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電磁接触器と電磁開閉器の違いは、サーマルリレーが付いているかどうか。それだけです。電磁接触器(マグネットコンタクタ)は、電磁石の力で接点を開け閉めして、モーターに流れる大きな電流を入り切りするスイッチ。電磁開閉器(マグネットスイッチ)は、そこにサーマルリレーを組み合わせ、モーターを焼損から守る見張り役まで付けたものです。
この記事を書いたのは、Bing で「電磁接触器」「電磁開閉器」「マグネットスイッチ」が、7〜9月の3か月でそれぞれ約3,900〜5,400回検索されていたからです。名前が混ざりやすい。現場ではどれも「マグネット」とまとめて呼ぶことが多いからです。英語の contactor から「コンタクタ」とも呼び、検索では「コンダクター」と書かれることもあります。
- 電磁接触器=電気的に接点の開閉を行うスイッチ(マグネットコンタクタ・コンタクタ)。電磁開閉器=電磁接触器とサーマルリレーを組み合わせたもの(マグネットスイッチ)
- 富士電機機器制御 FAQ「電磁接触器と電磁開閉器の違い」(公開 2023-08-02・更新 2026-09-09)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。
電磁接触器と電磁開閉器の違いの早見表
電磁接触器は電流を入り切りする「門」、サーマルリレーはモーターの熱に気づく「見張り役」、電磁開閉器はその2つの組み合わせです。リレーは小さな信号用、配線用遮断器は短絡を切る元のブレーカーで、役目が違います。
| 名前(よく使う呼び名) | 中身 | 役目 | 入り切りする電流 | 異常で自分から切るか |
|---|---|---|---|---|
| 電磁接触器(マグネットコンタクタ・コンタクタ・MC) | 電磁石+接点(主接点・補助接点) | モーターなどの電源を、離れた所から入り切りする | モーターの電流(数 A〜数百 A) | 切らない(コイルの電気が切れたら開く) |
| 電磁開閉器(マグネットスイッチ) | 電磁接触器+サーマルリレー | 入り切りに加えて、モーターの過負荷を見張る | モーターの電流 | 過負荷ならサーマルの接点でコイルを切って開く |
| サーマルリレー(熱動形過負荷継電器) | 熱で曲がる金属と接点 | 流れ続ける電流の熱を見張り、接点で知らせる | 主回路を通すが、自分では切らない | 接点を開いて知らせる |
| リレー(電磁継電器)・補助リレー | 電磁石+小さな接点 | 制御の信号(押しボタン・センサ・PLC)を入り切り | 小さな電流(信号) | 切らない |
| 配線用遮断器(ブレーカー・MCCB) | 引きはずしの装置+接点 | 短絡や大きな過電流から電線を守る | 回路の電流 | 切る(自分で引きはずす) |
答えは表の1行目と2行目。電磁開閉器は、新しい部品ではなく2つの部品の組み合わせ。カタログでも「電磁開閉器・電磁接触器」と同じシリーズで並び、サーマルリレーが付くかどうかで呼び名が変わります。
- サーマルリレー=過負荷による過電流からモーターを焼損から守る保護装置(富士電機)
- 補助リレー=電磁接触器の形状を持った制御リレー(富士電機)
- 製品の区分:MS-T/N シリーズ電磁開閉器・電磁接触器(三菱電機)
- 富士電機機器制御 FAQ「電磁接触器と電磁開閉器の違い」(公開 2023-08-02・更新 2026-09-09)
- 富士電機機器制御 FAQ「補助リレー(補助継電器)」(公開 2023-08-02)
- 三菱電機 電磁開閉器 MS-T/N シリーズ カタログ Y-0810 2310(2023年10月作成)「選定と適用」
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

電磁接触器とは:電気で開け閉めする大きな門
電磁接触器とは、コイルに電気を流すと電磁石が接点を引き寄せて閉じ、電気を切るとばねの力で開くスイッチです。小さな制御の電気(AC200V や DC24V)で、モーターの大きな電流を入り切りできます。
工場の門を思い浮かべてください。重い門扉(主接点)を人の手で開け閉めするのは大変です。そこで、守衛室のボタンを押すと電磁石が門扉を引き寄せて閉じ、ボタンを離すとばねで開く仕掛けにします。守衛室のボタンの電気は小さくても、通る車(モーターの電流)は大きい。電磁接触器はこの「電気で開け閉めする門」です。
中には2種類の接点があります。モーターの電流を通す太い主接点と、押しボタンや表示灯、自己保持の回路に使う細い補助接点です。補助接点は主接点と一緒に動くので、「いま門が閉じているか」を制御の回路に知らせる窓の役もします。
コイルの電気が切れれば、ばねで必ず開く。だから停電や非常停止でコイルの電気が切れると、モーターの電気も切れます。
- 電磁接触器は内蔵の電磁石で接点を開閉。主接点にモーターをつなぎ離れた所から運転・停止、補助接点で表示灯・自己保持(富士電機)
- 富士電機機器制御「今さら聞けないマグネットスイッチQ&Aガイド」
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

電磁開閉器とは:門にモーターの見張り役(サーマルリレー)を付けたもの
電磁開閉器とは、電磁接触器にサーマルリレーを組み合わせたもので、マグネットスイッチとも呼びます。サーマルリレーは、モーターに定格より多い電流が流れ続けると接点を開き、電磁接触器のコイルを切ってモーターを止めます。
中身は、電流で温まると曲がる金属です。電流が少し多いだけなら、時間をかけてゆっくり曲がる。モーターも、少しの過負荷なら時間をかけて熱くなる。モーターの温まり方を、金属の曲がり方でまねする見張り役です。
見落としやすいのは、サーマルリレーが自分では主回路を切らないことです。曲がった金属が動かすのは小さな接点だけ。その接点(b接点)がコイルの回路を切り、電磁接触器の門が閉じられなくなって、モーターの電気が切れます。
| 順番 | 起きること | 動く部品 |
|---|---|---|
| 1 | モーターに定格より多い電流が流れ続ける(詰まり・重い負荷・電源の1相の欠け) | モーター |
| 2 | サーマルリレーの金属が温まって曲がる | サーマルリレー |
| 3 | サーマルリレーの b接点が開き、コイルの回路が切れる | サーマルリレーの接点 |
| 4 | 電磁接触器のコイルの電気が切れ、ばねで主接点が開く | 電磁接触器 |
| 5 | モーターが止まる。リセットするまで動かない(多くの機種) | モーター |
電源の3本のうち1本が切れた状態(欠相)で回り続けると、モーターは異常な振動を起こします。富士電機の解説では、欠相を素早く見つけることもサーマルリレーの役目に挙げています。
- 欠相運転は異常振動を起こす。欠相を素早く検知するためにサーマルリレーがある(富士電機)
- 富士電機機器制御「今さら聞けないマグネットスイッチQ&Aガイド」
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

電磁接触器とリレー(電磁継電器)の違い
電磁接触器もリレーも電磁石で接点を動かす点は同じで、違うのは入り切りする電流の大きさです。電磁接触器はモーターなどの大きな電流を主接点で、リレーは制御の小さな信号を入り切りします。
| 比べる所 | 電磁接触器 | リレー(電磁継電器) |
|---|---|---|
| 入り切りするもの | モーター・ヒーターなどの電源(主回路) | 押しボタン・センサ・PLC などの信号(制御回路) |
| 接点 | 太い主接点+細い補助接点 | 細い接点だけ |
| 見た目が似ているもの | 補助リレー(電磁接触器の形をした制御用のリレー) | — |
紛らわしいのが補助リレーです。形は電磁接触器そっくりなのに、中身は制御用のリレー。型式とカタログの区分で見分けます。コイルを切ったときに出る逆向きの電圧(逆起電力)の話は、リレーも電磁接触器も同じです。しくみは、同じ筆者が運営する電気と品質管理のブログ shirasusolo.net のフリーホイールダイオードとはで解説しています。
電磁接触器と電磁開閉器の記号:主接点の半円が目印
シーケンス図では、電磁接触器の主接点は、ふつうの a接点の記号の固定側に小さな半円を付けて描きます。コイルは四角、サーマルリレーは熱で動くヒーター部と b接点を別々の場所に描きます。
図記号は JIS C 0617(国際規格 IEC 60617 と同じ内容)で決まっています。半円は「接触器の機能」を表す印で、これがあれば「大きな電流を入り切りする接点だな」と読めます。
| 図の上の部品 | 形の見分け方 | 図面のどこに出るか |
|---|---|---|
| 主接点 | a接点+固定側の半円。3相なら3つ並ぶ | 主回路(モーターへの線) |
| コイル | 四角。横に MC などの名前 | 制御回路(押しボタンの右) |
| 補助接点 | ふつうの a接点・b接点。名前はコイルと同じ | 制御回路(自己保持・表示灯) |
| サーマルのヒーター部 | 熱で動くことを表す印の付いた四角 | 主回路(主接点とモーターの間) |
| サーマルの b接点 | b接点+熱で動く印 | 制御回路(コイルの手前) |
同じ名前の部品が、図面の2か所(主回路と制御回路)に分かれて出てくる。ここが読み始めのつまずき所です。名前が同じなら、同じ1台の部品だと読みます。端子の表示は、多くの製品でコイルが A1・A2、サーマルの b接点が 95-96、a接点が 97-98 です。JIS C 8201-4-1 の附属書に決まりがありますが、本文は確かめられていないので、実物の表示で確かめてください。
a接点・b接点・コイルの読み方と、記号の一覧はシーケンス図の記事で
- 電気用図記号:JIS C 0617-7:2024(第13節 電力用開閉装置・第1節 限定図記号)
- 接触器の主メーク接点 S00284 には「接触器の機能」(半円)S00218 を使う(IEC 60617)
- JIS C 0617-7:2024 電気用図記号−第7部:開閉装置,制御装置及び保護装置(日本規格協会のプレビュー)
- IEC 60617 図記号データベース S00218「接触器の機能」(半円の限定図記号。S00284 接触器の主メーク接点に使う)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

記号の読み方から自己保持回路まで、電磁接触器とリレーのシーケンス制御を順に学びたいときの本の例です。ナツメ社の『カラー徹底図解 基本からわかるシーケンス制御』(石橋正基 著・2018年4月発行)は、電磁リレーによるシーケンス制御を、構成機器、シーケンス図とタイムチャート、基本接点回路、自己保持回路などの順に説明した本です(楽天ブックスの目次)。
電磁開閉器の選び方:kW で枠を選び、A でサーマルを合わせる
直入れで始動する標準的なモーターなら、電磁開閉器はモーターの容量(kW)以上の定格容量の枠を選び、サーマルリレーはモーターの全負荷電流(A)が調整範囲に入る「ヒータ呼び」を選んで、つまみを合わせます。
ここで迷ったのが、kW と A のどちらで選ぶかでした。カタログの選定表は kW で枠を決め、サーマルは A で決めています。役目が違うから。枠は「門の大きさ」、サーマルは「見張り役の感度」と考えると、両方要る理由がわかります。
同じ電磁接触器でも、使い方(使用負荷種別)で入り切りできる電流が変わります。JIS C 8201-4-1 でも 5.4 で決められています。
| 使用負荷種別 | どんな使い方か(IEC 60947-4-1) | 例 |
|---|---|---|
| AC-1 | 無誘導又は微誘導負荷(抵抗炉など) | ヒーター。インバーターの入力側(⑧) |
| AC-3 | かご形モーターの始動と、運転中の開路 | ポンプ・ファン・コンベアのふつうの入り切り |
| AC-4 | かご形モーターの始動・プラッギング(逆相で止める)・インチング(寸動) | 細かく寸動する・逆転で急停止する機械 |
ふつうは AC-3 です。寸動や逆転の急停止が多い機械は AC-4 で、同じ枠でも使える電流が下がるので1段大きい枠になることがあります。どれだけ下がるかは機種で違うので、カタログの AC-4 の欄で確かめてください。
計算してみよう:3.7 kW のモーターのサーマル
三菱電機のカタログの選定表(4極の標準三相モーター)で、3.7 kW のモーターのヒータ呼びを見ます。銘板の全負荷電流は説明のための例です。
15 A(整定電流の調整範囲 12〜18 A)
14.5 A → 12 ≦ 14.5 ≦ 18 なので範囲に入る
整定電流 = 14.5 A
6.6 A(調整範囲 5.2〜8 A)
14.5 A ÷ 2 ≒ 7.3 A → 5.2 ≦ 7.3 ≦ 8 で範囲に入る
選定表は、メーカーの4極の標準モーターの全負荷電流を基にしています。極数・効率の違うモーターでは電流が変わるので、銘板の値で調整範囲を確かめてください。
電磁開閉器の手前に置く配線用遮断器の選び方
- 直入始動は、定格容量がモータの定格容量以上のフレームを選ぶ。ヒータ呼び:200〜220V 3.7kW=15(12〜18)A、400〜440V 3.7kW=6.6(5.2〜8)A(三菱電機 MS-T/N カタログ)
- 使用負荷種別 AC-1・AC-3・AC-4(IEC/EN 60947-4-1)
- 三菱電機 電磁開閉器 MS-T/N シリーズ カタログ Y-0810 2310(2023年10月作成)「選定と適用」
- Lovato Electric「What is the utilization category of a contactor?」(IEC/EN 60947-4-1 の使用負荷種別。英語)
- JIS C 8201-4-1:2023 低圧開閉装置及び制御装置−第4-1部:接触器及びモータスタータ:電気機械式接触器及びモータスタータ(日本規格協会のプレビュー。IEC 60947-4-1:2018 を基に作成)
情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。
インバーターと組み合わせるとき:電磁接触器は「電源を入れる係」
インバーターの入力側の電磁接触器は、電源を入れる・異常時に切るための部品で、モーターの運転と停止はインバーターの運転指令でします。三菱電機の資料では、入力側の電磁接触器は AC-1 級で選ばれ、運転中の非常停止に使うと電気的耐久性が25回と書かれています。
三菱電機の「インバータ回路への適用」の資料を読んでいて、選定表の注の数字に目が止まりました。表で選んだ入力側の電磁接触器の電気的耐久性は50万回。それが、モーターを回している最中の非常停止に使うと25回です。
| 置き場所 | 役目 | 選び方(三菱電機の資料) | やってはいけないこと |
|---|---|---|---|
| インバーターの入力側(電源側) | 電源を入れる・異常や非常時に切り離す | AC-1 級で選定(電気的耐久性 50万回。運転中の非常停止に使うと25回) | 入力側の電磁接触器で、運転・停止を頻繁にくり返す(インバーターの寿命が短くなる) |
| インバーターとモーターの間(モーター側) | 商用電源との切り換え、非常停止 | モーターの定格電流に対して AC-3 級の定格使用電流で選定 | 切り換えの順番を決めずに入り切りする |
筆者なら、インバーターで回すモーターの運転と停止は、入力側の電磁接触器でなく、インバーターの運転指令(正転・停止の端子や通信)でします。理由は突入電流です。入力側の電磁接触器を入れ直すたびに、インバーターの中のコンデンサに大きな電流が流れ込みます。メーカーの資料にも「頻繁な始動・停止を行わない」とある。
インバーターの回路で電磁接触器の置き場所に迷ったら、「その電磁接触器が切るのは、いつか」を1行で書き出します。答えは2通り。電源を入れるときと異常のときだけなら入力側に AC-1 級、モーターが回っている最中に切ることがある(商用切換・非常停止)ならモーター側に AC-3 級。回っている最中に切るなら、何回切るかを電気的耐久性と比べます。
人を守るための停止を電磁接触器で組むか、インバーターの安全トルクオフで組むかは、安全制御の記事で整理しています。
非常停止・インターロック・STO の役目の分け方
インバーターを電流で選ぶ手順と、入力側の機器の選び方
- 入力側の電磁接触器は AC-1 級で選定。電気的耐久性50万回、モータ駆動中の非常停止に使う場合は25回。モータ側は AC-3 級定格使用電流で選定(三菱電機)
- 電源側の電磁接触器でインバータの頻繁な始動・停止を行わない。寿命が短くなる(三菱電機)
- 三菱電機 電磁開閉器の技術資料「2.17 インバータ回路への適用」(PDF)
- 三菱電機 サテライトトレーニング「はじめてのインバータ」KK009-T1509-JP(2015年9月)
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よくある質問
まとめ:門と見張り役で覚える
電磁接触器は電気で開け閉めする門、サーマルリレーはモーターの熱に気づく見張り役、電磁開閉器はその組み合わせです。サーマルは自分では切らず、接点でコイルを切って門に閉めさせます。
選ぶときは kW で枠、A でサーマル。寸動や逆転の急停止が多いなら AC-4 で確かめます。インバーターの入力側の電磁接触器は電源を入れる係で、運転・停止はインバーターの運転指令でします。
PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。


