ける、カバー、定期的な清掃
動力線(モーターやインバータの線)との並行配線ノイズで誤って ON・OFF する線を離す、別の配管にする
となりにセンサを近づけて並べるおたがいの波がぶつかって不安定間隔をとる、異周波タイプ
静電容量形に水滴・結露・付着物物がないのに反応する向き・カバー・感度の調整

ノイズで入力がちらつく場合は、ノイズの通り道をインバータのノイズ対策で、ノイズそのもののしくみは同じ筆者の shirasusolo.net のノイズとはで説明しています。

付けたあとに「反応しない・反応しっぱなし」になったときは、まずセンサのランプを見ます。センサのランプは正しく点くのに PLC の入力ランプが追いつかないなら配線や入力の側、センサのランプ自体がおかしいならセンサの側(距離・材質・取り付け・環境)を疑います。詳しい切り分けは、センサの誤検出の記事で説明します(公開しだい、ここにリンクします)。

切り粉が積もった近接センサと、カバーと向きで切り粉を落とすセンサを並べたイラスト

仕事で使うとき:近接センサの選定チェックリスト

ひとことで言うと材質 → すきま → 取り付け → 配線 → 環境、の順に確かめます。
近接センサの選定チェックリスト
  • □ 検出する物の材質(メッキ・薄さも)を確かめた。金属なら誘導形、金属以外なら静電容量形か光電センサ
  • □ 機械のすきまの最大値(がた・ばらつき込み)を聞いた
  • □ 定格の検出距離 × 材質の係数 × 0.7 が、すきまの最大値以上ある
  • □ 検出する物が標準検出物体より小さい・薄い場合、特性図で距離を見直した
  • □ 金属に埋め込むならシールド形。非シールド形は周りの金属から離した
  • □ となりのセンサとの間隔を取扱説明書で確かめた(足りなければ異周波タイプ)
  • □ 3線式は NPN・PNP を PLC の入力(シンク・ソース)に合わせた
  • □ 2線式は ON の電流・OFF の漏れ電流を PLC の入力の条件と比べた
  • □ 動く物の速さに、センサの応答周波数が足りる
  • □ 切り粉・油・水・ノイズの対策を決めた

センサの信号を受け取る側の考え方(位置を「目で確かめる」かどうか)は、サーボモーターとステッピングモーターの違いでも説明しています。

よくある質問

Q. 近接センサとは何ですか?

A. 物にさわらずに、近づいたことを電気の ON・OFF で知らせる部品です。誘導形は金属だけに、静電容量形は水や樹脂にも反応します。

Q. 近接センサはアルミを検出できますか?

A. 誘導形でも検出できますが、鉄より近づける必要があります。距離は機種の補正係数で確かめ、足りなければ非鉄用の機種を選びます。

Q. 近接センサの2線式と3線式の違いは何ですか?

A. 3線式は電源の2本と出力が別々、2線式は電源と出力を2本で兼ねます。2線式は配線が少ないぶん、漏れ電流と残留電圧があります。

Q. 近接センサの NPN と PNP はどう選びますか?

A. PLC の入力に合わせます。NPN は出力を 0V につなぎ、PNP は +24V につなぐので、電流の向きが逆になります。

Q. 近接センサの検出距離はカタログどおりに使えますか?

A. カタログの値は鉄の標準の板での最大値です。材質の係数を掛け、さらに7〜8割の内側で使うのが目安です。

まとめ:近接センサは「何を・どのすきまで」から選ぶ

POINT
  • 近接センサは、さわらずに「近づいた」を知らせるスイッチ。誘導形は金属だけに反応する「磁石の感覚」
  • カタログの検出距離は鉄の板での値。アルミや黄銅は補正係数を掛けて、もっと近づける
  • 使ってよいすきまは「定格 × 材質の係数 × 0.7」が目安。鉄からアルミに替えると足りなくなることがある
  • 金属以外は静電容量形。ただし水滴・湿気に敏感
  • 金属に埋め込むならシールド形。となりのセンサとは間隔をとる
  • 3線式は NPN・PNP を PLC の入力に合わせる。2線式は ON の電流と漏れ電流を入力の条件と計算で比べる

センサが決まったら、信号を受け取る PLC の側で、止まったときにどこを見るかも確かめておきましょう。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。

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