端子台の種類と選び方|ねじ式・スプリング式・プッシュイン式の判断表

端子台は電線の乗り換え駅。DINレールに並んだ端子台に色とりどりの電線が差し込まれたイラスト 制御盤

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端子台は、ねじ式とスプリング式(プッシュイン式)のどちらにすればいいのか?

振動があり増し締めをしたくないならスプリング式・プッシュイン式、圧着端子で留める決まりならねじ式です。その前に、電線の太さと電流が端子の定格に入るかを確かめます。迷ったら、同じ盤のほかの部分と方式をそろえます。

この記事では、端子台を電線の「乗り換え駅」にたとえて説明します。条件で選ぶ判断表と、渡りで集まる電流・端子台の長さの計算もあります。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

端子台とは?盤の中と外の電線の「乗り換え駅」

ひとことで言うと盤の中の電線と、盤の外から来る電線を、1本ずつつなぎかえる部品です。

工場の機械では、センサやモーター、ボタンなどが、制御盤から何メートルも離れた所に付いています。そこから来る電線を、盤の中の PLC(機械の脳にあたる制御装置)やリレーへつなぐ必要があります。

このとき、外から来た電線を、いきなり PLC に差し込むことはあまりしません。いったん端子台という中継の部品に受けて、そこから盤の中の電線に乗りかえさせます。端子台は、ねじやばねで電線を留める「端子」が、1列にいくつも並んだ部品です。

たとえると

電車の乗り換え駅を想像してください。郊外から来た電車(盤の外の電線)は、いったん駅のホーム(端子)に着き、そこで都心へ向かう電車(盤の中の電線)に乗りかえます。ホームには番号があり、どの電車がどのホームに着くかが決まっています。端子台は、電線どうしが乗りかえる駅です。

この記事では、このたとえを最後まで使います

乗り換え駅のたとえ端子台では
ホーム端子(電線を1本〜2本留める場所)
ホームの番号端子番号・電線番号
ホームどうしの連絡通路渡り(ショートバー・ジャンパー)
ホームの定員定格電流・定格電圧
駅全体の長さ端子台の長さ(極数 × 端子の幅)

端子1つ分を「1極(きょく)」と数えます。20本の電線をつなぐなら、20極の端子台が要る、という数え方です。

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乗り換え駅で電車を乗りかえる様子と、制御盤の端子台で外の電線から中の電線へつなぎかえる様子を並べたイラスト

なぜ直接つながないの?端子台がある3つの理由

ひとことで言うと盤の中と外を分けておくと、取り付け・交換・点検がぐっと楽になるからです。

PLC に直接つなげば部品が1つ減るのに、なぜわざわざ端子台を通すのでしょうか。理由は大きく3つです。

駅があるから、郊外の路線と都心の路線を別々に工事できる、のと同じです

理由端子台がないと端子台があると
盤の中と外を分けられる盤を工場で組んでから現場へ運ぶとき、外の機器の電線がぶら下がったまま盤は端子台まで仕上げて出荷し、現場では外の電線を端子台につなぐだけ
交換・点検がしやすいセンサを交換するたび、PLC の端子に触ることになる端子台で外すだけで済み、PLC に触らない
番号で迷わないどの電線がどこへ行くか、たどるのが大変端子番号と図面の番号が一致して、すぐ見つかる
たとえると

もし乗り換え駅がなく、郊外の線路が都心のビルの中までそのまま入っていたら、線路を1本直すたびにビルの工事が要ります。駅で分けておけば、郊外の線路だけ、都心の線路だけを直せます。

端子番号と図面の電線番号の読み方は、シーケンス図の書き方と読み方で説明しています。端子台の番号は、この図面の番号と一致させるのが基本です。

盤の外のセンサ・押しボタン・電磁弁の電線を端子台で受けてPLCへつなぐ図と、端子台がある3つの理由

電線の留め方は大きく2つ:ねじで締めるか、ばねでおさえるか

ひとことで言うとねじ式と、ばねでおさえるスプリング式があり、スプリング式のうち差すだけで入るものをプッシュイン式と呼びます。

端子台の種類は、電線をどうやって留めるかで分かれます。

呼び名はメーカーで違います(スプリングロック式・スプリングクランプ式・ケージクランプなど)。カタログでは「どうやって差し込むか」を見て見分けます

方式電線の留め方電線の端の処理工具
ねじ式ねじを締めて、金具で電線(か圧着端子)をおさえる圧着端子(丸形・先開形)か、むいたまま・棒端子ドライバー(トルクの管理)
スプリング式ばねの力で電線をおさえる。ばねを工具で開いてから差すむいたまま・棒端子ドライバー(ばねを開く)
プッシュイン式ばねの力でおさえる。電線を押し込むだけで入る単線・棒端子は押し込むだけ。より線は工具で開く外すときにドライバー(開放ボタン)
たとえると

荷物を柱に留めるとき、ロープを巻いて結び目をギュッと締めるのがねじ式、洗濯ばさみではさむのがスプリング式です。プッシュイン式は、差し込むと自動でつかんでくれる傘立てのような留め方です。

ここで間違えやすいのですが、「スプリング式」は、広い意味ではプッシュイン式も含めて「ばねでおさえる方式」全体を指すことがあります。この記事では、工具でばねを開いて差すものをスプリング式、押し込むだけで入るものをプッシュイン式と分けて説明します。

ねじ式・スプリング式・プッシュイン式の3つの電線の留め方を並べたイラスト

ねじ式のしくみ:ねじを決められた強さで締めて留める

ひとことで言うとねじを締めて金具で電線をはさみます。締める強さ(トルク)が決められています。

ねじ式は、昔からある、いちばん見慣れた端子台です。端子のねじを緩め、電線(多くは先に圧着端子を付けたもの)を差し込み、ねじを締めて留めます。

締める強さには決まりがあります。例えば東洋技研のねじ式端子台 PT-20 のカタログでは、端子ねじは M3.5(ねじの太さ 3.5 mm)で、締付トルク 0.8〜1.4 N·m と書かれています。N·m(ニュートンメートル)は「ねじる力の強さ」の単位です。弱すぎるとゆるんで熱を持ち、強すぎるとねじや本体が壊れます。

たとえると

ロープの結び目は、ゆるいとほどけ、きつく締めすぎるとロープが切れます。ちょうどよい強さで締めるために、ねじ式では「何 N·m で締める」が決められています。

圧着端子の形で、作業のしかたが変わる

圧着端子の種類と選び方、圧着のしかたは、圧着端子の記事で説明します(公開しだい、ここにリンクします)

圧着端子の形端子台への付け方三菱電機の資料の比べ
丸形(R形)ねじを完全に外して、穴にねじを通すねじを外すので、落とす心配がある。そのかわり抜けにくい
先開形(Y形・U形)ねじを緩めるだけで、横から差し込めるねじを外さないので作業が楽

1つの端子に何本まで電線(圧着端子)を重ねてよいか、どの太さの圧着端子が入るかは、端子台の機種ごとに取扱説明書やカタログで決められています。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

ねじ式端子台の断面と、丸形と先開形の圧着端子の違いの図

ねじ式の弱点:振動と時間で、ゆるむことがある

ひとことで言うとねじ式は、振動や長い年月でゆるむことがあるので、定期的な増し締めが必要とされています。

ねじ式の端子台は、しっかり締めれば強く留まります。ただ、機械の振動を受け続けたり、温度の上がり下がりをくり返したりすると、ねじが少しずつ戻ってゆるむことがあります。ゆるんだ端子は、電気が通りにくくなって熱を持ち、焼けたり、信号が途切れたりする原因になります。

たとえると

電車の揺れで、網棚の荷物を留めたひもが少しずつゆるむのに似ています。だから駅員さん(点検の担当)が、ときどき結び目を締め直します。

東洋技研のカタログの安全上の注意にも、端子ねじは指定トルクを守り、定期的に増し締めを行うこと、ゆるんだまま使うと焼損・短絡の原因になることが書かれています。三菱電機の資料でも、ねじ締め端子台は過度な振動や長期使用でゆるむ心配があり、定期的な増し締めが必要と比べられています。

では、動く図で、ねじ式とプッシュイン式の手順と、振動を受けたときの違いを見てみましょう。

動かして確かめる

左がねじ式、右がプッシュイン式(ばねでおさえる方式)の端子台の断面です。「配線する」で電線をつなぐ手順の数を、続けて「振動を加える」で電線をおさえる力がどう変わるかを比べてください。

ねじ式 プッシュイン式(ばね) 電線をおさえる力(イメージ) 電線をおさえる力(イメージ) 手順:– 手順:–

いまの様子:「配線する」を押すと、ここに説明が出ます。

動きは説明のための作り物です(断面の形は簡単にしたもの。おさえる力の棒はイメージで、実際のゆるみ方は締め付けの強さ・振動・温度の変化で変わります。ねじ式は指定のトルクで締め、定期的に増し締めするようメーカーの資料に書かれています)。

見てほしいのは2つです。1つは、ねじ式は「緩める・差す・締める」の3手順、プッシュイン式は「差す」の1手順で終わること。もう1つは、振動を受けると、ねじ式はおさえる力が弱まることがあり(棒はイメージです)、増し締めで元に戻せることです。

出典

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スプリング式とプッシュイン式:ばねがおさえ続けるので、増し締めが要らない

ひとことで言うとばねの力で電線をおさえ続けるので、ゆるみにくく、増し締めが要りません。そのかわり電線の端の処理とむき長さが大事です。

スプリング式・プッシュイン式は、ねじの代わりにばねで電線をおさえます。ばねは、押し返す力を自分で保ち続けるので、ねじのように「戻ってゆるむ」ことが起きにくいのが特長です。

たとえると

洗濯ばさみは、はさんだあと誰も締め直さなくても、ばねの力でずっとはさみ続けます。ロープの結び目のように、揺れでほどけていくことがありません。

例えば東洋技研の VTX シリーズ(スプリングロック式)のカタログでは、フェルール(棒端子)を付けた電線は差し込むだけでつながり、振動に強く増し締め不要と書かれています。外すときは開放ボタンを押して抜きます。より線をむいたまま入れるときは、ドライバーで開放ボタンを操作してばねを開いてから差し込む方法が示されています。

三菱電機の資料では、インバーターの制御回路にスプリングクランプ端子台を採用した理由として、ねじのゆるみの心配がない・締め忘れや締めすぎがない・増し締めが要らない・ねじの半分のスペースで同じ数の配線ができる、が挙げられています。あわせて、電線を引っぱる試験(1.5 mm² で 40 N 以上で外れない)や、10〜150 Hz の振動を各方向に 2.5 時間加える試験を、ねじ締め端子台と同じ規格で行って合格したと書かれています。

むき長さ・使える電線の太さ・フェルールの長さは、機種ごとにカタログで確かめます

気をつけることなぜ
むき長さを守る(VTX-1.5 は 10〜11 mm)短いと奥まで届かずおさえきれない。長いと芯線が外に出て、となりと触れるおそれ
より線はフェルールを付けるのが基本芯線がばらけると、一部の芯線しかおさえられない
奥まで差したら、軽く引いて確かめる差し込みが浅いと、見た目はつながっていても抜ける
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出典

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ドライバーでばねを開いて差すスプリング式と、差すだけのプッシュイン式の断面の図

3つの方式を比べてみよう

ひとことで言うとねじ式は太い線・圧着端子に強く、ばねの方式は振動・作業の速さ・省スペースに強い、という分かれ方です。

ここまでの内容を、選ぶときに見る観点で並べます。

東洋技研・三菱電機の資料の内容をもとにまとめました。太い動力線ではねじ式の機種がそろっていることが多いなど、機種の品ぞろえも選ぶ理由になります

観点ねじ式スプリング式プッシュイン式
配線の手間緩める・差す・締めるばねを開く・差す差すだけ(フェルール・単線)
振動・長い年月ゆるむことがあり、増し締めが要るゆるみにくいゆるみにくい
締める強さのばらつき人によって差が出やすい(トルクの管理が要る)ばねで決まるばねで決まる
電線の端の処理圧着端子(丸形・先開形)が使えるむいたまま・フェルールフェルール・単線(より線は工具で)
幅(省スペース)広め狭め狭め
点検の手間定期的な増し締め差し込みの確認差し込みの確認
たとえると

駅のホームでいえば、ねじ式は「係員が毎回ロープでしっかり結ぶ」、ばねの方式は「自動の留め具がずっとつかんでいる」ホームです。大きな荷物(太い線)は係員の結び方が確実で、たくさんの小さな荷物(細い信号線)は自動の留め具が速くて楽、という使い分けです。

ねじ式は3手順と増し締め、スプリング式は2手順、プッシュイン式は1手順で配線できることを比べた図

どれを選ぶ?条件で決める判断表

ひとことで言うと電線の太さ → 振動 → 端の処理の決まり → 本数、の順に見ると決まります。

上から順に当てはまる行を探します。1つの盤の中で、動力はねじ式・信号はプッシュイン式と分けることもよくあります

条件向いている方式理由
太い動力線(モーター・ヒーターなど)ねじ式太い電線と圧着端子に合う機種が多い
振動が大きい機械に付く盤スプリング式・プッシュイン式ばねがおさえ続け、ゆるみにくい
細い信号線が多い(センサ・PLC の入出力)プッシュイン式差すだけで速く、幅も狭い
現場で圧着端子を使う決まり・点検の手順があるねじ式今の工具と手順のまま使える
迷ったら同じ盤・同じ装置のほかの部分と方式をそろえる工具・部品・点検のやり方が1つで済む
たとえると

駅の作り方は、走る電車で決まります。大きな貨物列車が着くホームは頑丈な留め方、通勤電車がひっきりなしに着くホームは速く乗り降りできる作り。端子台も、通る電線に合わせて選びます。

実務の判断のコツ

方式で迷ったときは、性能の細かい差より、その盤や装置のほかの部分とそろえることを優先します。端子台の方式がそろっていれば、作業する人が持つ工具も、予備の部品も、点検の手順も1つで済み、取りちがえや締め忘れが起きにくいからです。新しく方式を変えるなら、工具と点検の手順もいっしょに決めてから変えます。

電線の太さ・振動・信号線の数・圧着端子の決まりから端子台の方式を選ぶフロー

カタログの定格の読み方:電流・電圧・使える電線

ひとことで言うと定格電流は「その太さの電線で流してよい電流」、定格絶縁電圧は「かけてよい電圧の上限」です。

端子台のカタログには、いくつかの「定格」が書かれています。駅でいえば、ホームの定員にあたる数字です。例として、東洋技研の2つの機種の値を並べます。

東洋技研の端子台総合カタログの値。同じ機種でも、規格ごとに定格が違うことがあります

カタログの項目意味PT-20(ねじ式)VTX-1.5/2(プッシュイン式)
定格通電電流流し続けてよい電流の上限1.25 mm² で 16 A・2 mm² で 22 A17.5 A
電線サイズ(適合電線)留めてよい電線の太さ1.25 mm²・2 mm² の定格を表示(UL では AWG20〜14)0.08〜1.5 mm²
定格絶縁電圧かけてよい電圧の上限(となりの端子との絶縁)AC/DC800VAC/DC500V
海外規格での定格UL などの認証での値(別の値になる)UL/cUL:600V・20 AUL/cUL:300V・10 A(より線)
たとえると

ホームの定員が「普通の電車なら 16 両、長い電車なら 22 両」と電車の種類で変わるように、端子台の定格電流も、つなぐ電線の太さで変わることがあります。

ここで間違えやすいのが、海外の規格(UL など)の定格です。同じ端子台でも、規格ごとに試験の決まりが違うので、書かれる数字が変わります。海外に出す装置では、その国の規格の欄の値で確かめます。

端子台の規格は、日本では JIS C 8201-7-1(銅導体用端子台)です。東洋技研のカタログでも、準拠する規格として JIS C 8201-7-1 と NECA C 2811(以前の JIS C 2811)が書かれています。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

ねじ式とプッシュイン式の端子台のカタログの定格電流・定格絶縁電圧・適合電線の読み方の図

計算してみよう1:渡りで電流が集まる所は大丈夫?

ひとことで言うと渡りでつないだ端子には、先の機器の電流が全部集まります。いちばん集まる所で定格と比べます。

同じ電気(例えば +24V や 0V)を、となりの端子へ次々に配るとき、端子どうしを渡り(ショートバー・ジャンパー)でつなぎます。電線を1本ずつ引くより、速くきれいに配れます。

たとえると

乗り換え駅の連絡通路を思い浮かべてください。いちばん入り口に近い通路には、奥のホームへ行く人も全員が通ります。だから入り口の通路がいちばん混みます。渡りも同じで、電気が入ってくる端子に、先の機器の電流が全部集まります。

式の出どころ:電流は集まる所で足し算になる

電流は、分かれ道で分かれ、集まる所で足し算になります(キルヒホッフの電流の決まり)。電気が入ってくる端子とその渡りには、先につながる機器の電流の合計が流れます。

I_集まる = I_1台 × 台数 ≦ 端子台(と渡り)の定格電流

計算例
計算例1:PT-20(1.25 mm² で 16 A)の渡りで 24V を配る(数値は例)
① 1台あたりの電流を確かめる
1.2 A(例)
② 10台を渡りでつないだとき、入り口に集まる電流
1.2 A × 10 = 12 A
③ 定格と比べる
12 A ≦ 16 A → 大丈夫
④ あとで4台足して14台にすると
1.2 A × 14 = 16.8 A
⑤ 定格と比べる
16.8 A > 16 A → 超える
⑥ 7台ずつ2つに分け、それぞれ別の電線で電気を入れる
1.2 A × 7 = 8.4 A ≦ 16 A → 大丈夫
10台なら大丈夫。14台に増やすなら、渡りを2つのまとまりに分けて、別々に電気を入れる

つまり、渡りは「つなげるだけつなぐ」と、入り口の端子だけが定格を超えることがある、ということです。渡りの部品そのものにも定格電流があります。例えば東洋技研のカタログでは、サーキットプロテクター用のショートバー(M3.5 端子用)の定格通電電流は 15 A です。端子台と渡りの小さいほうの定格で比べます。

実務の判断のコツ

渡りで配る線は、図面を描く段階で「電気が入る端子」と「先につながる台数」を書いておき、いちばん電流が集まる端子で定格を確かめます。足りなければ、渡りを延ばすのではなく、まとまりを分けて別々に電気を入れます。あとから機器を足すとき、渡りの先に1台ずつ増やしていくと、気づかないうちに入り口だけが定格を超えるからです。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

渡りでつないだ端子には電気が入る端子に電流が集まり、14台なら2つに分けることを示した図

計算してみよう2:端子台は盤の中で何 mm になる?

ひとことで言うと端子台の長さ = 端子1つの幅 × 極数 + 両端の板。例では 24 極で、ねじ式 197 mm・プッシュイン式 88 mm です。

ここで計算するのは、「盤の中に端子台が収まるか」を、部品を買う前に知るためです。足りないと、盤を大きくしたり、端子台を2段にしたりと、あとから大きな手直しになります。

式の出どころ:同じ幅の端子を並べるだけ

端子台は、同じ幅の端子を横に並べたものです。だから全体の長さは、端子1つの幅に極数を掛け、両端の板(側板)やおさえの部品の分を足すだけです。東洋技研の VTX-1.5/2 のカタログには、この形の式がそのまま書かれています。

L = 端子1つの幅 × 極数 + 両端の分

PT-20 はカタログの寸法表(1極 13 mm から1極ごとに 8 mm ずつ増える)から式にしました。VTX-1.5/2 はカタログの式

機種(東洋技研)1極ふえるごとに両端の分式
PT-20(ねじ式)8 mm5 mm(寸法表から読んだ値)L = 8 × 極数 + 5
VTX-1.5/2(プッシュイン式)3.5 mm4 mm(側板)L = 3.5 × 極数 + 4
たとえると

駅のホームの長さは、車両1両の長さ × 両数で決まります。端子台も、端子1つの幅 × 極数で長さが決まります。

計算例
計算例2:20本の電線に、予備を2割足して端子台の長さを出す(数値は例)
① 予備を足した極数
20 極 × 1.2 = 24 極
② ねじ式 PT-20 の長さ
8 mm × 24 + 5 mm = 192 + 5 = 197 mm
③ プッシュイン式 VTX-1.5/2 の長さ
3.5 mm × 24 + 4 mm = 84 + 4 = 88 mm
④ 差を出す
197 mm − 88 mm = 109 mm
⑤ カタログのレールの長さで確かめる(24極)
PT-20 は 240 mm、VTX-1.5/2 は 120 mm
同じ 24 極でも、プッシュイン式なら半分以下の長さで収まる。レールは止め具の分も含めて長めに見る

答えはカタログの寸法表の値(PT-20 の24極 197 mm、VTX-1.5/2 の24極 88 mm)と一致します。ただし、VTX-1.5/2 が使える電線は 1.5 mm² までです。太い線を通すなら、幅の広い機種になり、長さも変わります。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

24極でねじ式197mm・プッシュイン式88mmになる端子台の長さの比べの棒グラフ

電線の端の処理:端子台の方式で、合う処理が決まる

ひとことで言うとねじ式は圧着端子、ばねの方式はフェルール(棒端子)か単線、が基本の組み合わせです。

電線の端は、むいたまま使うこともありますが、細い銅線がより合わさった「より線」は、端がばらけやすいのが困りものです。そこで端に金具を付けて処理します。

東洋技研のカタログでは、フェルールで端を処理すると芯線のばらけを防ぎ、安定した接続品質が得られると書かれています

端の処理どんなものか合う端子台
圧着端子(丸形・先開形)穴やすき間のある金具を、電線の端に圧着するねじ式
フェルール(棒端子)細い筒の金具を、より線の端にかぶせて圧着するスプリング式・プッシュイン式(ねじ式で使える機種もある)
むいたまま(単線)1本の太い銅線は、ばらけないのでそのままプッシュイン式など(機種の適合を確かめる)
たとえると

乗客(電線)が駅に入るときの切符のようなものです。ねじ式の改札は「丸い切符(圧着端子)」、ばねの改札は「細長い切符(フェルール)」を通す作りです。改札に合わない切符では通れません。

圧着端子・フェルールの種類、太さの選び方、圧着工具の使い方は、圧着端子の記事でくわしく説明します(公開しだい、ここにリンクします)。端子台を選ぶときは、「どの処理で入れるか」を先に決めておくと、工具と部品の準備がそろいます。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

むいたままのより線・丸形圧着端子・フェルールの3つの電線の端の処理のイラスト
おすすめの道具

スプリング式・プッシュイン式の端子台にフェルール(棒端子)で入れるときは、棒端子用の圧着工具を使います。その例です。フエニックス・コンタクトの CRIMPFOX 6 は、販売ページの表示では、0.25〜6.0 mm² の棒端子(絶縁カラーのないもの・あるもの)に使う、加圧ロック機構つきの圧着工具です。使う棒端子のメーカーが合う工具としているかを、カタログで確かめてください。

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並べ方と番号:電源・入力・出力・アースでまとめる

ひとことで言うと同じ役目の端子をまとめて並べ、番号を図面とそろえ、まとまりごとに予備を残します。

端子台は、ただ順に並べるより、役目ごとにまとまりで並べると、配線も点検も楽になります。

東洋技研の VTX には、接地用(-PE)の端子が緑で用意されています。色分けは機種で確かめます

まとまり中身の例並べ方の工夫
電源AC の入力、DC24V の +・0V電圧の違うものは、間に仕切りの板を入れて離す
入力センサ・ボタンからの信号PLC の入力の番号順に並べる
出力電磁弁・ランプ・リレーへの信号PLC の出力の番号順に並べる
アース(接地)盤や機器の接地線接地用の端子(緑や黄緑で色分けされた機種が多い)
たとえると

大きな駅では、「1〜4番線は東行き」「5〜8番線は西行き」と、方面ごとにホームがまとまっています。初めて来た人でも迷いません。端子台も、役目ごとにまとめると、初めて盤を開けた人でも目的の端子が見つかります。

実務の判断のコツ

端子台は、電源・入力・出力・アースのまとまりごとに並べ、それぞれのまとまりの後ろに予備の端子を残しておきます。あとで機器を足すとき、まとまりの途中に割り込まずに済み、番号の並びと図面がくずれないからです。予備をまとめて端子台の最後に置くと、追加の線だけが離れた所に集まり、たどりにくくなります。

盤の中での電線の分け方(動力線と信号線を離す、など)は、ノイズの対策にもつながります。端子台の並びを決めるときに、動力のまとまりと信号のまとまりを離しておくと、配線の通り道も分けやすくなります。

電源・入力・出力・アースのまとまりごとに端子を並べ、後ろに予備を残す並べ方の図

配線の作業と点検の順番

ひとことで言うと電源を切って確かめる → 端を処理する → 差す・締める → 引いて確かめる → 記録する、の順です。
注意|ここで間違えやすい

端子台の作業は、必ず外部から来る電源を全部切り、検電器やテスターで電圧がないことを確かめてから行います。東洋技研のカタログでも、作業は外部供給電源が全相遮断された状態で行うよう書かれています。盤の扉を開けての作業の可否は、社内のルールと取扱説明書に従ってください。

STEP 1

電源を切って確かめる:ブレーカーを切り、電圧がないことを測って確かめます。別の盤から来ている電線がないかも図面で見ます。

STEP 2

電線の端を処理する:端子台に合う処理(圧着端子・フェルール)をし、むき長さを守ります。

STEP 3

差す・締める:ねじ式は指定のトルクで締め、ばねの方式は奥まで差し込みます。1つの端子に入れる本数は機種の決まりを守ります。

STEP 4

引いて確かめる:電線を軽く引いて抜けないか、芯線が外に出ていないか、となりの端子に触れていないかを見ます。

STEP 5

記録する:端子番号と電線番号が図面と合っているかを確かめ、締めた・確かめたことを記録します。

たとえると

駅の点検でいえば、電車を止めてから(電源を切る)、留め具をつけ(差す・締める)、引っぱって外れないか確かめ(引いて確かめる)、点検表に書く(記録する)、という流れです。

点検でゆるみを見つけたら、ねじ式は指定のトルクで増し締めします。ゆるみで変色した端子や被覆は、締め直すだけでなく交換を考えます。

電源を切って電圧がないことを測り、端子台に差した電線を軽く引いて確かめる作業のイラスト

仕事で使うとき:端子台の選定チェックリスト

ひとことで言うと電線の太さと電流 → 振動 → 端の処理 → 極数と長さ → 並べ方、の順に確かめます。
端子台の選定チェックリスト
  • □ つなぐ電線の太さが、端子台の適合電線の範囲に入っている
  • □ 流れる電流が、その太さでの定格通電電流以下になっている
  • □ かかる電圧が、定格絶縁電圧以下になっている(海外向けは、その国の規格の欄で確かめた)
  • □ 渡りでつなぐ所は、いちばん電流が集まる端子で、端子台と渡りの小さいほうの定格と比べた
  • □ 振動の大きさと、増し締めの点検ができるかを考えて、方式を決めた
  • □ 電線の端の処理(圧着端子・フェルール・単線)と工具を決めた
  • □ 極数に予備を足し、端子台の長さとレールの長さを計算して盤に収まることを確かめた
  • □ 電源・入力・出力・アースのまとまりと、まとまりごとの予備を決めた
  • □ 端子番号を図面の電線番号とそろえた
  • □ 同じ盤・同じ装置のほかの部分と、方式と工具をそろえた

よくある質問

Q. 端子台とは何ですか?

A. 盤の中の電線と外から来る電線を、1本ずつつなぎかえる中継の部品です。交換や点検がしやすくなり、番号で配線を管理できます。

Q. 端子台のねじ式とスプリング式の違いは何ですか?

A. ねじ式はねじを締めて留め、スプリング式はばねでおさえます。ばねの方式は振動でゆるみにくく、増し締めが要りません。

Q. プッシュイン式の端子台とは何ですか?

A. ばねでおさえる方式のうち、単線やフェルール付きの電線を押し込むだけでつながる端子台です。外すときはボタンを押します。

Q. 端子台の定格電流はどう見ますか?

A. つなぐ電線の太さごとに、流してよい電流が書かれています。渡りで配る所は、集まる電流の合計で比べます。

Q. 端子台にフェルールは必要ですか?

A. より線をばねの方式に入れるときは、芯線のばらけを防ぐために付けるのが基本です。合う太さは機種で確かめます。

まとめ:端子台は「通る電線」に合わせて選ぶ

POINT
  • 端子台は、盤の中と外の電線が乗りかえる「乗り換え駅」。交換・点検・番号の管理が楽になる
  • ねじ式は圧着端子と太い線に強いが、振動や年月でゆるむことがあり、増し締めが要る
  • スプリング式・プッシュイン式は、ばねがおさえ続けるのでゆるみにくく、作業が速く、幅も狭い
  • 定格電流は電線の太さで変わる。渡りで配る所は、集まる電流の合計で比べる
  • 端子台の長さ = 端子の幅 × 極数 + 両端の分。予備を足して盤に収まるか先に計算する
  • 迷ったら、同じ盤・装置のほかの部分と方式をそろえる

端子台が決まったら、その先につながる機器の配線や、止まったときの見方も確かめておきましょう。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。

次に読むべき記事

端子台の選び方がわかったら、盤の配線で気をつけるノイズや、止まったときに配線をどこから見るかも読んでおきましょう(制御盤の記事は公開しだい、ここに並べます)。

制御盤とは?中身の機器と設計の流れをやさしく図解|熱の計算つき
まずはここから
制御盤とは?中身の機器と設計の流れをやさしく図解|熱の計算つき

端子台が並ぶ制御盤の中身と設計の流れ。全体像がわかる

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