※この記事にはプロモーションが含まれています。
シーケンス図の書き方は、①左右に2本の母線を引く ②1段に「条件(接点)→結果(コイル・ランプ)」を左から右へ書く ③機械が動く順に段を上から並べる、の3つです。ここでいうシーケンス図は、工場の機械を動かす電気の図(展開接続図)のこと。ソフトウェアの設計で使う UML のシーケンス図とは別物です。
記号は JIS C 0617(電気用図記号)が基準で、まず a接点・b接点・コイルの3つを覚えれば読み始められます。この記事は、電気の記号の一覧、1枚の図を番号で読む練習、書く順番、止まったときに図面で追う方法の順に進みます。
シーケンス図は、制御盤の扉の裏や、機械の図面の束にたいてい入っています。この記事では、シーケンス図を電気の通り道の地図にたとえて、最後までその話で説明します。
- 電気用図記号の基準:JIS C 0617(第7部 開閉装置・制御装置及び保護装置。2024年改正)
- シーケンス図(展開接続図)・文字記号・図記号の規格の一覧:厚生労働省の電気製図技能検定の試験科目
- JIS C 0617-7:2024 電気用図記号−第7部:開閉装置,制御装置及び保護装置(日本規格協会のプレビュー。制定 1999年・改正 2024年12月20日。IEC 60617 に対応)
- 厚生労働省「電気製図技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」(電気用図記号 JIS C 0617群・電気技術文書 JIS C 1082群・制御器具番号 JEM 1090・用語及び文字記号 JEM 1115・展開接続図の様式 JEM 1404)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。
シーケンス図とは?電気の通り道の地図
工場の機械は、「ボタンを押したらモーターが回る」「扉が閉まっていなければ動かない」「10秒たったらブザーを鳴らす」といった決まりで動いています。この決まりを、順番(シーケンス)どおりに進める制御をシーケンス制御と呼びます。
その決まりを、スイッチ・リレー・ランプなどの部品の記号と線で描いた図がシーケンス図です。図面の世界では展開接続図とも呼びます(様式は日本電機工業会の規格 JEM 1404 にまとめられています)。
制御盤の扉を開けると、線が何十本も入り組んでいて、どこからどこへ電気が行くのか目で追えません。地下鉄の路線図を思い出してください。本当の線路は曲がりくねっていますが、路線図は「どの駅とどの駅がつながっているか」だけを、まっすぐな線で描き直しています。シーケンス図も同じで、部品のある場所は気にせず、電気の通り道と順番だけを描き直した地図です。
この記事では、地図のたとえを次のように使います。最初は全部覚えなくて大丈夫です。節を読むたびに、この表に戻ってきてください。
この表の見方:左の言葉が出てきたら、右の部品のことだと読みかえます
| 地図のたとえ | シーケンス図では |
|---|---|
| 2本の大通り | 母線(ぼせん)。電源の両側につながる線 |
| 大通りをつなぐ横道 | 1段の回路(条件→結果) |
| 跳ね橋 | 接点(スイッチやリレーの電気の入り切りをする所) |
| 橋をまとめて動かす塔 | コイル(リレー・電磁接触器の電磁石) |
| 横道の終点の家 | ランプ・ブザー・コイルなど、電気が届くと動くもの |
シーケンス制御が、フィードバック制御など、ほかの制御とどう違うのかは、同じ筆者が運営する電気のブログ shirasusolo.net の自動制御とは?で原理から説明しています。

実物の配線図と、どこが違う?
同じ回路を2通りに描いて比べます。左は、制御盤の中の部品の並び(電源・電磁接触器・サーマル・端子台)と、扉のボタンの位置どおりに線を引いた図です。部品どうしをつなぐ線が交差して、「始動ボタンを押すと、どこを通って何が動くか」を指でなぞるのは大変です。
右がシーケンス図です。部品の場所は無視して、電源の線を両側に1本ずつ引き、そのあいだに「停止→始動→電磁接触器」と、電気が通る順番に左から右へ並べています。同じ回路なのに、流れがひと目で追えます。
シーケンス図だけを見ても、部品が盤のどこにあるかはわかりません。実物を探すときは、部品の並びを描いた図(配置図)や、端子の番号を書いた図(接続図)とセットで使います。シーケンス図は「動き」、配置図・接続図は「場所」の図、と分けて覚えます。

地図の約束1:2本の大通りと、上から順に並ぶ横道
シーケンス図のいちばん外側には、電源につながる2本の線があります。これを母線と呼びます。たとえでいえば、地図の両端を走る2本の大通りです。
大通りのあいだを、何本もの横道がつないでいます。1本の横道が、シーケンス図の1段(1つの回路)です。横道の途中にスイッチなどの「条件」があり、右の端に、電気が届くと動く「結果」(コイル・ランプ)があります。
横道を左の大通りから右の大通りまで、車で走るところを想像してください。途中の橋が全部通れれば、車は右の大通りまで着きます。電気も同じで、左の母線から右の母線まで、1本の道がつながったときだけ電気が流れ、道の終点のランプがつきます。
読む順番の3つの約束
- 1段の中は、左から右へ:左にある接点が「条件」、右にあるコイルやランプが「結果」です。「もしこのボタンが押されたら、このランプがつく」と読みます
- 段は、上から下へ:たいてい、動く順番に近い順で上から並んでいます
- 結果(コイル・ランプ)は、右の母線の側に置く:条件と結果が混ざらないよう、どの段も右の端に結果をそろえます
母線を左右に縦に引き、回路を横に描く図を横書き、母線を上下に横に引き、回路を縦に描く図を縦書きと呼びます。どちらも読み方は同じで、電気が流れる向きに条件→結果と読みます。この記事は横書きで説明します。

地図の約束2:接点は「跳ね橋」。ふだんの状態で描く
電気の道を「つなぐ・切る」をする所を接点と呼びます。スイッチの中にもリレーの中にも、金属どうしが触れたり離れたりする接点があります。
接点は、運河にかかる跳ね橋です。橋が下りていれば車(電気)は渡れ、上がっていれば渡れません。跳ね橋には2種類あります。
・ふだんは上がっている橋:ボタンを押すと下りて、渡れるようになる
・ふだんは下りている橋:ボタンを押すと上がって、渡れなくなる
ふだん開いていて、押す(動かす)と閉じる接点をa接点(メーク接点)と呼びます。ふだん閉じていて、押すと開く接点をb接点(ブレーク接点)と呼びます。JIS C 0617 では「メーク接点」「ブレーク接点」という名前で、図記号が決められています。
記号の形は、a接点が「右上に傾いた棒が、右の端子に触れていない」形、b接点が「右の端子に短い縦線があり、傾いた棒がそれに触れている」形です。棒が触れていれば電気が通れる、と見ます。

いちばん大事なルール:図は「ふだんの状態」で描く
ここで間違えやすい大事なルールがあります。シーケンス図は、誰もボタンを押しておらず、リレーにも電気が来ていない「ふだんの状態」で描きます。
だから、図で閉じて描かれている b接点は「いま閉じている」のではなく、「何もしていなければ閉じている」という意味です。動いている機械の図面を見るときは、「いまはどの接点が動いた状態か」を頭の中で切り替えて読みます。
「図で開いて描いてあるから、ここは電気が通っていない」と決めつけないでください。ボタンが押されていたり、リレーが入っていたりすれば、図とは逆の状態になっています。止まった機械を調べるときに、いちばん多いつまずきです。

地図の約束3:コイルは「塔」。同じ名前の接点は一緒に動く
押しボタンは、人が手で押して接点を動かします。では、電気で接点を動かすにはどうするか。そのための部品がリレー(継電器)です。リレーの中には電磁石(コイル)と接点が入っていて、コイルに電気が流れると電磁石が鉄の板を引きつけ、接点が切り替わります。
モーターのような大きな電気を入り切りする、力の強いリレーを電磁接触器(マグネットスイッチ。図では MC と書くことが多い)と呼びます。仕組みはリレーと同じです。
町の真ん中に塔があり、塔のレバーを入れると、町のあちこちにある跳ね橋が一斉に動く、と考えてください。塔=コイル、塔につながった跳ね橋=そのリレーの接点です。橋は町のどこにあっても、同じ塔のレバーで一緒に動きます。
シーケンス図では、コイルと、そのリレーの接点を、離れた場所に別々に描きます。コイルは「結果」として右の端に、接点は「条件」として別の段に出てきます。どれとどれが同じリレーかは、同じ名前(例:MC、R1)で見分けます。
1つのリレーには、たいてい a接点と b接点が何組かあります。コイルに電気が届くと、そのリレーのa接点は全部閉じ、b接点は全部開きます。図を読むときは、「MC のコイルが入ったら、MC と書いてある接点を全部ひっくり返す」と覚えると迷いません。
知らない図面を読むときは、記号を1つずつ追う前に、図面の最初のページにある凡例(記号と文字記号の一覧)と、線番号・接点の番号の付け方の説明を先に見ます。同じ記号でも、古い図面や会社によって形や名前の付け方が違うことがあり、凡例を見ずに読み進めると、別のリレーの接点を同じものと読み違えます。凡例が見つからないときは、「コイルの近くに、その接点が何段目にあるかを書いた番号(参照の番号)がないか」を探すと、同じ名前の接点を早く見つけられます。

記号一覧(1):接点とスイッチ
ここからは、シーケンス図でよく出てくる記号を一覧にします。形は JIS C 0617(電気用図記号)に寄せて、横書きの向きで描いています。まずは表の上の3行(a接点・b接点・押しボタン)だけ覚えれば、多くの回路を読み始められます。
この表の見方:左の名前と、2列目の形の特徴を見比べます。文字記号は図面によって違うので例です
| 記号の名前 | 形の見分け方 | 文字記号の例 | どんなときに出てくるか |
|---|---|---|---|
| a接点(メーク接点) | 傾いた棒が右の端子に触れていない | (リレーの名前) | 条件が「そうなったら通す」とき |
| b接点(ブレーク接点) | 右の端子の縦線に、棒が触れている | (リレーの名前) | 条件が「そうなったら切る」とき |
| 押しボタンスイッチ | 接点の上に点線と「⊓」(押す印) | PB・PBS | 始動(a)・停止(b)のボタン |
| リミットスイッチ | 接点の棒に小さな三角 | LS | 機械の動く部分が当たったことを知らせる |
| タイマーの接点 | 接点の上に二重線と円弧 | T・TLR | 時間がたってから切り替える |
| サーマル(熱動継電器)の接点 | b接点の上に点線と段のついた線 | THR | モーターに電流が流れすぎたら切る |
文字記号(PB・LS などの略号)は、日本電機工業会の規格 JEM 1115 などに定めがありますが、実際の図面では会社や設計者によって付け方が違うことがあります。必ず図面の凡例で確かめてください。
目安タイマーやサーマルの記号は、接点の形が同じでも「印」が違うだけで意味が大きく変わります。次の節で、印の読み方をまとめます。

記号一覧(2):コイル・ランプ・電源と保護の部品
接点のほかに、電気が届くと動く「結果」の部品と、電源を守る部品の記号です。
この表の見方:同じ名前の文字記号(例:THR)が、ヒーターと接点の2か所に出てくることに注意します
| 記号の名前 | 形の見分け方 | 文字記号の例 | 役目 |
|---|---|---|---|
| コイル | 長方形 | R(リレー)・MC(電磁接触器)・T(タイマー) | 電気が届くと、同じ名前の接点を切り替える |
| 表示灯(ランプ) | 円の中に × | PL | 運転中・停止中・異常などを知らせる |
| モーター | 円の中に M | M | 主回路の終点。電磁接触器の主接点で回る |
| 配線用遮断器 | 接点の固定側に × | MCCB | 電流が流れすぎたら回路ごと切って守る |
| ヒューズ | 長方形の中に線 | F | 流れすぎたら溶けて切れる |
| サーマルのヒーター | 長方形の中に段のついた線 | THR | モーターの電流の熱を測り、サーマルの b接点を開く |
| 線のつながり | 交わる所に ● | – | ● がある所だけ、線がつながっている |
線が十字に交わっていても、交点に ● がなければつながっていません(立体交差の道路と同じです)。● があるところだけが、道が合流する交差点です。

記号は「接点の形」+「何で動くかの印」で読める
一覧の記号を見比べると、ほとんどが「a接点か b接点の形」に、「何で動くかの印」がついただけだとわかります。
跳ね橋でいえば、橋の形(ふだん上がっているか、下りているか)は同じで、「橋を動かすのは誰か」の札が違うだけです。人がボタンで動かす橋、船が当たると動く橋、時間が来ると動く橋、暑くなると動く橋、という具合です。
この表の見方:左の印を見つけたら、真ん中の「何で動くか」に読みかえ、その下の接点の形(a/b)と組み合わせます
| 印 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 点線と「⊓」 | 人が手で押すと動く | 押しボタンスイッチ |
| 小さな三角 | 機械の動く部分が当たると動く | リミットスイッチ |
| 二重線と円弧 | 時間がたってから動く(円弧の中心へ向かう動きが遅れる) | タイマーの接点 |
| 点線と段のついた線 | 熱(流れすぎた電流)で動く | サーマルの接点 |
タイマーの円弧は「パラシュート」と覚える
タイマーの接点の円弧は、パラシュートの形です。パラシュートを開いて落ちると、ゆっくりになります。IEC の図記号の注記では、円弧の中心へ向かう動きが遅れると説明されています。
たとえば、円弧が上にかぶさった「∩」の形の a接点は、棒が下へ(閉じる向きへ)動くときが遅れる=入るときに遅れる a接点です。タイマーのコイルに電気が来てから、決めた時間がたって閉じます。円弧の向きが逆なら、切れるときに遅れる接点です。
円弧の向きを読み違えると、「入るのが遅れる」と「切れるのが遅れる」が逆になり、回路の動きがまったく変わります。タイマーの記号を見たら、円弧の中心がどちら側にあるかを必ず確かめます。
1999年より前に描かれた古い図面には、今の JIS C 0617 になる前の、日本独自の形の記号(旧 JIS)が残っていることがあります。形が見慣れないときは、推測で読まずに、その図面の凡例で確かめてください。
- 接点・限時動作接点・リミットスイッチ・補助継電器などの図記号:JIS C 0617-7:2024(制定 1999年)
- 限時動作の円弧(中心へ向かう動きが遅れる):IEC 60617 図記号データベースの注記 A00070
- JIS C 0617-7:2024 電気用図記号−第7部:開閉装置,制御装置及び保護装置(日本規格協会のプレビュー。制定 1999年・改正 2024年12月20日。IEC 60617 に対応)
- IEC 60617 図記号データベースの注記 A00070(限時動作の接点:円弧の中心へ向かう動きが遅れる「パラシュート効果」)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

練習問題:モーターの始動・停止の図を、番号どおりに読む
ここまでの約束だけで、本物によく出てくる回路を1枚読んでみます。モーターを始動ボタンで回し、停止ボタンで止める回路です。図の左が主回路(モーターへ行く太い電気)、右が操作回路(リレーやランプを動かす細い電気)です。
まず、部品を番号で確かめる
- ①MCCB(配線用遮断器):主回路の入口。流れすぎたら切る
- ②THR の b接点:モーターの電流が流れすぎると開く(サーマル)
- ③PB1 停止:b接点の押しボタン。押すと開く
- ④PB2 始動:a接点の押しボタン。押すと閉じる
- ⑤MC のコイル:電気が届くと、MC と書いた接点を全部切り替える
- ⑥MC の主接点:主回路の太い接点。MC が入ると閉じてモーターが回る
- ⑦MC の a接点:始動ボタンと並べてつないだ「回り道」
- ⑧MC の a接点と⑨MC の b接点:運転ランプと停止ランプを切り替える
状態ごとに読む
次の表を、上の行から順に読みます。「閉」は接点が閉じて電気が通れる、「開」は通れない状態です。
この表の見方:左の列の出来事が起きたとき、横に読むと、各部品の状態と結果がわかります
| いつ | ③停止 | ④始動 | ⑦MC(a) | ⑤MC のコイル | ランプ・モーター |
|---|---|---|---|---|---|
| 押す前(ふだん) | 閉 | 開 | 開 | 切れている | 停止ランプがつく(⑨が閉)・モーターは止まっている |
| 始動を押した | 閉 | 閉 | 開 → 閉 | 入る | MC の接点が一斉に切り替わる:運転ランプがつき、停止ランプが消え、⑥が閉じてモーターが回る |
| 始動から手を離した | 閉 | 開 | 閉 | 入ったまま | ④が開いても、⑦の回り道で電気が通り続ける(自己保持) |
| 停止を押した | 開 | 開 | 閉 → 開 | 切れる | 道が切れて MC が切れ、⑦も開く。モーターは止まり、停止ランプがつく |
| 停止から手を離した | 閉 | 開 | 開 | 切れたまま | 回り道がもう開いているので、始動を押すまで止まったまま |
| 運転中にサーマルが働いた | 閉 | 開 | 閉 → 開 | 切れる | ②が開いて MC が切れ、モーターを守る |
いちばん大事なのは3行目です。始動ボタンから手を離しても、すぐ下の⑦MC の a接点が「回り道」になって、電気の道を保ち続けます。自分の接点で自分のコイルを入れ続けるこの形を自己保持と呼びます。
塔のレバーが入ると、塔につながった「回り道の橋」も下ります。最初の橋(始動ボタン)が上がっても、回り道を通って車は塔に着き続けます。レバーを下ろすには、道の手前の「ふだん下りている橋」(停止ボタン)を上げて、全部の道を断ちます。
下の図で、ボタンを押して確かめてみましょう。始動を押したあと、手を離しても緑の道が「回り道」に移って残るところを見てください。
動かして確かめる
練習問題の操作回路です。緑の流れる線が「いま電気が通っている道」です。「始動を押す」を押すと、ボタンは1秒たらずで手を離した状態にもどります。手を離したあとも運転ランプがつき続けるか、見てください。
いまの様子:停止中です。MC のコイルに電気が届いていないので、MC の b接点を通る段3の停止ランプだけがついています。
動きは説明のための作り物です(リレーが入るまでの時間や、ボタンを押している時間は見やすく長くしています)。
見てほしいのは、始動ボタンが開いたあと、緑の流れが下の MC の a接点の道に移るところです。停止を押すと、回り道ごと消えて、離しても戻りません。

動きを時間で描く:タイムチャート
同じ動きを、横を時間、縦を ON/OFF にしたグラフで描くと、どれがいつ入って、いつ切れるかがひと目でわかります。このグラフをタイムチャートと呼びます。
始動ボタンは押している短い時間だけ ON ですが、MC のコイルと運転ランプは、停止ボタンを押すまで ON のままです。この「ボタンは短く、出力は長く」が、自己保持をタイムチャートで見たときの特徴です。
回路を自分で書くときは、先にタイムチャートを描いてから回路にすると、「どの出力を、何で入れて、何で切るか」を考え漏らしにくくなります。

シーケンス図の書き方:地図を描く順番
読み方がわかったら、書き方も同じ約束の裏返しです。小さな回路でも、次の順番で書くと、抜けや間違いが減ります。
やりたい動きを文にする:「始動を押すとモーターが回り、停止を押すかサーマルが働くと止まる。運転中は緑、停止中はオレンジのランプ」のように、条件と結果を文で書きます。
部品を書き出す:ボタン・センサ(入れるもの)と、コイル・ランプ(動かすもの)を一覧にして、名前(PB1、MC など)を決めます。
母線を引き、結果を右の端に置く:2本の母線を引き、動かしたいもの1つにつき1段、右の端にコイルかランプを置きます。
条件を左に並べる:「両方そろったら」は直列(1本道に並べる)、「どちらかで」は並列(道を分ける)。止める条件(停止・異常)は b接点で、動かす条件の手前に置きます。
名前と番号を書く:すべての接点とコイルに名前を書き、同じリレーの接点は同じ名前にします。線番号や、接点が何段目にあるかの番号も書きます。
動きを確かめる:ふだん → 始動 → 手を離す → 停止 → 異常、の順に、練習問題の表のように1つずつ追います。タイムチャートと合っているかを見ます。
直列は「両方」、並列は「どちらか」
条件の並べ方は2つしかありません。1本の道に接点を続けて並べる直列と、道を2本に分けて並べる並列です。
1本道に跳ね橋が2つあれば、両方が下りていないと向こうへ行けません。これが直列で、「A かつ B のとき」(AND)になります。道が2本に分かれていて、それぞれに橋があれば、どちらか1つが下りていれば行けます。これが並列で、「A または B のとき」(OR)になります。
練習問題の回路も、この2つだけでできています。「THR が働いていないかつ停止が押されていないかつ(始動が押されたまたは MC が入っている)」と、言葉に直して読めます。

描くときのルールと、よくある間違い
自分で描いた図、人から渡された図をチェックするときの表です。左の列に当てはまる所がないか、上から見ていきます。
この表の見方:左の列に心当たりがあれば、右の列の直し方で描き直します
| よくある間違い | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| ボタンを押した状態・リレーが入った状態で描く | 読む人が、ふだんの状態を読み違える | 必ず、何もしていない・電気が来ていない状態で描く |
| コイルを段の途中(右の端以外)に置く | 条件と結果が混ざり、どこまでが条件か読めない | 結果は右の母線の側にそろえる |
| 同じリレーの接点に、別々の名前を付ける | どのコイルで動く接点か追えない | 同じリレーは同じ名前にし、凡例に書く |
| 線の交差に ● を打ち忘れる/打ちすぎる | つながっていない線をつながっていると読む(逆も) | つなぐ所だけ ● を打つ |
| 止める条件(停止・異常)を a接点で作る | 線が切れたとき、止めたいのに止まらない | 止める条件は b接点で、道を切る形にする |
最後の行は、安全に関わる大事な考え方なので、図で説明します。停止ボタンを b接点にしておくと、ボタンの線が切れたり外れたりしたときも、「道が切れた」のと同じになり、機械は止まります。異常に気づけます。
反対に、「押したら止める用のリレーに電気を送る」という a接点の形で停止を作ると、線が切れたときに、押しても止める信号が届きません。これがいちばん困る壊れ方です。
止める条件(停止ボタン・非常停止・サーマル・扉のスイッチなど)は、b接点で「道を切る」形にし、線が切れたり部品が壊れたりしたときに「止まる側」になるかを、1本ずつ確かめます。描き終えた図を見て、「この線が外れたら、機械は止まるか動き続けるか」を自分に聞くと、見落としが見つかります。
扉が開いていると動かないようにする「インターロック」の安全上の決まりや種類は、同じ筆者が運営する安全衛生ずかんのインターロックとはにまとめています。非常停止のように人の安全に関わる回路は、規格と安全回路の設計(安全リレーなど)に従います。

記号と書き方の決まりを、1冊で通して確かめたいときの本の例です。オーム社の『絵とき シーケンス制御読本 入門編』改訂4版(大浜庄司 著・2018年8月発行)は、電気用図記号の書き方、シーケンス図の書き方、基本回路の読み方などを、全ページ絵と図で説明した本です(楽天ブックスの内容紹介)。
仕事で使うとき:止まった機械を、図面でさかのぼる
シーケンス図がいちばん役に立つのは、機械が動かない・止まったときです。地図があれば、どこで道が切れているかを、順番に探せます。
家に荷物が届かないとき、出発地から全部の道を調べるより、家の前から「どの橋が上がっているか」を逆にたどるほうが早いはずです。シーケンス図でも、結果(動かないコイル)から、条件(接点)へ逆にたどります。
止まった機械の図面は、上から順に全部読むのではなく、「動いてほしいのに動かない出力」のコイルを先に見つけ、その段を右から左へたどって、開いている接点を探します。開いていた接点が別のリレーのものなら、そのリレーのコイルの段へ移って同じことを繰り返します。こうすると、たどる段がいつも1本に絞られ、関係のない回路を読まずに済みます。最後にたどり着いたボタン・センサ・サーマルなどの外の機器を、実物で確かめます。
図面と実物を行き来するときは、線番号(線についている番号)と、端子台の番号が手がかりになります。どの番号がどの線かは、接続図や端子の一覧に書かれています。
制御盤の中で電圧を測るときは、電源の切り方・測ってよい所・使ってよい測定器を、職場のルールと機器の取扱説明書で確かめてからにします。主回路(太い線)には触れず、わからないときは一人で作業しないでください。
- □ 図面の凡例(記号・文字記号)と、線番号の付け方を確かめた
- □ 動いてほしいのに動かない出力(コイル・ランプ)を1つ決めた
- □ その段を右から左へたどり、開いている接点を見つけた
- □ 開いていた接点の「持ち主」(同じ名前のコイル)の段へ移った
- □ 最後にたどり着いた外の機器(ボタン・センサ・サーマル)を実物で確かめた
- □ 直したあと、ふだん → 始動 → 停止の順に動きを確かめた
モーターを電磁接触器でそのまま回す代わりに、インバータで速さを変えて回す機械も多くあります。インバータの選び方はインバータの選定をやさしく図解で説明しています。

シーケンス図とラダー図の違い
シーケンス図とよく似た図に、ラダー図があります。どちらも左右の母線のあいだに横道を並べて描くので、見た目はそっくりです。違いは、その図が「本物の電線」を表すか、「小さなコンピュータ(PLC)の中のプログラム」を表すかです。
シーケンス図
- 本物のリレー・ボタン・ランプと電線の、つながりを表す
- 記号は JIS C 0617(電気用図記号)
- 接点の数だけ、本物の部品と配線がある
- 動きを変えるには、配線を変える
ラダー図
- PLC(プログラマブルコントローラ)の中のプログラムを表す
- 記号は -| |- や -( )- など、プログラム用の形
- 接点はプログラムの中だけなので、何回でも使える
- 動きを変えるには、プログラムを書き換える
リレーで組んでいた回路を PLC に置き換えるとき、シーケンス図と同じ考え方で書けるように作られたのがラダー図です。ラダー図の読み方と、PLC ならではの注意点は、ラダー図の記事で扱います(公開しだい、ここにリンクします)。
よくある質問
まとめ:シーケンス図は「電気の通り道の地図」
- シーケンス図は、部品の場所ではなく、電気の通り道と動く順番を描き直した地図(展開接続図)
- 左右の母線のあいだの段を上から下へ、1段の中は左の条件(接点)から右の結果(コイル・ランプ)へ読む
- a接点はふだん上がっている跳ね橋、b接点はふだん下りている跳ね橋。図は「ふだんの状態」で描く
- コイルに電気が届くと、同じ名前の接点が全部切り替わる。記号は「接点の形+何で動くかの印」で読める
- 書くときは、1段に1つの結果を右の端に置き、条件を直列(かつ)・並列(または)で並べる。止める条件は b接点
- 止まった機械は、動かないコイルから右→左へ、開いている接点をさかのぼる
シーケンス図が読めるようになったら、次は同じ形で書く PLC のプログラム、ラダー図に進みましょう。地図の読み方は、そのまま使えます。
PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。
次に読むべき記事
シーケンス図の読み方がわかったら、同じ形で書く PLC のプログラム(ラダー図)と、PLC の選び方へ進みましょう(記事は公開しだい、ここに並べます)。


