押しボタンスイッチ・表示灯の色の決まり一覧|a接点・b接点と選び方

押しボタンと表示灯は横断歩道のボタンと信号機。操作盤の押しボタンと表示灯のイラスト 制御盤

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押しボタンスイッチと表示灯の色には、決まりがあるのか?

あります。機械の電気装置の規格 IEC 60204-1 で、押しボタンは始動=白(緑も可)・停止=黒・リセット=青・非常停止=赤で背景は黄、表示灯は赤=非常・黄=異常・緑=正常・青=操作が要る・白=中立が基本です。止めるボタンは、線が切れたときに止まる側に倒れる b接点でつなぎます。

この記事では、押しボタンスイッチと表示灯を押しボタン式の横断歩道と信号機にたとえて、最後までその話で説明します。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

押しボタンスイッチと表示灯とは?横断歩道のボタンと信号機

ひとことで言うと押しボタンは人から機械への「お願い」、表示灯は機械から人への「知らせ」です。

押しボタン式の横断歩道を思い出してください。歩く人がボタンを押すと、しばらくして信号が青に変わります。ボタンは「渡りたい」というお願いで、信号機は「いま渡ってよいか」の知らせです。

たとえると

横断歩道のボタンを押しても、信号がすぐに変わるわけではありません。信号を変えるかどうかを決めているのは、信号の制御装置です。工場の機械も同じで、押しボタンは「運転してほしい」と伝えるだけで、実際に動かすかどうかは PLC(機械を動かす小さなコンピューター)やリレーの回路が、扉が閉まっているか・異常がないかを見てから決めます。

左の言葉が出てきたら、右の本物に読みかえてください

横断歩道のたとえ工場では
横断歩道の押しボタン押しボタンスイッチ(運転・停止・リセットなど)
信号機の色表示灯の色(運転中・異常・非常停止など)
信号を変える制御装置PLC・リレーの回路
信号の色の意味がどこでも同じ色の意味を規格(IEC 60204-1)でそろえる

信号の色の意味がどの町でも同じだから、初めての交差点でも迷いません。機械の押しボタンと表示灯も、色の意味を規格でそろえておくと、初めて触る機械でも見まちがえにくくなります。これがこの記事の後半の「色の決まり」の話です。

押しボタンと表示灯は、横断歩道のボタンと信号機の関係と同じであることを示すイラスト

押しボタンの中身:a接点とb接点

ひとことで言うと押すとつながるのが a接点、押すと切れるのが b接点です。1つの押しボタンに、両方を入れることもできます。

押しボタンの中には、押すと動く金属の接点が入っています。接点の動き方は2種類あります。

たとえると

玄関の呼び鈴は、押しているあいだだけ回路がつながって鳴ります。これが a接点です。冷蔵庫のドアのスイッチは、ドアが閉まってスイッチが押されているあいだ、明かりが消えています。ドアを開けて押されなくなると明かりがつきます。押されると切れる、これが b接点です。

  • a接点:ふだんは離れていて、押すとつながる(英語では NO=ノーマリーオープン)
  • b接点:ふだんはつながっていて、押すと切れる(英語では NC=ノーマリークローズ)

次の動く図で、ボタンを押したまま・離したときの2つの接点の動きを見てみましょう。動き方の選択で、モーメンタリ(離すと戻る)とオルタネイト(押すたびに切りかわり、離しても保つ)の違いも試せます。

動かして確かめる

左は押しボタンを横から切った中身です。上にa接点(押すとつながる)、下にb接点(押すと切れる)が入っています。右の2つのランプは、それぞれの接点につないだものです。「押す」ボタンを押したままにしたり、離したりしてみてください。

押しボタンの中身(横から切った図) ばね a接点 b接点 ボタン 電源 電源 a接点のランプ b接点のランプ 押すと つく 押すと 消える a接点=ふだん開いていて、押すとつながる。b接点=ふだん閉じていて、押すと切れる

いまの様子:押していません。a接点は離れていて(ランプは消えている)、b接点はつながっています(ランプはついている)。

動きは説明のための作り物です。本物の押しボタンは、接点のブロックの組み合わせ(a接点1つ・b接点1つなど)を選んで注文します。

見てほしいのは、1回押すだけで a接点はつながり、b接点は切れる、という逆の動きです。最後の「b接点の線が切れた」も試してください。押していないのに、押されたのと同じ状態になりました。これが次の⑤の大事な話につながります。

運転・停止のように「押したら1回お願いする」ボタンはモーメンタリ、電源の入り切りのように「状態を保ちたい」ボタンはオルタネイトが向いています。規格の解説では、始動と停止が交互に切りかわる形は、危険な状態を招かない機能だけに使うとされています。

a接点は押すとつながる呼び鈴、b接点は押されると明かりが消える冷蔵庫のスイッチにたとえたイラスト

図面の記号と、押す前・押したあと

ひとことで言うと図面では、押しボタンを「押す前の形」で描きます。a接点は開いた形、b接点は閉じた形です。

シーケンス図(電気の通り道の図面)では、押しボタンはだれも押していないときの形で描く決まりです。だから a接点は離れた形、b接点はつながった形で描かれます。

たとえると

信号機の絵を描くとき、ふだんの状態で描くのと同じです。押したときにどう変わるかは、頭の中で動かして読みます。

左の接点が、押す前と押しているあいだにどうなるか。右の列の使い分けの理由は⑤で説明します

押す前(図面の形)押しているあいだよく使う所
a接点(NO)開いている(電気が通らない)閉じる(電気が通る)運転・始動・寸動のボタン
b接点(NC)閉じている(電気が通る)開く(電気が通らない)停止・非常停止のボタン

1つの押しボタンに a接点と b接点の両方を入れたものを「1a1b」のように書きます。接点のブロックを足して、2a や 1a2b にできる機種も多くあります。

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押しボタンの中のa接点とb接点が、押す前と押しているあいだにどう動くかの図

止めるボタンは、なぜb接点でつなぐの?

ひとことで言うと線が切れたりネジがゆるんだりしたとき、b接点でつないだ停止ボタンは「押された」のと同じになり、機械は止まる側に倒れるからです。

停止ボタンを a接点でつないだ場合を考えます。「押されたら止める」という回路です。ふだんはなにも流れていません。もし停止ボタンの線が切れていたら、押しても何も伝わらず、止めたいときに止まりません。しかも、ふだんは何も流れていないので、線が切れていることに気づけません。

b接点でつなぐと、ふだんから電気が流れていて、「流れているあいだは運転してよい」という回路になります。押せば切れて止まり、線が切れても切れて止まります。壊れたときに、危なくない側(止まる側)に倒れるように作るわけです。

たとえると

横断歩道の信号が壊れて消えたら、車も人も「止まって様子を見る」側に動きます。消えたら止まる、という決まりのほうが安全です。b接点の停止ボタンは、まさにこの考え方です。

実務の判断のコツ

a接点か b接点か迷ったら、「この線が切れたとき、機械はどちらに倒れてほしいか」で決めます。止める・異常を知らせる・扉が閉まっていることを確かめる信号は、切れたら止まる側に倒れる b接点にします。運転・始動のように、切れたら何も起きないほうが安全な信号は a接点にします。線の切れを「止まる側」に寄せておくと、試運転の段階で配線のミスが見つかりやすくもなります。

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おすすめの本

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押しボタンの形と動き方の種類

ひとことで言うと押しまちがえを防ぎたいボタンは平形やガード付き、すぐ押したいボタンは突形やきのこ形、と目的で形を選びます。

横断歩道のボタンが大きくて押しやすいのは、だれでもすぐ押せるようにするためです。機械のボタンも、押しやすさと押しまちがえにくさのつり合いで、形を選びます。

左の形を、右の列の目的で選びます。形・色・位置で見分けられるようにすると、押しまちがいが減ります

形見た目向いているボタン
平形(フラッシュ)頭が枠と同じ高さ運転・始動(ひじや物が当たって押されにくい)
突形頭が枠より出ている停止・リセット(手袋でも押しやすい)
きのこ形大きな丸い頭非常停止(手のひらでたたける)
ガード付きまわりに囲いがある押しまちがえると困るボタン
照光式頭が光る押せる状態や、押したことを光で知らせたいボタン
セレクタスイッチつまみを回す手動と自動の切りかえ・運転の方式の選択

規格の解説では、形・位置・触った感じなどで見分けられるなら、ちがう機能のボタンに同じ色を使ってもよいとされています(例:始動と停止に白)。色だけに頼らず、形と位置もいっしょに決めるのが基本です。

照光式の押しボタンは、ボタンと表示灯を1つにまとめたものです。盤の穴を減らせますが、光っている意味(押せる・動いている)を、盤全体でそろえて決めておく必要があります。

押しボタンの形の種類を並べたイラスト

押しボタンの色の決まり(IEC 60204-1)

ひとことで言うと始動は白(緑も可)、停止は黒、リセットは青、非常停止は赤で背景は黄。始動に赤、停止に緑は使いません。

機械の電気装置の国際規格 IEC 60204-1(日本では JIS B 9960-1)には、押しボタンの色の決まりがあります。メーカーの FAQ がまとめた 2021年の版の内容は、次のとおりです。

たとえると

信号の赤は、どの国でも「止まれ」です。もし赤が「進め」の国があったら、旅行者は事故を起こします。機械のボタンの色も、決まりに合わせておくと、初めての機械でも直感で押せます。

左の働きのボタンに、2列目の色から選びます。3列目が第一の候補です。正式な決まりと細部は、規格の最新版で確かめてください

ボタンの働き使う色優先する色使わない色・注意
始動・入(運転)白・灰・黒・緑白赤は使わない
停止・切黒・灰・白(赤も可)黒緑は使わない。赤は非常停止の近くでは避ける
非常停止赤—背景(台)は黄
リセット青・白・灰・黒——
押しているあいだだけ動く(寸動)・始動と停止が交互白・灰・黒——
異常のときに押すボタン黄—黄は異常の状態のためにとっておく

ここで「え、運転は緑じゃないの?」と思った方へ。昔は運転に緑を使うことが多く、いまも緑は使える色に入っています。ただ、いまの規格では白を優先する形になっています。古い機械と新しい機械で運転のボタンの色が違うことがあるのは、このためです。

規格の解説では、既存の装置や、使う人が昔から使っている色分けも十分に考えるとされています。工場ごとに古い色分けが残っていることもあるので、新しい機械を入れるときは、その工場の決まりと規格のどちらに合わせるかを、使う人と話して決めます。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

押しボタンの機能ごとの色の早見表

表示灯の色の決まり:信号機と同じ考え方

ひとことで言うと赤=非常・危険、黄=異常・注意、緑=正常、青=人の操作が要る、白=どれにも当たらない知らせ、が基本です。

表示灯は、機械から人への知らせです。信号機と同じように、色を見ただけで「すぐ動くべきか」「見ておけばよいか」がわかるようにします。

規格の表の代表的な意味です。使う人と合意すれば変えられ、版によって細部が違うので、正式な意味は規格の最新版で確かめます

色意味表示灯の使い方の例
赤非常・危険な状態非常停止中・危険な異常(すぐに対応が要る)
黄異常・注意軽い異常・もうすぐ限度(点検が要る)
緑正常運転中・準備完了
青人がすべき操作があるリセットが要る・確認の操作が要る
白どれにも当たらない知らせ電源が入っている・選んでいる運転の方式

次の動く図で、機械の状態を切りかえると、どの色の表示灯がつき、どのボタンを押せばよいかがどう変わるかを見てみましょう。

動かして確かめる

機械の操作盤の例です。上の段が表示灯(機械から人への知らせ)、下の段が押しボタン(人から機械へのお願い)です。機械の状態を選ぶと、どの色の表示灯がつき、いまどのボタンを押せばよいかが切りかわります。

表示灯(機械 → 人) 押しボタン(人 → 機械)

いまの様子:

動きは説明のための作り物です。色の意味は IEC 60204-1 の考え方の例で、どの状態にどの表示灯を使うかは機械ごとに決めます(使う人と合意すれば変えられます)。点滅は1秒に約2回(規格の解説が示す「通常の点滅」の範囲の例)です。

見てほしいのは、表示灯の色と、次に押すボタンの色がつながっていることです。青の表示灯がついたら、青のリセットボタンを押す。こうしておくと、慣れていない人でも次の操作に迷いません。

実務の判断のコツ

色の割り当ては、機械ごとに決めずに、工場や装置のまとまりで「色の表」を1枚作ってから決めます。同じ工場の中で、ある機械は黄が「運転準備中」、別の機械は黄が「異常」だと、黄を見ても意味がわからなくなるからです。表には、押しボタンの色・表示灯の色・点滅の意味を並べ、タッチパネルの画面の色もその表に合わせます。

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出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

表示灯の色と意味の早見表

計算してみよう①:表示灯の点滅の速さ

ひとことで言うと点滅の1回分の時間(周期)は「1 ÷ 周波数」。規格の解説の範囲に入る速さで、PLC のタイマーの値を決めます。

異常のときに表示灯を点滅させると、ついているだけより目に入ります。ただし速すぎるとチカチカして不快で、遅すぎると点滅に見えません。どれくらいの速さにするかを数字で決めないと、PLC のタイマーの値が決められません。

たとえると

踏切の警報機のランプは、左右が交互にゆっくり光ります。あれがもっと速いと目が疲れ、もっと遅いと、ただ片方ずつついているだけに見えます。ちょうどよい速さがあるのです。

規格の解説では、点滅の速さの目安として、ゆっくりの点滅(f1)は 0.4〜0.8 Hz、ふつうの点滅(f2)は 1.4〜2.8 Hz を示しています(JIS C 0448:1997)。Hz(ヘルツ)は「1秒に何回くり返すか」です。

式の出どころ:1秒に2回くり返すなら、1回分は 1 ÷ 2 = 0.5 秒です。つまり、1回分の時間(周期)は、1秒を回数で割れば出ます。点滅の1回分は「ついている時間+消えている時間」なので、同じ長さにするなら半分ずつです。

周期[s] = 1 ÷ 周波数[Hz] 、 ついている時間 = 消えている時間 = 周期 ÷ 2

  • 周期 T[s]:点滅1回分(ついて、消えて)の時間。単位は秒
  • 周波数 f[Hz]:1秒にくり返す回数。1/s と同じ単位なので、1 ÷ f で秒になる
計算例
計算例1:ふつうの点滅を 2 Hz にするときの PLC のタイマー
範囲を確かめる(f2 は 1.4〜2.8 Hz)
1.4 ≦ 2 ≦ 2.8 → 範囲に入る
周期を出す(1 ÷ 周波数)
1 ÷ 2 Hz = 0.5 s
ついている時間と消えている時間(半分ずつ)
0.5 s ÷ 2 = 0.25 s
タイマーの値(0.01 秒単位のタイマーなら)
0.25 s ÷ 0.01 s = 25
ついている 0.25 秒・消えている 0.25 秒をくり返す(タイマーの単位は機種で違う)
計算例
計算例2:ゆっくりの点滅と、速すぎる点滅を確かめる
ゆっくりの点滅を 0.5 Hz に(f1 は 0.4〜0.8 Hz)
1 ÷ 0.5 Hz = 2.0 s → 1.0 秒ずつ
ついている 0.1 秒・消えている 0.1 秒にしてしまった場合の周期
0.1 s + 0.1 s = 0.2 s
そのときの周波数(1 ÷ 周期)
1 ÷ 0.2 s = 5 Hz
f2 の上限と比べる
5 Hz > 2.8 Hz → 速すぎる
タイマーの値を小さくしすぎると、規格の解説の範囲を超えてチカチカする

桁の感覚も確かめます。2 Hz は「1秒にトン・トンと2回」、0.5 Hz は「2秒に1回」です。声に出して数えると、速すぎ・遅すぎがすぐわかります。

規格の解説では、優先度の高い知らせに速い点滅を使うこと、文字を点滅させるより背景を点滅させるのが望ましいことも書かれています。何でも点滅させると、本当に大事な点滅が目立たなくなるので、点滅は異常や至急の操作に取っておきます。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

表示灯の点滅の周期と周波数の関係を示すタイミングチャート

計算してみよう②:PLCにつなぐボタンは「小さな電流」に強い接点を

ひとことで言うとPLC の入力に流れる電流は「電圧 ÷ 入力の抵抗」で数 mA。接点の最小適用負荷より大きいかを確かめ、足りなければ小さな電流用の接点を選びます。

押しボタンの接点には、「これ以上の電流を流して使ってください」という下限(最小適用負荷)があります。PLC の入力のように流れる電流が小さいと、この下限を下回り、押したのにときどき入らないことが起きます。だから計算で確かめます。

たとえると

ほこりをかぶった呼び鈴のボタンは、軽く押しただけでは鳴らず、ぐっと押すと鳴ることがあります。接点の表面にも、空気にふれてできる薄い膜(さびのようなもの)があり、流れる電流が小さいと、その膜を破れずに接触が不安定になります。ざっくり言うと、最小適用負荷は「膜を破って確実につながるための電流の下限」です。

式の出どころ:PLC の入力を、ざっくり1本の抵抗と見なします。電流は電圧を抵抗で割ると出る(オームの法則 I = V ÷ R)ので、入力の抵抗がわかれば、押したときに流れる電流が出せます。

PLC の入力に流れる電流 I[A] = 電源の電圧 V[V] ÷ 入力の抵抗 R[Ω]

  • V:電源の電圧。制御盤の入力では DC24V が多い
  • R:PLC の入力の抵抗(取扱説明書の「入力インピーダンス」)。三菱電機 FX5U の取扱説明書では 4.3 kΩ(X0〜X17)
  • I:流れる電流。V ÷ Ω で A(アンペア)。小さいので mA(1000分の1 A)で表す
計算例
計算例3:押しボタンを PLC の入力(DC24V・4.3 kΩ)につないだときの電流
単位をそろえる(4.3 kΩ = 4300 Ω)
4.3 kΩ = 4300 Ω
電流を出す(I = V ÷ R)
24 V ÷ 4300 Ω = 0.00558 A
mA に直す(× 1000)
0.00558 A × 1000 = 5.58 mA
小さな信号用の接点の最小推奨(例:Eaton の資料 5 VDC・1 mA)と比べる
5.58 mA ≧ 1 mA → 足りる
最小適用負荷が 10 mA の接点(説明のための例)と比べる
10 mA > 5.58 mA → 足りない
PLC の入力につなぐなら、最小適用負荷が数 mA 以下の、小さな電流用の接点を選ぶ

答えの意味を言葉にすると、PLC の入力には、指先ほどの小さな電流(約5.6 mA)しか流れないということです。モーターを動かすリレーのコイルなど、もっと大きな電流を切るための接点の中には、こうした小さな電流では接触が安定しないものがあります。

メーカーによっては、小さな電流向けの接点のブロック(金めっきの接点や、接点の先をとがらせて膜を破りやすくしたもの)を用意しています。カタログの「最小適用負荷」「微小負荷用」の欄を見て、PLC の入力電流より小さい値のものを選びます。

実務の判断のコツ

PLC の入力につなぐ押しボタン・セレクタスイッチは、最初から小さな電流用の接点を選ぶことにしておきます。押して入らないことがたまに起きる不具合は、再現しにくく、配線やプログラムを疑って時間を使いがちだからです。逆に、リレーのコイルのような大きめの負荷を直接切るボタンは、カタログの開閉の定格(DC24V で何 A か)を先に見ます。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

PLCの入力に流れる電流と、接点の最小適用負荷を比べた図

押しボタンスイッチ・表示灯の選び方:5つの順番

ひとことで言うと取付穴の大きさ → 形と動き方 → 接点の数と種類 → 照光と電圧 → 置き場所の環境、の順に決めます。

横断歩道のボタンで言えば、まず「柱に付く大きさか」、次に「押しやすい形か」、そして「信号の制御装置につながるか」を決める順番です。

STEP 1

取付穴の大きさを決める。押しボタンや表示灯は、盤の扉にあけた丸い穴に付けます。穴の大きさでシリーズが分かれていて(22 mm 前後のものが広く使われ、ほかに 16 mm・25 mm・30 mm などもある)、同じ盤の中はそろえると、穴あけも部品の手配も楽になります。正確な穴の寸法はカタログで確かめます。

STEP 2

形と動き方を決める。⑥の表で形を、③でモーメンタリかオルタネイトかを決めます。色は⑦の表から選びます。

STEP 3

接点の数と種類を決める。a接点・b接点がいくつ要るか(1a・1b・1a1b など)。PLC につなぐなら小さな電流用の接点(⑩)、リレーなどを直接切るなら開閉の定格を見ます。

STEP 4

照光の有無と電圧を決める。照光式や表示灯は、点ける電圧(DC24V・AC100V など)を盤の電源に合わせます。最近は LED のものが多く、カタログに定格電流が書かれています。

STEP 5

置き場所の環境を確かめる。水・油・粉じんがかかるか。前面の保護の等級(IP65 など)を仕様で確かめます。手袋で押すなら、大きめの頭や突形を選びます。

表示灯の電流も、盤の電源の容量の見積もりに入れます。1つは小さくても、数が多いと合計は無視できません。

計算例
計算例4:表示灯の電流の合計(値は例)
表示灯1個の電流(例。カタログの定格電流を見る)
15 mA
盤の表示灯の数(例)
8 個
合計(掛け算)
15 mA × 8 個 = 120 mA
A に直す(÷ 1000)
120 mA ÷ 1000 = 0.12 A
8個で 0.12 A。DC24V の電源の容量を見積もるとき、ほかの機器の電流に足しておく
押しボタン・表示灯を選ぶ前のチェックリスト
  • □ 取付穴の大きさを、盤の中でそろえたか
  • □ ボタンの色を⑦の表で決めたか(始動に赤、停止に緑を使っていないか)
  • □ 停止・非常停止は b接点でつないだか
  • □ PLC につなぐ接点は、小さな電流用か(最小適用負荷が入力電流より小さいか)
  • □ 照光・表示灯の電圧が、盤の電源と合っているか
  • □ 表示灯の色の意味を、工場の色の表とそろえたか
  • □ 銘板(ボタンの名前の札)の言葉と、図面の言葉がそろっているか

LED の表示灯の中には抵抗が入っていて、決まった電圧でそのまま使えます。LED に自分で抵抗をつけて光らせるときの計算は、shirasusolo.net のLED 抵抗の計算の記事で解説しています。

出典

情報の確認時点:2026年10月。機種ごとの値は、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。

押しボタンスイッチと表示灯を選ぶ順番の流れ図

非常停止ボタンだけは、特別な決まりがある

ひとことで言うと非常停止ボタンは、赤い頭と黄色の台。b接点で、PLC や画面に頼らずに動力を止める回路につなぎます。

横断歩道に、ボタンとは別に「非常ボタン」があったら、それはどんな状態でも、だれが押しても、必ず効かなければなりません。機械の非常停止ボタンも同じで、ほかのボタンとは別の決まりがあります。

  • 色:頭は赤、まわりに台があれば黄(IEC 60204-1。メーカーの FAQ による)
  • 形:手のひらでたたけるきのこ形が多い。押すと押された状態のまま止まり、引く・回すなどで戻す形が一般的
  • 接点:b接点で、線が切れたら止まる側に倒れるようにつなぐ(⑤)
  • つなぎ先:PLC の通信やタッチパネルの画面に頼らず、機械の動力を止める回路につなぐ

非常停止ボタンを戻しただけで機械が動き出すと危ないので、戻したあとに別の操作(リセット)をしてから運転できるようにするのが一般的です。⑧の動く図で、非常停止のあとに青の表示灯がついたのは、このリセットの操作を知らせるためです。

注意|ここで間違えやすい

非常停止ボタンの規格(ISO 13850 など)・置き場所・回路の決まりは、機械の安全の規格と法令で細かく決まっています。この記事では、ほかの押しボタンとの違いだけを説明しています。具体的な設計は、規格の最新版と安全機器メーカーの資料で確かめてください。

扉が開いたら止める「インターロック」など、機械の安全のしくみと法令の決まりは、同じ筆者が運営する職場の安全衛生のブログ anzen-zukan.jp のインターロックとは(機械安全のしくみ)の記事で解説しています。

赤い頭と黄色の台の非常停止ボタンのイラスト

よくある困りごと:ランプがつかない・ボタンが効かない

ひとことで言うとランプは「電球・LED → 電圧 → 配線 → 出力」、ボタンは「接点 → 配線 → PLC の入力の表示」の順に確かめます。

信号機がつかないとき、まず電球が切れていないか、次に電気が来ているか、を見ます。表示灯と押しボタンも、手前から順に確かめると早く見つかります。

注意|ここで間違えやすい

盤の中を確かめるときは、感電に注意し、電源を切って検電してから配線をさわります。通電したまま電圧を測るかどうかは、職場のルールと機器の取扱説明書に従ってください。

上の行から順に確かめます。左の列が今の症状に近い行を探してください。

症状・いつ出るかまず疑う原因確かめる場所・測るもの直し方
表示灯が1つだけつかないLED・電球の寿命、ランプの部分のゆるみランプの部分を交換品と入れかえて点くかランプの部分か表示灯ごと交換
表示灯が全部つかない表示灯の電源(ヒューズ・ブレーカー)表示灯の電源の電圧(DC24V など)電源が落ちた原因を確かめてから戻す
表示灯がうっすら光る・消えない電圧の合わない表示灯、漏れ電流(AC の長い配線など)表示灯の定格電圧と、つないでいる電圧定格の合う表示灯に替える
押しても、ときどき入らない接点の最小適用負荷を下回っている、接点の汚れ・摩耗PLC の入力のランプが、押すたびにつくか小さな電流用の接点に替える(⑩)
押しても、まったく入らないa接点と b接点のつなぎまちがい、配線の外れ接点の端子の番号と図面、端子のねじ図面どおりにつなぎ直す
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「ときどき入らない」は、配線のゆるみでも起きます。端子のねじや、圧着端子のかしめが原因のこともあるので、ボタンを押しながら配線を軽くゆすって、入力の表示が変わるかを見るのも手がかりになります。

表示灯がつかないときに確かめる順番の流れ図

よくある質問

Q. 押しボタンスイッチのa接点とb接点の違いは何ですか?

A. a接点はふだん開いていて押すとつながり、b接点はふだん閉じていて押すと切れます。1つのボタンに両方を入れることもできます。

Q. 停止ボタンはなぜb接点を使うのですか?

A. 線が切れたりゆるんだりしたときに「押された」のと同じ状態になり、機械が止まる側に倒れるからです。

Q. 押しボタンの色に決まりはありますか?

A. あります。IEC 60204-1 では始動は白を優先(緑も可)、停止は黒を優先、リセットは青など、非常停止は赤で背景は黄です。

Q. 表示灯の色の意味は何ですか?

A. 赤は非常・危険、黄は異常・注意、緑は正常、青は人の操作が要る、白はどれにも当たらない知らせ、が基本です。

Q. 運転ボタンは緑ではだめですか?

A. 緑も使える色ですが、規格では白を優先します。工場に昔からの色分けがあれば、使う人と話してそろえます。

Q. PLCにつなぐ押しボタンは何を見て選びますか?

A. 接点の最小適用負荷を見ます。PLC の入力電流(数 mA)より小さい値の、小さな電流用の接点を選びます。

まとめ:押しボタンは横断歩道のボタン、表示灯は信号機

POINT
  • 押しボタンは人から機械へのお願い、表示灯は機械から人への知らせ
  • a接点は押すとつながり、b接点は押すと切れる。図面は押す前の形で描く
  • 止めるボタンは b接点で。線が切れたら止まる側に倒れる
  • 押しボタンの色は、始動=白(緑も可)・停止=黒・リセット=青・非常停止=赤に黄の台。始動に赤、停止に緑は使わない
  • 表示灯は、赤=非常・黄=異常・緑=正常・青=操作が要る・白=中立。点滅は 1.4〜2.8 Hz などの範囲で、大事な知らせに取っておく
  • PLC の入力に流れる電流は約5.6 mA(24 V ÷ 4.3 kΩ)。小さな電流用の接点を選ぶ

押しボタンと表示灯が決まったら、それをつなぐ PLC の入力・出力と、回路の図面の読み方へ進みましょう。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

PLC・サーボ・インバーターを実務で扱ってきた電気・制御の設計者です。制御の記事は、選び方・設定の順番・止まったときの切り分けを、実務の判断のしかたから書いています。機械(材料・機械要素・図面)の記事は本職ではないため、JIS とメーカーの技術資料を調べてまとめ、出典を示しています。

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押しボタンの信号は、PLC やリレーの回路に入って、はじめて機械を動かします。図面の記号とプログラムの書き方を知ると、ボタン1つの意味がもっとはっきりします。

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