エネルギー管理士とは?電気分野の試験・合格率と工場での仕事を図解

開いた家計簿と工場と電力量計のイラスト。エネルギー管理士は工場のエネルギーの家計簿係 工場の省エネ

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エネルギー管理士とは、たくさんのエネルギーを使う工場で、むだを見張って設備の使い方を改善する人のための国家資格です。省エネ法で、原油に直して年3,000kl以上使う製造業などの工場は、免状を持つ人からエネルギー管理者を選ばなければなりません。

試験は熱分野と電気分野から1つを選び、4課目すべてで6割以上を取れば合格です(受験資格の制限なし)。電験三種が電気の「安全」を守る資格なのに対し、エネルギー管理士はエネルギーの「むだ」を減らす資格です。

この記事では、エネルギー管理士を工場の「エネルギーの家計簿係」にたとえて、最後までその話で説明します。合格率は令和8年度の公式の数字から計算しています。

調べてまとめたこの記事は、筆者の本職(電気・制御の設計)の外の、資格と法令の内容です。省エネ法の条文と、試験を行う省エネルギーセンターの公式の資料を調べてまとめました。
出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

エネルギー管理士とは?工場の「エネルギーの家計簿係」

ひとことで言うと工場が使う燃料と電気の量を記録し、むだな使い方を見つけて直す人の国家資格です。
たとえると

家計簿を思い浮かべてください。毎月の電気代・ガス代を書き出すと、「去年より多い」「この月だけ高い」と気づけます。そこから「エアコンの温度を1度見直そう」「使っていない家電のコンセントを抜こう」と、使い方を変えられます。工場でも同じことをするのが、エネルギー管理士の仕事です。

違うのは、量のけたです。後の計算で出てくるように、大きな工場は1年じゅう 1,000kW をこえる電気を使い続けることもあります。そのため国は、とくにたくさんのエネルギーを使う工場に「家計簿係を必ず置きなさい」と法律で決めています。その法律が省エネ法(正式にはエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)です。

左の言葉が出てきたら、右の本物に読みかえてください

家計簿のたとえ工場では
電気・ガスの検針票電力量計・燃料の使用量の記録(毎月・毎年)
家計簿に書き出す設備ごと・月ごとにエネルギーの量をまとめる
むだづかいに気づく動かしっぱなしの設備・効率の悪い使い方を見つける
使い方を変える運転の方法を改善し、設備の手入れをする
家族に報告する国に毎年、使用量と取り組みを報告する(定期報告)

試験を行うのは、経済産業大臣が指定した一般財団法人省エネルギーセンターです。免状(資格の証明書)は経済産業大臣が交付します。

家の家計簿と、工場のメーターの数字を記録する人を並べ、エネルギー管理士は工場の家計簿係であることを示すイラスト

どんな工場にエネルギー管理士が必要なの?

ひとことで言うと燃料と電気を「原油に直して」年3,000kl以上使う製造業などの工場は、免状を持つ人を必ず選ぶ決まりです。

工場によって使うエネルギーは、電気・都市ガス・重油などばらばらです。そのままでは量を足し算できません。そこで省エネ法では、すべてを原油に直したら何キロリットル(kl)になるかという1つのものさしで比べます。これを原油換算と呼びます。1klは1,000リットルで、ドラム缶(200リットル)5本分です。

たとえると

家計簿でたとえると、ドル・ユーロ・円のお金が混ざっていたら、全部を円に直してから合計しますよね。原油換算は、電気・ガス・重油を「原油という1つの通貨」に直して合計するようなものです。

その合計で、工場は次の3つの段に分かれます。

上から工場が大きくなる順です。エネルギー管理士の免状が「必ず」要るのは、3行目の工場だけです

年間の原油換算工場の区分(省エネ法)選ぶ人その人の資格
会社全体で1,500kl以上特定事業者(会社として届け出る)エネルギー管理統括者・企画推進者企画推進者は講習の修了者か免状を持つ人
1つの工場で1,500kl以上3,000kl未満第二種エネルギー管理指定工場等エネルギー管理員講習の修了者か免状を持つ人
1つの工場で3,000kl以上(製造業など5業種)第一種エネルギー管理指定工場等エネルギー管理者(1〜4人)エネルギー管理士の免状を持つ人だけ
1つの工場で3,000kl以上(事務所・ほかの業種)第一種エネルギー管理指定工場等エネルギー管理員講習の修了者か免状を持つ人

3行目の「製造業など5業種」は、施行令で製造業(物品の加工修理業を含む)・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業と決まっています。ただし、その中でも事務所として使う建物は外れます。つまり、ものを作る大きな工場が、エネルギー管理士の主な出番です。

注意|ここで間違えやすい

1,500kl は「会社全体」の合計、3,000kl と第二種の 1,500kl は「1つの工場」の量です。同じ 1,500kl でも数える範囲が違うので、ここで混乱しやすいです。

年間のエネルギー使用量が1,500klと3,000klの線で工場の区分と選ぶ人が決まることを示す図

原油換算の式はどこから来たの?電気を2段で直す

ひとことで言うと電気の量を、いったん熱量(GJ)に直し、それを原油の量(kl)に直します。係数は2つとも法令で決まっています。

なぜこの計算が要るのでしょうか。自分の工場が 1,500kl や 3,000kl の線を超えるかどうかで、国への届け出や、誰を選ぶかが変わるからです。線を超えたのに気づかないと、選任や届け出が遅れてしまいます。

電気は kWh(キロワット時)で数えます。原油は kl で数えます。単位がまったく違う2つをつなぐのが、熱量です。熱量の単位は J(ジュール)で、大きな量は GJ(ギガジュール。10億ジュール)を使います。

たとえると

外国のお金を両替するとき、円 → ドル → ユーロのように、間に1つ通貨をはさむことがありますよね。原油換算も、電気 → 熱量 → 原油と、間に「熱量」という共通の通貨をはさみます。

1段目:電気 → 熱量

施行規則では、電力会社などから買った電気は1,000kWh(千kWh)を 8.64GJ とみなすと決まっています。

「あれ、1kWh は 3.6MJ だから、1,000kWh は 3.6GJ では?」と思った方へ。3.6GJ は電気そのもののエネルギーです。でも発電所では、燃料を燃やして電気を作るときに多くの熱が逃げます。8.64GJ は「その電気を作るのに使った燃料の熱」を数える係数です。だから 3.6 より大きいのです(自分の工場で燃料から作った電気などは、規則で別の数え方が決まっています)。

熱量 [GJ] = 電気の量 [千kWh] × 8.64

2段目:熱量 → 原油

同じ施行規則で、熱量 1GJ を原油 0.0258kl とみなすと決まっています。原油1klを燃やすと約 38.8GJ(1÷0.0258)の熱が出る、という意味です。

原油換算 [kl] = 熱量 [GJ] × 0.0258

単位を左から順にかけると、千kWh × GJ/千kWh = GJ、GJ × kl/GJ = kl と、単位がきれいに消えていきます

記号・言葉意味単位
電気の量1年に買った電気(電力量計・請求書の値)千kWh(=MWh)
8.64買った電気 1,000kWh を熱量に直す係数(施行規則第4条)GJ/千kWh
0.0258熱量 1GJ を原油に直す係数(同)kl/GJ
原油換算工場の区分を決めるものさしkl
電気の使用量を熱量に直し、さらに原油の量に直す2段の換算の流れ図

計算してみよう:年1,000万kWhの工場は、どの区分?

ひとことで言うと電気だけの工場なら、年1,000万kWhで約2,229kl(第二種)、2,000万kWhで約4,458kl(第一種)です。

ここからは架空の例です。燃料は使わず、電気だけを買っている製造業の工場が、1つの会社に1つだけある、とします。

計算例
例1:年間の電気が 1,000万kWh の工場(例の値)
まず単位を千kWhにそろえる(1,000万kWh = 10,000,000kWh)
10,000,000 kWh ÷ 1,000 = 10,000 千kWh
1段目:電気を熱量に直す(×8.64)
10,000 千kWh × 8.64 GJ/千kWh = 86,400 GJ
2段目:熱量を原油に直す(×0.0258)
86,400 GJ × 0.0258 kl/GJ = 2,229.12 kl
線と比べる(1,500kl 以上・3,000kl 未満か)
1,500 kl ≦ 2,229 kl < 3,000 kl
答え:約2,229kl。会社は特定事業者、この工場は第二種エネルギー管理指定工場等になり、エネルギー管理員を選びます(免状がなくても講習の修了者でよい)
計算例
例2:年間の電気が 2,000万kWh の工場(例の値)
単位を千kWhにそろえる
20,000,000 kWh ÷ 1,000 = 20,000 千kWh
1段目:電気を熱量に直す
20,000 千kWh × 8.64 GJ/千kWh = 172,800 GJ
2段目:熱量を原油に直す
172,800 GJ × 0.0258 kl/GJ = 4,458.24 kl
線と比べる(3,000kl 以上か)
4,458 kl ≧ 3,000 kl
何人選ぶか(製造業・2万kl未満)
施行令第4条の表 → 1人
答え:約4,458kl。第一種エネルギー管理指定工場等になり、エネルギー管理士の免状を持つ人から、エネルギー管理者を1人選びます

つまり、電気の使用量が2倍になっただけで、「免状を持つ人が必ず要る工場」に変わります。

逆算:電気だけなら、何kWhで線を超える?

同じ式を逆にたどると、電気だけの工場で線を超える量がわかります。3,000kl ÷ 0.0258 ÷ 8.64 = 約13,458千kWh、つまり年 約1,346万kWhです。1,500kl なら年 約673万kWhです。

桁の感覚で確かめましょう。1年は 8,760 時間なので、1,346万kWh を1年じゅう同じ量で使うと、およそ 1,500kW を一日中使い続ける量です。大きなモーターや空調がたくさん動く工場の規模だとわかります。

注意|ここで間違えやすい

実際の工場は、ガスや重油も使います。燃料は種類ごとに発熱量の表(施行規則の別表)で熱量に直してから、電気と合計します。区分を決めるのは毎年の届け出の数字なので、計算は「自分の工場がどの辺りか」の見当づけに使ってください。

年1,000万kWhは第二種、2,000万kWhは第一種の線を超えることを示す棒グラフ

エネルギー管理者は、工場で何を任されるの?

ひとことで言うと設備の手入れ、使い方の改善と見張り、国への報告の書類づくりの3つが、法律に書かれた仕事です。

省エネ法の第11条には、エネルギー管理者の仕事が「エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視」などと書かれています。法律の言葉は硬いので、工場で何をするかに読みかえてみます。

左が法律の言葉、真ん中がそれを工場の仕事に直したもの。右は家計簿のたとえです

法律の言葉工場での仕事の例家計簿のたとえ
エネルギーを消費する設備の維持モーター・ポンプ・コンプレッサー・ボイラーの点検と手入れ。効率が落ちた設備を見つける古くなって電気をくう家電を見つける
エネルギーの使用の方法の改善運転の時間・温度・圧力の設定を見直す。動かしっぱなしを止めるエアコンの設定温度を見直す
エネルギーの使用の方法の監視設備ごとの使用量を記録し、いつもと違う増え方に気づく毎月の検針票を前の月と比べる
報告の書類の作成(施行規則)毎年の定期報告書・中長期計画の書類のもとになる数字をまとめる家族に家計の報告をする

選ぶ時期にも決まりがあります。選ぶ必要が生じた日から6か月以内に選び、選んだあとは国に届け出ます。「免状を持っている人が退職した」なども、選び直しが必要になる場面です。

POINT

エネルギー管理者は、1人で全部の省エネをする人ではありません。工場のエネルギーの「見張り番」として数字を集め、設備の担当者や設計者と一緒に改善を進める、まとめ役です。

エネルギー管理者が設備を見回り、記録し、改善する仕事を示すイラスト

エネルギー管理士試験の電気分野:4つの課目と1日の流れ

ひとことで言うと1日で4課目をマークシートで受け、課目ごとに配点の6割以上で合格。受験資格の制限はありません。

試験には熱分野と電気分野があり、申し込むときにどちらか1つを選びます。どちらも、1つ目の課目「エネルギー総合管理及び法規」は共通です。電気・制御の仕事をしている人に関係が深い、電気分野の中身を見てみましょう(令和8年度の受験の手引による)。

1日の時間割は、課目I → III → IV → II の順です(課目の番号と受ける順番が違うので注意)

課目名前主な中身(問題数)時間
課目I(共通)エネルギー総合管理及び法規省エネ法とその命令(1)、エネルギー情勢・政策と概論(1)、エネルギー管理技術の基礎(1)80分
課目II電気の基礎電気及び電子理論(1)、自動制御及び情報処理(1)、電気計測(1)80分
課目III電気設備及び機器工場配電(2)、変圧器・モーターなどの機器(2)110分
課目IV電力応用電動力応用(2)、電気加熱・電気化学・照明・空気調和の4問から2問を選ぶ110分
たとえると

4課目は、家計簿係の「4つの科目テスト」です。課目Iは家計のルール(法律)、課目IIは計算の基礎、課目IIIは家の配線と家電のしくみ、課目IVは家電の上手な使い方、と考えるとイメージしやすいです。

毎年の数字は、その年の受験の手引で必ず確かめてください。令和9年度の日程は、発表されたら省エネルギーセンターのサイトに出ます

項目令和8年度(第48回)の内容
試験日令和8年8月2日(日)。9:00 から 17:40 まで4時限
申込み4月6日〜6月22日、インターネットで
受験手数料17,000円(非課税)
受験資格制限なし(学歴・年齢・国籍は問わない)
方式筆記・マークシート。関数電卓は使えない(使ってよい電卓の決まりがある)
合格の基準選んだ分野の4課目すべてで、配点の60%以上
課目合格一部の課目だけ合格した人は、その年の初めから3年以内の同じ分野の受験で、その課目が免除

課目合格の決まりがあるので、1年目に2課目、2年目に残りの2課目、のように分けて受かる道もあります。ただし3年を過ぎると、合格した課目も無効になります。

エネルギー管理士試験の電気分野の1日の時間割
おすすめの本

4課目の問題の形と、6割に届くかを確かめるには、過去の試験を課目ごとに解いてみるのが近道です。その答え合わせに使う本の例です。電気書院の『エネルギー管理士電気分野模範解答集』は、書名のとおり電気分野の過去の試験の模範解答をまとめた本で、毎年新しい版が出ます(楽天ブックスの書誌)。買うときは、受ける年度に合う最新の版を選んでください。課目の範囲や時間割は、その年の受験の手引で確かめてください。

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合格率はどのくらい?令和8年度の数字

ひとことで言うと令和8年度は、新しく受けた8,783人のうち3,019人が合格。計算すると約34%です。

省エネルギーセンターが令和8年9月に出した合格者発表の数字を、そのまま並べます。

「申込者」と「受験者」の差は、申し込んだが当日受けなかった人です

区分申込者受験者合格者
新規受験者(課目免除の人を含む)10,456人8,783人3,019人
旧資格者(移行措置)19人17人14人
計算例
合格率を計算する(公式の数字から)
合格率 = 合格者 ÷ 受験者 × 100
3,019 ÷ 8,783 × 100
割り算をする
= 0.3437… × 100
パーセントにする
≒ 34.4 %
答え:約34%。およそ3人に1人が合格した計算です(熱分野と電気分野の合計。分野別の内訳は、この発表ページには載っていません)

ここで注意したいのは、受験者の中に「課目免除の人」も入っていることです。前の年までに一部の課目を合格していた人は、残りの課目だけで判定されます。1年目に全部の課目で受かる人の割合は、この数字とは違う可能性があります。

令和8年度エネルギー管理士試験の申込者・受験者・合格者の数

免状をもらうまでの2つの道:試験と研修

ひとことで言うと試験に受かる道と、実務3年以上の人が研修を受ける道があり、試験の道では実務1年の証明も要ります。

エネルギー管理士として選ばれるには、試験の合格証だけでは足りません。経済産業大臣から免状をもらって、はじめて「免状を持つ人」になります。

STEP 1

試験の道:だれでも受けられる。受験資格はありません。8月の試験で4課目すべてに合格すると、合格証が届きます。

STEP 2

試験の道:実務1年の証明を用意する。免状の申請には、エネルギーの使用の合理化に関する実務に1年以上ついたことの証明書が要ります。実務の時期は、合格の前でも後でもかまいません。

STEP 3

研修の道:実務3年以上の人。エネルギー管理の実務3年以上の証明ができる人は、「エネルギー管理研修」を受けられます。令和8年度は、講義をオンラインで受け(合計33時間25分)、12月の修了試験に合格する形です。

STEP 4

どちらの道も:免状の交付を申請する。令和元年度以降の試験合格者の申請書は、省エネルギーセンターが受け付けています。

たとえると

家計簿係にたとえると、試験の道は「筆記テストに受かったうえで、1年間の家計簿づけの経験を見せる」道、研修の道は「3年間家計簿をつけてきた人が、講習と確認テストを受ける」道です。

免状には、熱分野・電気分野の区別がありません。電気分野で受かった人も、熱を多く使う工場のエネルギー管理者になれます。

エネルギー管理士の免状をもらう試験の道と研修の道の流れ図

電験三種とエネルギー管理士の違い:安全の見張りと、むだの見張り

ひとことで言うと電験三種は電気事業法の「電気の安全」の資格、エネルギー管理士は省エネ法の「エネルギーのむだ」の資格です。

電気の資格で名前がよく並ぶのが、電験三種(第三種電気主任技術者)です。どちらも工場の電気に関係しますが、守る対象が違います。

たとえると

家でたとえると、電験三種は「ブレーカーや配線が安全か」を見張る係、エネルギー管理士は「電気代のむだがないか」を見張る係です。同じ電気を見ていても、見ている所が違います。

左の列の観点ごとに、2つの資格を比べます。電験三種の細かな決まりは下のリンク先で

比べる所電験三種エネルギー管理士
もとになる法律電気事業法省エネ法
守るもの電気設備の安全(感電・火災・停電を防ぐ)エネルギーのむだを減らす
選ぶのが必要な場面高圧で電気を受ける工場・ビルなどの電気設備(外部への委託で済ませる道もある)原油換算で年3,000kl以上の製造業などの工場
見るもの電気設備だけ電気と燃料(ガス・重油・蒸気など)
試験理論・電力・機械・法規の4科目電気分野:法規と総合管理・電気の基礎・電気設備及び機器・電力応用の4課目
受験資格なしなし(免状には実務1年の証明が要る)

試験の中身は、電気の理論・変圧器・モーター・配電など、重なる所がかなりあります。一方で、エネルギー管理士には省エネ法と、照明・空調・電気加熱などの「使い方」の問題が入ります。受験の手引に書かれた免除は、課目合格と旧制度の資格(熱管理士・電気管理士)の人だけで、電験三種を持っていても課目は免除されません。

電験三種の試験の科目・合格率・勉強の順番は、同じ筆者が運営する電気と品質管理のブログ shirasusolo.net の電験三種とはの記事でくわしく解説しています。

電験三種は電気の安全、エネルギー管理士はエネルギーのむだを見張ることを比べたイラスト

電気・制御の設計の仕事と、試験の課目のつながり

ひとことで言うとモーター・インバーター・照明・受変電・計測と、設計で扱うものの多くが、電気分野の課目II〜IVに出てきます。

工場の電気の大部分は、モーターで機械を動かすことに使われます。そのモーターの回し方を決めるのが、インバーターやサーボの設計です。課目IVの名前が「電動力応用」(電気でモーターを動かす力の使い方)なのは、そのためです。

左が設計・保全で扱うもの、真ん中が試験のどの課目に近いか、右がこのサイトで先に読める記事です

設計・保全で扱うものつながる課目このサイトで読める記事
モーターの容量・トルク課目IV 電動力応用モーターのトルク計算
インバーターの速度制御・省エネ課目IV 電動力応用、課目II 自動制御インバーター制御とは(省エネの条件)
変圧器・配電・ブレーカー課目III 電気設備及び機器(工場配電)制御盤とは
電力の計測・センサ課目II 電気計測(計測の記事は順に公開)
PLC・フィードバック制御課目II 自動制御及び情報処理PLCとは?しくみとスキャン

つまり、電気・制御の仕事で毎日扱っているものが、そのまま試験の題材になっています。逆に言えば、試験の勉強は「設計した機械が、どれだけのエネルギーを使うか」を考える練習にもなります。

POINT

設計の段階で決めたモーターの大きさや運転のしかたは、何年もその工場の電気代を決めます。エネルギー管理者が見張る「むだ」の多くは、設計のときに生まれます。資格を取るかどうかにかかわらず、この見方を知っておくと、設計の判断の材料が1つ増えます。

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表の課目II〜IVを、モーター・インバーター・配電の順に読み直したいときの、テキストと問題集が1冊になった本の例です。TAC出版の『エネルギー管理士 電気分野 超速マスター』第6版(2026年4月発行)は、電気の基礎(電気および電子理論・自動制御・情報処理・電気計測)、電気設備および機器(工場配電・電気機器)、電力応用(電動機応用・電気加熱・電気化学・照明・空気調和)、エネルギー総合管理および法規の4章で、テキストと問題演習が1冊になった本です(楽天ブックスの目次と内容紹介)。

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よくある勘違い:合格すればすぐ選べる?

ひとことで言うと合格だけでは免状はもらえず、選任が「必ず」要る工場も限られています。

エネルギー管理士について、つまずきやすい所を表にまとめます。

左の勘違いを、真ん中の「本当は」で直します。右はどこに書いてあるか

よくある勘違い本当は根拠
試験に受かれば、すぐエネルギー管理者になれる免状の申請には実務1年以上の証明が要る。免状をもらってから選ばれる受験の手引 第1章
エネルギーをたくさん使う工場は、全部エネルギー管理士が要る免状が必ず要るのは、3,000kl以上の製造業など5業種の工場。ほかはエネルギー管理員(講習の修了者でもよい)省エネ法第11条・第12条・第14条、施行令第5条
電気分野で受かったら、電気の工場でしか働けない免状に分野の区別はない受験の手引 第1章
電験三種があれば一部の課目が免除になる手引にある免除は、課目合格と旧制度の熱管理士・電気管理士だけ受験の手引 第1章
一度課目に受かれば、ずっと有効課目合格の免除は3年以内。過ぎると受け直し受験の手引 第1章
注意|ここで間違えやすい

選任の人数や区分の線は、法令が変わると変わります。自分の工場の区分は、毎年の届け出の数字と、資源エネルギー庁・経済産業局の最新の資料で確かめてください。

よくある質問

Q. エネルギー管理士とはどんな資格ですか?

A. 省エネ法にもとづく国家資格で、エネルギーを多く使う工場で、設備の使い方の改善やむだの見張りをするエネルギー管理者になれます。

Q. エネルギー管理士はどんな工場で必要ですか?

A. 原油換算で年3,000kl以上を使う製造業・鉱業・電気・ガス・熱供給業の工場で、免状を持つ人から1〜4人を選ぶ決まりです。

Q. エネルギー管理士の電気分野の試験課目は?

A. 共通の法規と総合管理、電気の基礎、電気設備及び機器、電力応用の4課目です。課目ごとに配点の6割以上で合格です。

Q. エネルギー管理士の合格率はどのくらいですか?

A. 令和8年度は新規の受験者8,783人のうち3,019人が合格し、計算すると約34%です。分野別の内訳は公式の発表ページにありません。

Q. エネルギー管理士に受験資格はありますか?

A. 受験資格の制限はありません。ただし免状をもらうには、エネルギーの使用の合理化の実務に1年以上ついた証明が要ります。

Q. 電験三種とエネルギー管理士はどちらが先ですか?

A. どちらにも順番の決まりはありません。電験三種は電気の安全、エネルギー管理士はエネルギーのむだを見る資格で、試験の中身は一部重なります。

まとめ:エネルギー管理士は、工場のエネルギーの家計簿係

POINT
  • エネルギー管理士は、省エネ法にもとづく、工場のエネルギーのむだを見張って減らすための国家資格
  • 原油換算で年3,000kl以上の製造業などの工場は、免状を持つ人から1〜4人のエネルギー管理者を6か月以内に選ぶ
  • 電気の原油換算は「千kWh × 8.64 = GJ」「GJ × 0.0258 = kl」の2段。電気だけなら年 約1,346万kWh で 3,000kl
  • 電気分野は4課目(法規と総合管理・電気の基礎・電気設備及び機器・電力応用)。各課目6割以上で合格、課目合格は3年
  • 令和8年度は受験者8,783人・合格者3,019人(約34%)。免状には実務1年の証明が要る
  • 電験三種は電気の安全、エネルギー管理士はエネルギーのむだ。中身は重なるが、免除はない

工場のエネルギーのむだの多くは、モーターの回し方から生まれます。次は、インバーターでどれだけ電気が減るのかを計算で確かめてみましょう。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。

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