PLCとは?シーケンサーのしくみとスキャンを図解|リレーとの違いと判断表

PLCは機械のコック。レシピを読み直すコックとPLCのイラスト PLCとラダー

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PLCとは、工場の機械を決めた順番どおりに動かす小さな専用コンピューターです(読みはピーエルシー)。日本の工場では三菱電機の呼び名から「シーケンサー」とも呼ばれます。

押しボタンやセンサの信号(入力)を読み、書き込んだプログラムに従ってランプ・モーター・電磁弁(出力)を動かす。この「読む → 実行 → 書く」を1000分の1秒単位でくり返すことをスキャンと呼びます。

この記事では、PLC をレシピを読んで手を動かすコックにたとえて、最後までその話で説明します。リレーのままにするか PLC にするかの判断表と、入出力点数の見積もりの計算もあります。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

PLCとは何か:機械の「頭脳」は、レシピを読むコック

ひとことで言うとPLC は、入ってきた知らせを見て、決められた手順どおりに機械へ指示を出す、工場用の小さなコンピューターです。

工場の機械は、「箱が来たらコンベアを止める」「ボタンを押したらモーターを回す」「10秒たったら次の工程へ進む」のように、決まった順番で動きます。この順番を覚えていて、そのとおりに指示を出す役が PLC です。

たとえると

レストランの厨房を思い浮かべてください。コックは、届いた注文票を見て、レシピに書かれた手順どおりに料理を作り、できた料理を出します。PLC も同じで、ボタンやセンサからの知らせ(注文票)を見て、書き込まれたプログラム(レシピ)どおりに考え、ランプやモーターへ指示(料理)を出します。

PLC は英語の Programmable Logic Controller の頭文字で、「プログラムで中身を変えられる、論理(もし◯◯なら△△)の制御装置」という意味です。規格では「プログラマブルコントローラ」と呼びます。国内では「シーケンサ」という呼び名もよく使われますが、これは三菱電機の登録商標で、指しているものは同じです。

この記事に出てくるたとえと、本物の対応です。わからなくなったら、この表に戻ってください

コックのたとえ本物の PLC では
注文票入力:押しボタン・センサ・スイッチからの信号
コックPLC の CPU(考える部分)
レシピプログラム(パソコンで作って PLC に書き込む)
料理を出す出力:ランプ・ブザー・モーター・電磁弁への信号
注文票を見る→レシピを読む→料理を出す、のくり返しスキャン(⑥で説明します)
PLCを、注文票を見てレシピどおりに料理を出すコックにたとえたイラスト

PLCが生まれる前:リレーの配線で動きを作っていた

ひとことで言うとPLC は、たくさんのリレー(電気で動くスイッチ)をつないで作っていた制御を、1台で置き換えるために生まれました。

PLC が生まれる前、機械の順番はリレーという部品で作っていました。リレーは、電気を流すと中の接点がカチッと動く、電気で動くスイッチです。リレーとタイマー(時間を数える部品)を電線でつなぎ合わせ、そのつなぎ方そのもので「ボタンを押したらモーターが回る」といった動きを作ります。これをリレー制御と呼びます。

たとえると

リレー制御は、1つの料理しか作れない仕掛けの台所です。お湯がわいたら麺が落ち、3分たったらざるが上がる、という仕掛けを、ひもと滑車で組んであります。よく動きますが、メニューを変えるには、ひもと滑車を全部組み直さなければなりません。

動きが複雑になるほどリレーの数は増え、盤の中は線だらけになります。動きを少し変えるだけでも配線のやり直しが必要で、時間も費用もかかりました。

そこで1960年代の終わりに、アメリカの自動車メーカー(GM)の求めで、リレーの配線をまとめて置き換える装置として生まれたのが PLC です。PLC なら、動きを変えたいときはプログラムを書き換えるだけで済みます。台所でいえば、レシピを読めるコックを雇ったようなものです。

リレーで作る順番どおりの制御(シーケンス制御)が、制御の分類の中でどこに入るかは、同じ筆者が運営する電気のブログ shirasusolo.net の自動制御とはで図解しています。

大量のリレーの配線で作る制御と、PLC 1台とプログラムで作る制御を比べたイラスト

PLCの中身:入力・CPU・出力・電源の4つ

ひとことで言うとPLC は、知らせを受け取る「入力」、考える「CPU」、指示を出す「出力」、電気を配る「電源」でできています。

PLC の箱の中は、役割ごとに4つに分かれています。メーカーの解説でも、CPU ユニット・入力ユニット・出力ユニット・電源ユニットの組み合わせとして説明されています。

左が部品の名前、右がたとえです。位置決めや通信のための専用ユニットを足せる機種もあります

部分やることコックでいうと
入力ユニットボタン・センサの ON/OFF を受け取り、CPU が読める形にする注文票を受け取る窓口
CPU ユニットメモリにあるプログラムを実行し、出力をどうするか決めるコック(頭)とレシピ置き場
出力ユニットCPU が決めた結果を、ランプ・リレー・電磁弁などへ送る料理を運び出す窓口
電源ユニット各ユニットに電気を配る(多くは DC24V などに変える)厨房の電気・ガス

プログラムは、パソコンに入れた専用のソフトで作り、ケーブルで PLC に書き込みます。PLC は書き込まれたプログラムを覚えていて、電源を入れるとそのとおりに動き出します。

PLCの中身を入力ユニット・CPUユニット・出力ユニット・電源ユニットに分けて示したブロック図

入力と出力:何がつながっているのか

ひとことで言うと入力は機械の「目と耳」、出力は機械の「手足」です。PLC はその間で考える役です。

入力と出力に何がつながるかを、小さなコンベアの装置で見てみます。

ON/OFF だけの知らせ(デジタル)が基本です。温度や圧力のように連続した値は、アナログ用のユニットで受け取ります

つながる機器の例PLC が受け取る/出す知らせ
入力(目と耳)押しボタン・切り替えスイッチ・光電センサ・近接センサ・リミットスイッチ「押された」「箱が来た」「端まで来た」の ON/OFF
出力(手足)表示灯・ブザー・電磁弁・インバータの運転指令・電磁接触器「つけろ」「鳴らせ」「動け」の ON/OFF
たとえると

コックは自分で野菜を見に行きません。注文票(入力)が届いて初めて「作るもの」がわかり、料理(出力)を出して初めてお客さんに届きます。PLC も、つながった機器からの知らせしか知りませんし、出力の先につながった機器しか動かせません。

出力の先にあるモーターは、PLC が直接回すのではありません。PLC は「回れ」の指示を出すだけで、実際にモーターへ大きな電気を送るのは、インバータやサーボアンプ、電磁接触器です。

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小さなコンベア装置で、押しボタンとセンサが入力、表示灯とモーターと電磁弁が出力になることを示したイラスト

PLCの動き方:スキャン=「読む→考える→出す」のくり返し

ひとことで言うとPLC は「入力を読む → プログラムを上から実行 → 出力を書く」を、ミリ秒単位で休まずくり返しています。

PLC のいちばん大事な性質が、このくり返しです。1回分の流れをスキャンと呼び、1回にかかる時間をスキャンタイムと呼びます。

STEP 1

入力を読む:つながっているボタン・センサの ON/OFF を全部いっぺんに読み、メモに書き写します。

STEP 2

プログラムを上から実行:メモを見ながら、プログラムを1行目から順に実行し、出力をどうするかを別のメモに書きます。

STEP 3

出力を書く:出力のメモを、まとめてランプやモーターへ送ります。そしてまた1に戻ります。

たとえると

コックは、①届いている注文票を全部見て、②レシピを1行目から順に読んで作るものを決め、③料理をまとめて出す、をものすごい速さでくり返しています。注文票を見たあとに新しい注文が届いても、次に注文票を見るまでは気づきません。

ここまでの話を、動く図で確かめましょう。押しボタンを押してから、ランプがつくまでの順番に注目してください。

動かして確かめる

「▶ 動かす」を押すと、PLC が「1 入力を読む → 2 プログラムを上から実行 → 3 出力を書く」をくり返し始めます。動いている途中で「押しボタンを押す」を押して、ランプがどの段でつくかを見てください。押した瞬間ではなく、次の「入力を読む」で気づき、「出力を書く」でランプがつくのがポイントです。

入力の機器 押しボタン(X0) 離す PLC(コック) 1 入力を読む 注文票を見る 2 上から実行 レシピを上から読む 3 出力を書く 料理を出す 入力のメモ X0 = 0 出力のメモ Y0 = 0 Y1 = 1 プログラム(ラダー図) X0 Y0 1行目 X0 2行目の X0 は 押していない ときに通る接点 Y1 2行目 スキャン:0回目 出力の機器 運転ランプ(Y0) 待機ランプ(Y1) 時間の流れ(1マス=1スキャン) ボタン ランプ

いまの様子:「▶ 動かす」を押すと、ここに説明が出ます。

動きは説明のための作り物です。見やすいように1スキャンを数秒に引きのばしています。本物の PLC は1スキャンがミリ秒(1000分の1秒)の単位で、1秒に何十回〜何百回もくり返します。

見てほしいのは、ボタンを押した瞬間にはランプが変わらず、次の「入力を読む」で気づき、そのスキャンの「出力を書く」でつくところです。本物の PLC ではこれがミリ秒の間に起きるので、人には「押したらすぐついた」ように見えます。

PLCが入力を読み、プログラムを上から実行し、出力を書く、をくり返すスキャンの図

1スキャンはどれくらい?速すぎる信号は見のがす

スキャンタイムは、プログラムの長さと PLC の性能で変わります。メーカーの公開資料の例では、プログラムが約4万ステップ(命令の数の目安)のとき、新しい機種で 0.387 ミリ秒、前の世代の機種で 3.02 ミリ秒です。どちらも1秒の何百分の1という短さです。

では、何のために時間を気にするのでしょうか。スキャンは「ときどき見る」動き方なので、見ていない間に始まって終わる短い信号は、PLC には見えないからです。

計算例
スキャンタイム 10ms の PLC は、1秒に何回入力を見るか(例)
1秒は1000ミリ秒(ms)
1 s = 1000 ms
1回見るのに10ms かかるので、1秒を10ms で割る
1000 ms ÷ 10 ms = 100 回
つまり、入力を読むのは10ms に1回。その間に起きたことは次の読みまでわからない
読む間隔 = 10 ms
4ms だけ ON になる信号は、読む間隔(10ms)より短い
4 ms は 10 ms より短い → 読む瞬間に OFF なら見のがす
30ms 続く信号は、読む間隔より長い
30 ms > 10 ms → 少なくとも2回は読まれる
答え:1秒に100回見る。ただし10ms より短い信号は見のがすことがある(数値は説明のための例)

実際には、入力ユニットにもノイズを消すための少しの遅れ(入力の応答時間)があり、機種と設定で値が違います。とても短い信号を数えたいときは、高速カウンタや割り込み入力のような専用の機能を使います。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

スキャンの間隔より短い信号はPLCが読み取れないことを示すタイミングの図

プログラムの書き方:ラダー図はリレー回路の絵をまねた言葉

ひとことで言うとPLC のプログラムは、多くの場合「ラダー図」という、リレー回路の絵とそっくりな書き方で作ります。

リレー回路を組んでいた人がそのまま使えるように、PLC のプログラムはリレー回路の絵をまねた形で書けるようになっています。左右に縦の線を引き、その間に横の線(はしごの段)を並べるので、はしご(ラダー)図と呼びます。

たとえると

ラダー図は、昔の仕掛けの台所の設計図を、そのままレシピの書き方にしたものです。仕掛けを組んでいた人も、絵を見ればレシピが読めます。

ラダー図の1段は「左から右へ電気が通ったら、右端のコイル(出力)が ON になる」と読みます。途中にあるのが接点で、押しボタンが押されたら閉じる接点をa接点、押されていないときに閉じている接点をb接点と呼びます。

ラダー図のほかにも、文章のように書くストラクチャードテキスト(ST)や、箱をつないで書くファンクションブロック図(FBD)などの書き方があり、規格(JIS B 3503・IEC 61131-3)で決められています。メーカーの仕様の例でも、ラダー・ST・FBD・SFC(工程の流れ図)に対応した機種があります。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

押しボタンでランプをつけるリレー回路と、同じ動きを書いたラダー図を並べた図

リレー制御とPLCの違い:変える・増やす・調べるが楽になる

ひとことで言うとリレー制御は小さく簡単な動きに強く、PLC は動きが多い・変える・記録するときに強いです。

同じ「ボタンを押したらランプがつく」でも、作り方が違うと、あとで困ることが変わります。

左右どちらが上というより、装置の大きさと「あとで変えるか」で向き不向きが分かれます

観点リレー制御(仕掛けの台所)PLC(レシピを読むコック)
動きを変えるとき配線をやり直すプログラムを書き換える
動きが増えたときリレー・タイマーの数と線が増え、盤が大きくなるプログラムが長くなるだけ(入出力の数が増えなければ部品は増えない)
タイマー・数を数えるタイマー・カウンタの部品を1つずつ足すプログラムの中で何個でも使える
止まったときに調べるテスターで1本ずつ線をたどるパソコンでどの接点が ON かを画面で見られる
部品の傷み接点が動くたびにすり減る中は電子回路(出力のリレーなど一部は傷む)
向いている規模動きが1〜2個で、ほとんど変えないもの工程が多い・あとで変える・記録や通信がいるもの

判断表:リレーのままか、PLCにするか

では、自分の装置はどちらで作ればよいのでしょうか。迷ったときは、次の表の上から順に当てはめます。

条件(左)に当てはまったら、選ぶもの(真ん中)を選びます。下の行ほど例外の扱いです

装置の条件選ぶもの理由
モーター1台をボタンで回して止めるだけ。今後も変えないリレー制御部品が少なく、PLC のプログラムを作る手間のほうが大きい
決まった順番で動く工程が3つ以上あるPLC順番の切り替えをリレーで組むと、配線とリレーが一気に増える
タイマー・カウンタをいくつも使うPLC部品を足さずにプログラムの中で使える
試運転や生産の途中で、動きを変える見込みがあるPLC変更が配線のやり直しでなく、書き換えで済む
タッチパネルで操作したい・生産数や異常を記録したいPLC表示器や上位のパソコンとの通信ができる
非常停止など、人を守るための止める回路PLC のプログラムだけに頼らない安全リレーや安全用の PLC など、安全のための機器で止める作りにする
迷ったらPLCあとで変えたくなったときの手間の差が大きい
実務の判断のコツ

迷う装置で最後に効くのは、「試運転で動きを直す回数」の見込みです。新しく作る装置は、組み上げてから動きの順番やタイマーの時間を何度も直すのがふつうなので、リレーで作ると、直すたびに配線をほどくことになります。逆に、すでに長く使っている単純な装置の修理なら、同じリレーの回路で直すほうが早く、保全する人も慣れています。新しく作るか、今あるものを直すかで、まず分けて考えます。

非常停止の作り方は、法令と機械の安全の決まりが関わります。この記事では深入りせず、安全回路の記事であらためて説明します。

リレー制御のままにするかPLCにするかを4つの質問で決める流れ図
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PLCの大きさを決める:入出力点数を数える

ひとことで言うとPLC の大きさは、つなぐ入力と出力の数(点数)で決まります。入力と出力は別々に数え、予備を足して比べます。

PLC を選ぶとき、最初に知りたいのは「何本の線をつなぐか」です。入力1つ・出力1つを1点と数え、全部の数を入出力点数と呼びます。

たとえると

厨房の大きさを決めるとき、注文票の受け口と料理の出し口がいくつ要るかを数えるのと同じです。受け口が足りないと、注文を受けられません。

なぜ入力と出力を分けて数えるのでしょうか。小形の PLC の本体は、入力と出力の数が決まった組み合わせで売られているからです。メーカーの製品の例では、本体の点数が「入力14点・出力10点(24点タイプ)」「入力24点・出力16点(40点タイプ)」のようになっています。合計の点数だけを見ると、入力が足りないことに気づけません。

計算例1:小さなコンベア装置(例)

箱をコンベアで運び、決まった場所で止めて次へ送る、小さな装置を考えます。つなぐ機器を入力と出力に分けて書き出します。

機器ごとに、PLC へ知らせる線が入力、PLC から指示する線が出力です(数はすべて例)

入力(目と耳)点数出力(手足)点数
押しボタン(起動・停止・リセット)3インバータの運転指令1
切り替えスイッチ(自動/手動)1電磁弁(ストッパー・押し出し)2
光電センサ(箱の検出)4表示灯(運転・異常・準備)3
近接センサ(ストッパーの上・下)2ブザー1
インバータの異常の信号1
非常停止が押されたことを知る信号1
入力の合計12出力の合計7
計算例
必要な点数を出して、本体の大きさを選ぶ(例)
入力を数える(表の左)
入力 = 3 + 1 + 4 + 2 + 1 + 1 = 12 点
出力を数える(表の右)
出力 = 1 + 2 + 3 + 1 = 7 点
あとで足す分の予備を、例として2割(1.2倍)見込む
入力 12 × 1.2 = 14.4 点 → 切り上げて 15 点
出力も同じく1.2倍
出力 7 × 1.2 = 8.4 点 → 切り上げて 9 点
24点タイプ(入力14・出力10)と比べる
入力 15 > 14 → 入力が1点足りない(出力 9 ≦ 10 は足りる)
40点タイプ(入力24・出力16)と比べる
入力 15 ≦ 24、出力 9 ≦ 16 → 両方とも収まる
答え:40点タイプを選ぶ。合計(15+9=24点)だけ見ると24点タイプで足りるように見えるが、入力が足りない

つまり、合計がぴったりでも、入力と出力のどちらかが足りなければ使えません。予備の割合はこの記事の例で、決まった値があるわけではありません。

実務の判断のコツ

予備の点数は、割合で機械的に決めるより「あとから足しそうな機器」を具体的に思い浮かべて決めます。センサの追加、表示灯の追加、手動の操作ボタンの追加は、試運転のあとに出やすい代表です。さらに、本体のあとから増設ユニットを足せる形かどうかも見ておきます。足せない形の小さな本体で予備を切りつめると、1点足りないだけで本体ごと替えることになります。

入出力点数を入力と出力に分けて数え、予備を足してPLCの大きさを選ぶ計算の流れ

計算例2:本体だけで足りないとき、増設ユニットを何台足すか(例)

装置が大きくなり、予備を含めて入力52点・出力30点が必要になったとします。40点タイプの本体(入力24・出力16)に、16点の増設ユニットを足していく例で計算します。

計算例
増設ユニットの台数を出す(例)
入力で足りない数=必要な数−本体の数
52 − 24 = 28 点
16点の入力ユニット何台で28点をまかなえるか
28 ÷ 16 = 1.75 → 切り上げて 2 台(32 点)
出力で足りない数
30 − 16 = 14 点
16点の出力ユニット何台で14点をまかなえるか
14 ÷ 16 = 0.875 → 切り上げて 1 台(16 点)
でき上がりの点数を確かめる
入力 24 + 32 = 56 ≧ 52、出力 16 + 16 = 32 ≧ 30
全体の点数
56 + 32 = 88 点
答え:本体+入力ユニット2台+出力ユニット1台。台数は「足りない数÷1台の点数」を切り上げて出す

答えの意味を確かめておきます。1.75台は買えないので2台にします。切り上げたぶん、入力は4点、出力は2点の余りが出ます。これがそのまま、あとで使える予備になります。

ただし、本体ごとに足せる増設ユニットの数と全体の上限があります。製品の例では、小形の本体で最大256点、大形の組み立て式(ビルディングブロック型)で4096点です。上限の近くまで使う計画なら、最初から大きい形を選びます(次の節)。アナログ・位置決め・高速カウンタのように、ON/OFF 以外のユニットを使うときは、別の数え方が要ります。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

本体だけで足りない入出力点数を、増設ユニットを何台足せばよいかで計算した図

PLCの種類:パッケージ型とビルディングブロック型

ひとことで言うと小さな装置には全部入りの「パッケージ型」、大きな装置には部品を並べる「ビルディングブロック型」を使います。

PLC は、形で大きく2つに分かれます。

パッケージ型(お弁当箱)

  • 電源・CPU・入出力が1つの箱に入っている
  • 小さく、盤の場所をとらない
  • 点数は本体+少しの増設まで
  • 小さな装置・単体の機械に向く

ビルディングブロック型(積み木)

  • 土台(ベース)に電源・CPU・入出力のユニットを並べる
  • 必要なユニットを選んで足せる
  • 点数が多く、通信・位置決めなどの専用ユニットも並べやすい
  • ラインや大きな設備に向く
たとえると

パッケージ型はお弁当箱です。ご飯もおかずも1つの箱に収まっていて手軽ですが、入る量は決まっています。ビルディングブロック型は積み木です。土台の上に、必要な形の積み木を必要な数だけ並べられます。

どちらにするかは、⑪⑫で数えた点数と、通信・位置決めのような専用の機能が要るかで決めます。メーカーごとの選び方は、別の記事で比べます。

パッケージ型のPLCとビルディングブロック型のPLCを、お弁当箱と積み木にたとえたイラスト

パソコンやマイコンとの違い:工場で何年も止まらずに動く

ひとことで言うとPLC は、工場の電気・ほこり・振動の中で、同じ動きを何年もくり返すことに特化したコンピューターです。

「コンピューターなら、パソコンやマイコンでも同じことができるのでは?」と思うかもしれません。考える中身は似ていますが、使う場所と作り方が違います。

どれが優れているかではなく、向いている場所の違いです

PLCパソコンマイコン(電子工作のボードなど)
つなぐものDC24V などの工場のセンサ・機器をそのまま変換の機器が要る回路を自分で作る
使う場所盤の中(ほこり・振動・温度の変化に強く作られている)事務所・机の上製品の中に組み込む
プログラムラダー図など、工場の人が読める書き方いろいろな言語C 言語など
向いていること装置の順番の制御を何年も続けるデータの集計・画面・通信大量に作る製品の中の制御
たとえると

PLC は業務用の厨房に立つプロのコックです。家庭の台所(パソコン)でも料理はできますが、毎日何百食を同じ味で、熱気の中で何年も作り続けるのはプロの仕事です。

はじめての人がつまずく、よくある勘違い

ひとことで言うとPLC は「見ている間だけ知っていて、指示した先しか動かせない」と覚えておくと、勘違いの多くは防げます。

左の勘違いに心当たりがあれば、右の節に戻って読み直してください

よくある勘違い本当はどこで説明したか
PLC がモーターを回しているPLC は指示を出すだけ。回すのはインバータ・サーボアンプ・電磁接触器⑤
ボタンを押した瞬間に、PLC は必ず気づく次の「入力を読む」で気づく。とても短い信号は見のがすことがある⑥⑦
プログラムを書き換えれば、何でもできるつないでいない機器は動かせない。足りなければ配線とユニットの追加が要る⑤⑪
点数は合計で足りればよい入力と出力は別々に足りている必要がある⑪
非常停止もプログラムで止めればよい人を守る止め方は、安全のための機器で作る⑩
実務の判断のコツ

PLC で動く装置が止まったとき、まず見るのは「PLC が入力を受け取れているか」と「PLC が出力を出しているか」の2つです。多くの PLC は、入力と出力の1点ごとに小さなランプがついていて、ON の点が光ります。ボタンを押しても入力のランプがつかなければ、配線かスイッチ側の問題で、プログラムを開く前に見るところです。プログラムを疑うのは、入力のランプがついているのに出力のランプがつかないときからです。

よくある質問

Q. PLCとは何ですか?

A. 工場の機械を決めた順番どおりに動かす専用のコンピューターです。入力を読み、プログラムどおりに出力を動かします。

Q. PLCとシーケンサの違いは何ですか?

A. 指しているものは同じです。シーケンサは三菱電機の登録商標で、国内では PLC の呼び名として広く使われています。

Q. PLCのスキャンとは何ですか?

A. 入力を読む、プログラムを上から実行する、出力を書く、の1回分の流れです。PLC はこれをミリ秒単位でくり返します。

Q. リレー制御とPLCはどちらがよいですか?

A. 動きが1〜2個で変えない装置はリレー、工程が多い・あとで変える・記録する装置は PLC が向きます。

Q. PLCの入出力点数はどう数えますか?

A. つなぐ機器を入力と出力に分けて数え、予備を足します。入力と出力の両方が本体の点数に収まるかで選びます。

まとめ:PLCはレシピを読んで、何度も見直すコック

POINT
  • PLC は、入力(ボタン・センサ)を読み、プログラムどおりに出力(ランプ・モーター・電磁弁)を動かす工場用のコンピューター
  • 中身は入力・CPU・出力・電源の4つ。プログラムはパソコンで作って書き込む
  • 動き方はスキャン:入力を読む→上から実行→出力を書く、をミリ秒単位でくり返す。読んでいない間の短い信号は見のがす
  • リレー制御は配線で動きを作り、PLC はプログラムで作る。工程が多い・あとで変えるなら PLC
  • 大きさは入出力点数で選ぶ。入力と出力を分けて数え、予備を足し、増設は「足りない数÷1台の点数」を切り上げ
  • 非常停止など人を守る止め方は、PLC のプログラムだけに頼らない

PLC のしくみがわかったら、次はメーカーの選び方と、プログラムの読み方(ラダー図)へ進みます。どちらも、この記事のコックの話の続きです。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。

次に読むべき記事

PLC が指示を出す相手(インバータ・サーボ)の記事を先に読むと、PLC の出力の先で何が起きているかがつながります。PLC の記事は公開しだい、ここに並べます。

この記事の続きはこちら
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