電磁接触器と電磁開閉器の違い|マグネットスイッチ・リレーの早見表

電磁接触器と電磁開閉器の違い。DIN レールの電磁接触器と下に付いたサーマルリレーのイラスト 制御盤

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電磁接触器と電磁開閉器の違いは、サーマルリレーが付いているかどうか。それだけです。電磁接触器(マグネットコンタクタ)は、電磁石の力で接点を開け閉めして、モーターに流れる大きな電流を入り切りするスイッチ。電磁開閉器(マグネットスイッチ)は、そこにサーマルリレーを組み合わせ、モーターを焼損から守る見張り役まで付けたものです。

この記事を書いたのは、Bing で「電磁接触器」「電磁開閉器」「マグネットスイッチ」が、7〜9月の3か月でそれぞれ約3,900〜5,400回検索されていたからです。名前が混ざりやすい。現場ではどれも「マグネット」とまとめて呼ぶことが多いからです。英語の contactor から「コンタクタ」とも呼び、検索では「コンダクター」と書かれることもあります。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

調べてまとめた定義・規格・選定表は、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめました。インバーターと組み合わせる節(⑧)は、筆者の実務の判断も書いています。

電磁接触器と電磁開閉器の違いの早見表

電磁接触器は電流を入り切りする「門」、サーマルリレーはモーターの熱に気づく「見張り役」、電磁開閉器はその2つの組み合わせです。リレーは小さな信号用、配線用遮断器は短絡を切る元のブレーカーで、役目が違います。

名前(よく使う呼び名)中身役目入り切りする電流異常で自分から切るか
電磁接触器(マグネットコンタクタ・コンタクタ・MC)電磁石+接点(主接点・補助接点)モーターなどの電源を、離れた所から入り切りするモーターの電流(数 A〜数百 A)切らない(コイルの電気が切れたら開く)
電磁開閉器(マグネットスイッチ)電磁接触器+サーマルリレー入り切りに加えて、モーターの過負荷を見張るモーターの電流過負荷ならサーマルの接点でコイルを切って開く
サーマルリレー(熱動形過負荷継電器)熱で曲がる金属と接点流れ続ける電流の熱を見張り、接点で知らせる主回路を通すが、自分では切らない接点を開いて知らせる
リレー(電磁継電器)・補助リレー電磁石+小さな接点制御の信号(押しボタン・センサ・PLC)を入り切り小さな電流(信号)切らない
配線用遮断器(ブレーカー・MCCB)引きはずしの装置+接点短絡や大きな過電流から電線を守る回路の電流切る(自分で引きはずす)

答えは表の1行目と2行目。電磁開閉器は、新しい部品ではなく2つの部品の組み合わせ。カタログでも「電磁開閉器・電磁接触器」と同じシリーズで並び、サーマルリレーが付くかどうかで呼び名が変わります。

出典

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電磁開閉器が電磁接触器とサーマルリレーを組み合わせたものであることを示す図

電磁接触器とは:電気で開け閉めする大きな門

電磁接触器とは、コイルに電気を流すと電磁石が接点を引き寄せて閉じ、電気を切るとばねの力で開くスイッチです。小さな制御の電気(AC200V や DC24V)で、モーターの大きな電流を入り切りできます。

たとえると

工場の門を思い浮かべてください。重い門扉(主接点)を人の手で開け閉めするのは大変です。そこで、守衛室のボタンを押すと電磁石が門扉を引き寄せて閉じ、ボタンを離すとばねで開く仕掛けにします。守衛室のボタンの電気は小さくても、通る車(モーターの電流)は大きい。電磁接触器はこの「電気で開け閉めする門」です。

中には2種類の接点があります。モーターの電流を通す太い主接点と、押しボタンや表示灯、自己保持の回路に使う細い補助接点です。補助接点は主接点と一緒に動くので、「いま門が閉じているか」を制御の回路に知らせる窓の役もします。

コイルの電気が切れれば、ばねで必ず開く。だから停電や非常停止でコイルの電気が切れると、モーターの電気も切れます。

出典

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電磁接触器がコイルの電磁石で主接点と補助接点を閉じるしくみの図

電磁開閉器とは:門にモーターの見張り役(サーマルリレー)を付けたもの

電磁開閉器とは、電磁接触器にサーマルリレーを組み合わせたもので、マグネットスイッチとも呼びます。サーマルリレーは、モーターに定格より多い電流が流れ続けると接点を開き、電磁接触器のコイルを切ってモーターを止めます。

中身は、電流で温まると曲がる金属です。電流が少し多いだけなら、時間をかけてゆっくり曲がる。モーターも、少しの過負荷なら時間をかけて熱くなる。モーターの温まり方を、金属の曲がり方でまねする見張り役です。

見落としやすいのは、サーマルリレーが自分では主回路を切らないことです。曲がった金属が動かすのは小さな接点だけ。その接点(b接点)がコイルの回路を切り、電磁接触器の門が閉じられなくなって、モーターの電気が切れます。

順番起きること動く部品
1モーターに定格より多い電流が流れ続ける(詰まり・重い負荷・電源の1相の欠け)モーター
2サーマルリレーの金属が温まって曲がるサーマルリレー
3サーマルリレーの b接点が開き、コイルの回路が切れるサーマルリレーの接点
4電磁接触器のコイルの電気が切れ、ばねで主接点が開く電磁接触器
5モーターが止まる。リセットするまで動かない(多くの機種)モーター

電源の3本のうち1本が切れた状態(欠相)で回り続けると、モーターは異常な振動を起こします。富士電機の解説では、欠相を素早く見つけることもサーマルリレーの役目に挙げています。

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サーマルリレーが自分で主回路を切らず、接点でコイルを切って電磁接触器に切らせる流れの図

電磁接触器とリレー(電磁継電器)の違い

電磁接触器もリレーも電磁石で接点を動かす点は同じで、違うのは入り切りする電流の大きさです。電磁接触器はモーターなどの大きな電流を主接点で、リレーは制御の小さな信号を入り切りします。

比べる所電磁接触器リレー(電磁継電器)
入り切りするものモーター・ヒーターなどの電源(主回路)押しボタン・センサ・PLC などの信号(制御回路)
接点太い主接点+細い補助接点細い接点だけ
見た目が似ているもの補助リレー(電磁接触器の形をした制御用のリレー)—

紛らわしいのが補助リレーです。形は電磁接触器そっくりなのに、中身は制御用のリレー。型式とカタログの区分で見分けます。コイルを切ったときに出る逆向きの電圧(逆起電力)の話は、リレーも電磁接触器も同じです。しくみは、同じ筆者が運営する電気と品質管理のブログ shirasusolo.net のフリーホイールダイオードとはで解説しています。

電磁接触器と電磁開閉器の記号:主接点の半円が目印

シーケンス図では、電磁接触器の主接点は、ふつうの a接点の記号の固定側に小さな半円を付けて描きます。コイルは四角、サーマルリレーは熱で動くヒーター部と b接点を別々の場所に描きます。

図記号は JIS C 0617(国際規格 IEC 60617 と同じ内容)で決まっています。半円は「接触器の機能」を表す印で、これがあれば「大きな電流を入り切りする接点だな」と読めます。

図の上の部品形の見分け方図面のどこに出るか
主接点a接点+固定側の半円。3相なら3つ並ぶ主回路(モーターへの線)
コイル四角。横に MC などの名前制御回路(押しボタンの右)
補助接点ふつうの a接点・b接点。名前はコイルと同じ制御回路(自己保持・表示灯)
サーマルのヒーター部熱で動くことを表す印の付いた四角主回路(主接点とモーターの間)
サーマルの b接点b接点+熱で動く印制御回路(コイルの手前)

同じ名前の部品が、図面の2か所(主回路と制御回路)に分かれて出てくる。ここが読み始めのつまずき所です。名前が同じなら、同じ1台の部品だと読みます。端子の表示は、多くの製品でコイルが A1・A2、サーマルの b接点が 95-96、a接点が 97-98 です。JIS C 8201-4-1 の附属書に決まりがありますが、本文は確かめられていないので、実物の表示で確かめてください。

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電磁接触器の主接点とコイル、補助接点、サーマルリレーの図記号と端子の表示の例
おすすめの本

記号の読み方から自己保持回路まで、電磁接触器とリレーのシーケンス制御を順に学びたいときの本の例です。ナツメ社の『カラー徹底図解 基本からわかるシーケンス制御』(石橋正基 著・2018年4月発行)は、電磁リレーによるシーケンス制御を、構成機器、シーケンス図とタイムチャート、基本接点回路、自己保持回路などの順に説明した本です(楽天ブックスの目次)。

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電磁開閉器の選び方:kW で枠を選び、A でサーマルを合わせる

直入れで始動する標準的なモーターなら、電磁開閉器はモーターの容量(kW)以上の定格容量の枠を選び、サーマルリレーはモーターの全負荷電流(A)が調整範囲に入る「ヒータ呼び」を選んで、つまみを合わせます。

ここで迷ったのが、kW と A のどちらで選ぶかでした。カタログの選定表は kW で枠を決め、サーマルは A で決めています。役目が違うから。枠は「門の大きさ」、サーマルは「見張り役の感度」と考えると、両方要る理由がわかります。

同じ電磁接触器でも、使い方(使用負荷種別)で入り切りできる電流が変わります。JIS C 8201-4-1 でも 5.4 で決められています。

使用負荷種別どんな使い方か(IEC 60947-4-1)例
AC-1無誘導又は微誘導負荷(抵抗炉など)ヒーター。インバーターの入力側(⑧)
AC-3かご形モーターの始動と、運転中の開路ポンプ・ファン・コンベアのふつうの入り切り
AC-4かご形モーターの始動・プラッギング(逆相で止める)・インチング(寸動)細かく寸動する・逆転で急停止する機械

ふつうは AC-3 です。寸動や逆転の急停止が多い機械は AC-4 で、同じ枠でも使える電流が下がるので1段大きい枠になることがあります。どれだけ下がるかは機種で違うので、カタログの AC-4 の欄で確かめてください。

計算してみよう:3.7 kW のモーターのサーマル

三菱電機のカタログの選定表(4極の標準三相モーター)で、3.7 kW のモーターのヒータ呼びを見ます。銘板の全負荷電流は説明のための例です。

計算例
計算例:200 V と 400 V の 3.7 kW モーターでサーマルを合わせる
① 200 V の 3.7 kW:表のヒータ呼び
15 A(整定電流の調整範囲 12〜18 A)
② 銘板の全負荷電流(例)
14.5 A → 12 ≦ 14.5 ≦ 18 なので範囲に入る
③ つまみを合わせる
整定電流 = 14.5 A
④ 400 V の 3.7 kW:表のヒータ呼び
6.6 A(調整範囲 5.2〜8 A)
⑤ 電圧が2倍なら電流はほぼ半分(例)
14.5 A ÷ 2 ≒ 7.3 A → 5.2 ≦ 7.3 ≦ 8 で範囲に入る
同じ 3.7 kW でも、電圧が違えばサーマルの部品が変わる。kW だけで注文しない
注意|ここで間違えやすい

選定表は、メーカーの4極の標準モーターの全負荷電流を基にしています。極数・効率の違うモーターでは電流が変わるので、銘板の値で調整範囲を確かめてください。

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インバーターと組み合わせるとき:電磁接触器は「電源を入れる係」

インバーターの入力側の電磁接触器は、電源を入れる・異常時に切るための部品で、モーターの運転と停止はインバーターの運転指令でします。三菱電機の資料では、入力側の電磁接触器は AC-1 級で選ばれ、運転中の非常停止に使うと電気的耐久性が25回と書かれています。

三菱電機の「インバータ回路への適用」の資料を読んでいて、選定表の注の数字に目が止まりました。表で選んだ入力側の電磁接触器の電気的耐久性は50万回。それが、モーターを回している最中の非常停止に使うと25回です。

置き場所役目選び方(三菱電機の資料)やってはいけないこと
インバーターの入力側(電源側)電源を入れる・異常や非常時に切り離すAC-1 級で選定(電気的耐久性 50万回。運転中の非常停止に使うと25回)入力側の電磁接触器で、運転・停止を頻繁にくり返す(インバーターの寿命が短くなる)
インバーターとモーターの間(モーター側)商用電源との切り換え、非常停止モーターの定格電流に対して AC-3 級の定格使用電流で選定切り換えの順番を決めずに入り切りする

筆者なら、インバーターで回すモーターの運転と停止は、入力側の電磁接触器でなく、インバーターの運転指令(正転・停止の端子や通信)でします。理由は突入電流です。入力側の電磁接触器を入れ直すたびに、インバーターの中のコンデンサに大きな電流が流れ込みます。メーカーの資料にも「頻繁な始動・停止を行わない」とある。

実務の判断のコツ

インバーターの回路で電磁接触器の置き場所に迷ったら、「その電磁接触器が切るのは、いつか」を1行で書き出します。答えは2通り。電源を入れるときと異常のときだけなら入力側に AC-1 級、モーターが回っている最中に切ることがある(商用切換・非常停止)ならモーター側に AC-3 級。回っている最中に切るなら、何回切るかを電気的耐久性と比べます。

人を守るための停止を電磁接触器で組むか、インバーターの安全トルクオフで組むかは、安全制御の記事で整理しています。

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インバーターを電流で選ぶ手順と、入力側の機器の選び方

出典

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インバーター回路で入力側とモーター側の電磁接触器を置く位置と選び方の違いの図

よくある質問

Q. 電磁接触器とは何ですか?

A. 電磁石で接点を開け閉めし、モーターなどの大きな電流を入り切りするスイッチです。マグネットコンタクタとも呼びます。

Q. 電磁開閉器とは何ですか?

A. 電磁接触器にサーマルリレーを組み合わせ、モーターの過負荷まで見張れるようにしたものです。マグネットスイッチとも呼びます。

Q. 電磁接触器とリレーの違いは?

A. どちらも電磁石で接点を動かします。電磁接触器はモーターの大きな電流を、リレーは制御の小さな信号を入り切りします。

まとめ:門と見張り役で覚える

電磁接触器は電気で開け閉めする門、サーマルリレーはモーターの熱に気づく見張り役、電磁開閉器はその組み合わせです。サーマルは自分では切らず、接点でコイルを切って門に閉めさせます。

選ぶときは kW で枠、A でサーマル。寸動や逆転の急停止が多いなら AC-4 で確かめます。インバーターの入力側の電磁接触器は電源を入れる係で、運転・停止はインバーターの運転指令でします。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。

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